アニメ「映画 バクテン!!」の完成披露上映会が、去る6月11日に東京・新宿バルト9で開催された。
【大きな画像をもっと見る】この日のイベントには双葉翔太郎役の土屋神葉、美里良夜役の石川界人、築館敬助役の近藤隆、女川ながよし役の下野紘、亘理光太郎役の神谷浩史、栗駒あさを役の佐倉綾音が登壇。土屋は「アニメーションスタジオも見学させていただいたので、あのとき作られていたアニメを観ていただけるということに感動」と笑顔を見せ、神谷は「実はこの作品はオーディションの段階から、劇場版を想定したロードマップがあったんです。そんなプロジェクトに参加できるのは大変ありがたいなと思っていたんですが、実際にできるのかはわからなかった。そんな中、無事にこの日を迎えられてうれしいです」と喜ぶ。
キャストが一堂に会し、有観客で「バクテン!!」のイベントが行われるのはこの日が初めて。改めて「バクテン!!」の魅力を尋ねられると、土屋は「前向きになれるところ。昨今うつむきかけることばかりですが、この作品はそこにフォーカスせずに、みんなで前を向こう!と顔を上げる瞬間を共有する作品であることが魅力です」と答える。石川は「青春ですかね。僕は青春とは縁がない学生時代を送っていたんですが、そんな僕でも刺さるようになっています。もちろんその青春の中には明るい面じゃなく暗い面もありますが、明るい未来を目指そうと前向きに青春してる姿が魅力だと思います」と土屋の意見に重ねる。
近藤は「シナリオの人物描写が丁寧です。1人ひとりの心の機微を丁寧に追ってくださってるので、演じる側としてもやりやすい」とコメント。下野は「リアリティがあるところです。弱小だったアオ高がメキメキと成長して、インターハイに向かってがんばる姿とともに、日常生活も描かれている。ずっと緊張しっぱなしで、歯を食いしばり続けることができる人間ってそうそういないと思うんです。絶対どこかに息抜きのような時間がある。もちろん演技や練習風景もリアリティがあるのですが、学校帰りに美味しいものを食べたり、体操競技に関係ないじゃんってところで若干いざこざが起こったり、そういうリアリティがあるからこそ観てくださる方たちも共感できて、いろんな人たちに愛される作品になったんじゃないかなと思います」と考えを述べる。
神谷は「ここにいる皆さんは、おそらくTVシリーズを全話ご覧になって興味を持って来てくださったんですよね。もしくは下野くんが見たいとかしょうもない理由で来てくださったのかもしれませんが……」と話し始め、客席の笑いを誘う。下野から「しょうもなくないです!」と突っ込まれつつ、仕切り直した神谷は「この作品の魅力は、僕よりも皆さんのほうがわかってるんじゃないかな。『バクテン!!』って地味な話じゃないですか。使命を背負ったヒーロー・ヒロインが登場するわけでもないし、異世界でもない。ここから電車に乗って行ける、地続きの世界で行われている高校生活が主題に置かれてます。どうしてもアニメーションって派手なものが求められて評価されがちですけど、皆さんがこの作品に魅力を感じてくださっているのがうれしいです。ストーリーがしっかりしていて、それに準じたキャラクターたちが生き生きと動いている。そして体操のシーンは派手に見せてくれるという、バランスのよさがこの作品の魅力だと思います」と語る。
ここからはキャスト陣が学生時代、夢中になっていたものの話題に。土屋は「高校時代はクラシックギター部だったんですが、部活後にアクションの練習に行っていました。終電近くに家に帰って、朝眠いけど学校に行くっていうのが今思えば青春だったなと。最近実家の近くに帰る機会があったんですが、ここの富士そばで食べてからアクションに行ったななんてことを思い出しました(笑)」と振り返る。神谷は「高校生の頃はゲームセンターブームで、格闘ゲーム黎明期。学校が終わったらすぐゲーセンに向かうという生活でした。部活でも合宿はなかったですし、買い食いもしたことがなかった。買い食いするぐらいだったら、ゲーセンで100円玉を1枚でも多くつぎ込もうという感じでした(笑)」と明かす。
佐倉は「二十歳の誕生日、事務所の先輩たちが私の親と結託して自宅でサプライズパーティをしようと企ててくれてて。その中に下野さんがいたんです」と、学生時代を過ぎてからの青春エピソードを披露。「しかもその日は大雪で電車が止まったんです。家に早く帰りたくて電車を降りたら、なぜか知らない駅のタクシー乗り場に下野さんが並んでて。『あれ? 下野さんこっちの方面でしたけっけ?』って言ったら、『いや! あ、今日はこっちなんだよ!』みたいな。しかも『綾音ちゃん、家まで送ってくよ!』って、なぜか私を家まで送り届けようとするんですよ(笑)」と続ける。このときのことについて、下野は「電車が止まったから、このままだとパーティできなくなるぞと。綾音ちゃんにはそのとき何を言ったか覚えてないけど、かなり強引なことを言った気がします」と笑いながら振り返った。
最後に土屋は「めちゃくちゃ友達におすすめできる映画です。キービジュが発表されたときに僕と界人さんは『うわあ、すごい!』と感動したんですけど、その意味が最後まで観たら伝わると思います。エンディング終わっても最後まで観てくださいね!」と呼びかける。ネタバレになるかもしれないと思った土屋が「大丈夫ですか?」と心配すると、石川は「大丈夫だよ! 全部正解!」と力強く言って安心させた。
■ 「映画 バクテン!!」
2022年7月2日(土)公開
□ スタッフ
原作:四ッ木えんぴつ
監督:黒柳トシマサ
新体操試技監督:光田史亮
脚本:根元歳三
キャラクターデザイン原案:ろびこ
キャラクターデザイン・総作画監督:柴田由香
プロップデザイン・総作画監督:中西彩
色彩設計:千葉絵美
美術監督:平間由香、小倉宏昌
美術設定:緒川マミオ
3DCG:武右ェ門
CGI監督:篠田周二
撮影監督:本台貴宏、伊藤遼
編集:平木大輔
音響監督:長崎行男
音楽:林ゆうき
新体操ユニフォームデザイン:株式会社ササキスポーツ
監修:青森山田高校男子新体操部
アニメーション制作:ZEXCS
チーフプロデューサー:高瀬透子
プロデューサー:森彬俊、岩崎紀子、新宅潔
□ キャスト
双葉翔太郎:土屋神葉
美里良夜:石川界人
七ヶ浜政宗:小野大輔
築館敬助:近藤隆
女川ながよし:下野紘
亘理光太郎:神谷浩史
月雪ましろ:村瀬歩
高瀬亨:小西克幸
陸奥洋二郎:鈴村健一
大湊秀夫:杉田智和
竜ヶ森恭一:斉藤壮馬
吾妻俊介:山下大輝
栗駒あさを:佐倉綾音
志田周作:櫻井孝宏
双葉亜由美:上田麗奈
馬淵修司:松田健一郎
(c)映画バクテン製作委員会