世界三大レースのひとつで、フランスを代表するレースであるル・マン24時間レース。2022年のレースはWEC世界耐久選手権第3戦として開催され、6月11日(土)現地16時に決勝レースのスタートが切られた。遅い日没を迎えたレース開始から6時間経過時の総合トップは、TOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)だ。
雨上がりのスタートとなった昨年とは対照的に、暑さを感じるほどの晴天に恵まれた2022年のル・マン。そのスタートではレースディレクターの願いも虚しくLMP2クラスのトップ3が絡むアクシデントが発生し、予選2番手につけた22号車オレカ07・ギブソン(ユナイテッド・オートスポーツUSA)と同3番手41号車オレカ07(リアルチーム・バイ・WRT)という有力チームのクルマが序盤から大きく順位を落とすこととなった。
一方、最高峰ハイパーカークラスでは、フロントロウを独占したトヨタの2台に次ぐ予選3番手につけた36号車アルピーヌA480・ギブソン(アルピーヌ・エルフ・チーム)がスタートで出遅れ、一時はLMP2カーに先行を許す。その後、総合5番手の順位を取り戻すも、決勝前に変更されたBoPの影響かトヨタ勢とグリッケンハウス007 LMHのペアから徐々に遅れていく展開に。
今大会でル・マン5連覇達成を目指すトヨタ勢は、第1スティントはセバスチャン・ブエミ駆る8号車とコンウェイの7号車が予選順位どおりの位置でレースを進める。しかし、両車が最初のピット作業を終えたあとは1周早くピットに入った7号車がアンダーカットを成功させるかたちで姉妹車の前に出る。
スタートから1時間45分後、トヨタのペアと3番手708号車を追いかけていた709号車グリッケンハウス007 LMH(グリッケンハウス・レーシング)がイレギュラーのピットイン。数分の作業でコースに復帰するが1ラップダウンとなる。
レース2時間過ぎ、トヨタの2台がそれぞれ3回目のピットストップでドライバー交代を行なう。ただしポジションは変わらず。ロペスがドライブする7号車が8号車に対して一時、22秒のギャップを築く。
この位置関係が変わったのはスタートから3時間を過ぎ、4時間目が近づいた頃だった。両車が5回目のルーティンピットを終えた直後、ブエミからコンウェイに交代していた8号車がラップリーダーに浮上した。この直前まで首位を走っていた7号車のロペスが、アウトラップのターン14でコースを外れ、タイムを失ったことが逆転につながった。
■アルピーヌにトラブル発生
この約10分後、総合5番手を走行中だったアルピーヌがルーティンのピット作業に入るも、ピットアウトができずガレージに収められる。電子クラッチユニットの問題を抱えこの解決に約17分を要した。その後もアルピーヌはトラブルを解消できていない模様で、4時間半過ぎにふたたびガレージに入り10分ほどの作業を行っている。
好ペースでの走行を続けるトヨタ2台のギャップは4時間経過時点で1.1秒。このときのドライバーはともに日本人ドライバーで、首位を走る8号車は平川亮、7号車は可夢偉がドライブしている。
スタートから5時間10分過ぎ、毎回7号車よりも1周遅くピットに入っている8号車のピットアウト後、可夢偉の7号車がトップを奪った。この直後から徐々に2台が離れていき、6時間を経過段階でのタイム差は約8秒に拡がっている。トップと3番手708号車グリッケンハウスとの差は2分43秒、4番手の709号車とは3分27秒差だ。
“激戦区”のLMP2クラスは、2時間目以降トップを守っている38号車オレカ07(JOTA)が、レースの4分の1を終えた段階でもトップを走行中だ。これにスタート時にトップに躍り出た9号車オレカ07(プレマ・オーレン・チーム)が続いている。クラス3番手にはJOTAのもう一台である28号車オレカ07がつけ、混戦模様となっている4番手争いをリードしているのは43号車オレカ07(インターユーロポル・コンペティション)だ。
LMGTEプロクラスはポールシッターの64号車シボレー・コルベットC8.R(コルベット・レーシング)がレース最序盤を支配するも、2時間目からは僚友63号車がクラスリーダーに。順位を落とした64号車は92号車と91号車ポルシェ911 RSR-19(ともにポルシェGTチーム)にも交わされクラス4番手となったが、スタートから5時間目に91号車ポルシェにトラックリミット違反のペナルティが出たため3番手に浮上している。
3名の日本人ドライバーがエントリーしているLMGTEアマは、2時間目に99号車ポルシェ911 RSR-19をインディアナポリスで交わしてクラストップに立った79号車ポルシェ911 RSR-19がクラス首位を走行中。98号車アストンマーティン・バンテージAMR(ノースウエストAMR)が約20秒差で2番手に続き、首位から30秒おくれて77号車ポルシェ911 RSR-19(デンプシー・プロトン・レーシング)がクラス3番手につけている。
星野敏と藤井誠暢が乗り込む777号車アストンマーティン・バンテージAMRは17番手グリッドから順位を6つ上げ、現在はクラス11番手を走行している。一方、予選2番手からスタートした木村武史組57号車フェラーリ488 GTEエボ(ケッセル・レーシング)は、スタートから3時間直前にテルトル・ルージュの進入でコースをはみ出しヒヤリとさせるシーンもあったが、大事には至らず。しかし、その後に順位を落としクラストップから4周遅れでクラス20番手となっている。