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『その年、私たちは』『トッケビ』で雨が生んだ名シーン 梅雨に観たくなる韓国ドラマ7選

2022年06月11日 08:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『その年、私たちは』(写真はSBS公式サイトより)

 今年も梅雨が始まり、気付けば2022年も半年が過ぎようとしている。どんよりとした雲とジメジメした雨に、なかなか気分が乗らない日もある。そんな日こそ観たくなるような、雨のシーンが印象的な韓国ドラマをいくつか紹介したい。


【写真】『その年、私たちは』『海街チャチャチャ』など雨の名場面ほかカット26点


■『その年、私たちは』(2021年)


 自分の人生に、自分がいない。そんな男女が、愛を求め傷つき、自分の弱さを誰かと共有しながら成長していく過程を描いた物語。学年ビリのウン(チェ・ウシク)と学年1位のヨンス(キム・ダミ)が、1カ月間『賢い学校生活』というドキュメンタリーを撮影するところから物語は動き始める。“平凡な人生のふりをする”という言葉通り、自分の不幸に縛られたり、憐れんだりすることなく、幸せの数を数えて生きてみようと語りかけてくれるような作品だ。


 エモーショナルな雨のシーンといえば、本作の雨濡れキスシーン。詳しくは是非作品を堪能いただきたいが、太陽が出ている中で降る雨がとにかく煌めいていて美しい。そして、葛藤や迷いを雨で流してしまうような演出が、きっと心を晴れ晴れとさせてくれると思う。


■『海街チャチャチャ』(2021年)


 ある時から人生の時計の針が止まってしまった人たちが、もう一度輝き始める瞬間を描いた作品。都会のバリキャリ歯科医ヘジン(シン・ミナ)が、不条理な現実に耐えきれず、仕事を辞めて、とある海辺の町にたどり着く。そこで、住民から全幅の信頼を寄せられる謎のホン班長(キム・ソンホ)と出会い……。劇中では、田舎町の景色がとにかく心を癒してくれる。そして、よく食べよく寝てよく笑い、相手を理解しひたむきに生きてみようと思わせてくれる。


 決意を固める雨といえば、なんといっても覚醒の雨シーンを紹介したい。ヘジンと親友のミソン(コン・ミンジョン)が、気分転換にソウルへ行った矢先、雨が降ってくる1シーンだ。雨に濡れるのが嫌いだったはずのヘジンだが、なぜか雨の中を走っていこうと提案する。その時、彼女は自分自身の変化の理由に気が付き、とある決意を固めることとなる。雨に打たれながら笑うヘジンが感動的で、側で見守るミソンの愛ある台詞が面白さというスパイスを加えている。


■『賢い医師生活シーズン2』(2021年)


 大学時代を共にし、40歳で同じ病院の医師として働くこととなった5人の日常を描く物語。シーズン1からの連続性があり、続編というよりは、続話を観ている感覚に近い。シーズン2では、前作よりも恋愛要素が少し増え、登場人物それぞれが毎話最善を尽くす姿に変わらず心が温まる。


 特に忘れられない静寂の雨シーンといえば、本作を紹介したい。雨が降り注ぐ中、ソンファ(チョン・ミド)らが、車の中で静かにコーヒーを飲み続けるところから始まる1シーンだ。沈黙を破るように、ソンファが胸の内を明かしはじめ、一言一言とゆっくり言葉を紡いでいく。そんな彼女の緊張が視聴者にも伝わってくるような場面で、最後までしっかりと見届けたくなる名シーンだと思う。


■『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』(2018年)


 日々必死に耐えながら働き、家では母に結婚を急かされる主人公と、20年来の親友の弟を描く甘くて切ない物語。親友の弟ジュニをチョン・ヘインが演じており、彼の魅力が劇中で爆発している。 破壊的な笑顔で母性をくすぐり、一直線に主人公ジナ(ソン・イェジン)を愛し続ける年下男子ジュニ。そんな2人のくすぐったくなるような年の差の恋愛と、親や親友の猛反対によって引き離されていく心情変化が見どころの一つ。


 本作では、「Something in the Rain」というタイトルのOSTが使われており、大切なシーンほど雨が降る。そして、前進や停止といった信号機を想起させるような赤・緑・黄色の傘が登場する。甘くて溶けてしまいそうなシーンから、辛くて仕方がないシーンも多いが、雨と共に変化していく2人を最後まで見守りたくなる。


■『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』(2017年)


 不滅の命を生き、愛する人たちの死を見届ける運命を背負う将軍と、彼を運命から解放できる力を持つ女性を描いたファンタジーロマンス。将軍キム・シン/トッケビ( コン・ユ)が運命から解放されるためには、胸に刺さった剣をトッケビの花嫁に抜いてもらう必要があり……。人は4回生まれ変わるという世界観を持った作品で、登場人物が今何回目の人生を歩んでいるのかを想像しながら観てしまうような一作だ。


 雨に対する価値観が変わるといえば、本作。観た後に、雨が降るたび、きっとこう思ってしまう。「トッケビ が憂鬱だからだ.……」と。それほどに、雨と作品が融合し、没入感が凄まじい。本編では、雨が印象的なシーンが数多く存在するが、中でも、ウンタク(キム・ゴウン)が八方塞がりの状況に追い込まれ、海辺で涙を流す1シーンが目に焼き付いて離れない。


■『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』(2016年)


 疲れ切った主人公が、不慮の事故で朝鮮時代にタイムスリップし王宮で暮らすこととなってしまう物語。タイムスリップした先で、8人の個性豊かな皇子たちと出会い、共に過ごすこととなり……。ラブコメかと思いきや、涙なしでは見れないシーンも多く、豪華すぎるキャストが勢揃いの一作となる。権力争いに翻弄されながらも、人生を全うしようとする姿に目を奪われ、気付いた時には世界観に没頭してしまう。


 雨をしのぐのは、傘だけではない。劇中では、第4皇子ワン・ソ(イ・ジュンギ)の“とある神がかった1シーン”を観ることができる。こちらも、詳細は是非作品をお楽しみいただきたいが、イ・ジュンギの演技に引き込まれてしまうと思う。


■『ピノキオ』(2014年)


 嘘をつくとしゃっくりが止まらなくなるピノキオ症候群の女性と、事故によって父と離れ離れになった男性を描くサスペンスロマンス。幼少期から一つ屋根で暮らすこととなった2人が、記者を目指しながら事件の真相に迫っていく。恋愛あり、ハラハラありで、最後まで視聴者を飽きさせない一作となっている。


 一風変わった雨宿りといえば、本作の”三角コーン雨宿り”を挙げたい。クイズ大会に出場したダルポ(イ・ジョンソク) をイナ(パク・シネ)が迎えに行く1シーンだ。壊れた傘を持ってきたイナを見かねたダルポが、三角コーンを使って……。じゃれあいながらも、言葉にならない心の声がナレーションとして入る1シーンは、どこか切なく印象的だと思う。


 この他にも雨が印象的な韓国ドラマがたくさんある。書き出すときりがないが、ぜひお気に入りの1シーンを見つけてお楽しみいただきたい。


(韓国ドラマ好きのだらだら子)