僕はキャリコネのこちらのコラムで、これまで何本もパチンコ依存に陥って自縄自縛の状態となった人たちの話を紹介してきた。いい大人が自分の裁量で賭博をして破滅しても、「残念な人たちだなぁ」と思いこそすれ「こういう生活やめればいいのに」みたいなことは、あまり強く考えることはなかった。
それは彼らが、失うものが乏しい、ある意味で無敵の人みたいなものだったからだ。だけどこれがもし、家族がいるような立場の人だったら、さすがに僕ですらそうも言っていられない。
恐ろしいことだが、パチンコ依存症の人の中には、子供がいる人もいるのが現実。今日はそういう親を持って苦労をした経験を持つ話を紹介していきたい。(文：松本ミゾレ)
「親が一日中留守でスーパーの試食コーナーで飢えをしのぐ時もある」
先日、5ちゃんねるに「パチンカスに育てられたワイの幼少期が悲惨すぎると話題にｗｗ」というスレッドが立っていた。スレ主はパチンカス。つまり、パチンコ依存状態に陥った親に育てられた過去について書いている。親は離婚し、母親と一緒に暮らしていたという。
・母の口癖は「勝てそうな気がする」
・「ちょっと出てくるね」といい親がよく家から居なくなる
・負けがこむと飯はカップ麺のみに、勝手に私物を売られる時もある
・親が一日中留守でスーパーの試食コーナーで飢えをしのぐ時もある
・親がパチンコで出た時は上機嫌になり、基本なんでも買ってくれる（後日金がなくなると売られるが）
僕も相当貧しい生まれだったが、母親はマルチとカルトにハマりこそすれ、ギャンブルには目が向かなかったために僅差でまだマシだったのかと思わされてしまう。そんな酷い状況である。
子供をほっぽってパチンコして、飯も用意しない親って最悪だ。しかも子供の私物を売って、そのお金を握りしめてまた負けに行くんだから始末に負えない。
こういう人が子供を育てるなんて難しいし、もしもまともに子供が成長したとしても、それは親の努力の成果ではなく子供の人間力の賜物という気がする。後は、親以外の大人からの適切なサポートとか。
「電話を受けるときにワンコールがないととっちゃだめ」というルール……
僕もパチンコをするし、昔はパチンコホール企業の社員でもあったので、子供に関するパチンコユーザーの話というのはいくつか記憶している。たとえば生まれたばかりの赤ちゃんを連れて、髪の毛をバカみたいな色に染めた母親がタバコの煙が充満したパチスロコーナーで一日中遊技していたとか。
これにはさすがに周りもたしなめたが、当の母親が「うるせえよ」と恫喝すらしてくるので舌を巻いてしまった。
それに、これまで全国で車内に子供を放置して親がパチンコに興じるという事例が発生している。そのせいで夏場など、パチンコホールの店員は持ち回りで駐車場に出向き、車内に子供が取り残されていないかのパトロールまでやらされている。
一部のモラルのない親がいるせいで、なんで店員さんたちがなんでそこまでやらされなきゃならないのか。しかも子供を車内に残したことを注意しても逆ギレする親もいる。
パチンコ依存症というのははっきり言って異常な状態なのだが、それを自覚しない親が子育てをするなんて、パチンコで10連勝するぐらい難しいのだ。
スレッドには、スレ主以外にもパチンカスの元に生まれてしまった不幸を味わった人の書き込みがある。そちらも紹介させていただきたい。
「俺の場合はしょっちゅう電気ガスが止まる。電話を受けるときにワンコールがないととっちゃだめと言う借金取り回避のルールがあるとこ。親の兄妹系8人が全員パチンカスで相互に借金しあってて頭下げにきたり逆に頭下げにいったり。返済が間に合わなかったらと悪いことに手を染める親」
親の兄弟全員パチンカスってのもしんどいが、応対する電話は事前にワンコールがあるものだけ、というルールを子供に強いる親は最強にしんどい。こういう親のもとで育ったら子供がどうなるかってのを、当事者がギャンブル依存なので正常に判断できないであろうことがまた恐ろしい。
幸いにして僕の周りには、親がパチンカスだったという友人はいない。また、現在「パチンカスだけど子供がいます」みたいな友人も、多分いないはず（こっそりやってる奴はいるだろうけど）。
常識を伴っていないパチンコ依存症状態の親は全国にほんの一握りしかいないはずなんだけど、それでも確実に存在しているってのは恐ろしいことだ。
