円安に伴う物価上昇が止まらない。これまで食料品などの値上げが散々話題になってきたが、今度は新型「MacBook Air」が想定以上の価格になり、Macユーザーからは悲鳴が出ている。(文:昼間たかし)
10万円台前半だと思っていたら16万4800円!?
Appleは6月6日(現地時間)に米国で新製品の発表会を開催。今回一番の目玉となったのが自社設計の新型チップ「Apple M2」を搭載した「MacBook Air」だ。アメリカでは最低価格1199ドルで発売されることが決まった、このパソコン。日本国内では円安を反映して16万4800円になった。これは痛い。
今回の円安は驚異的だ。この数年は1ドル=110円前後で推移していたが、2022年初頭から急激に円安に。2月には115円だったものが5月には128円に。そして、今日はついに133円台に突入した。
円相場は5月9日に1ドル=131円台前半になった後、一旦円安の流れが止まっていたが、日本銀行の黒田東彦総裁が6月6日に「家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言。金融緩和を継続する姿勢も表明した。これを受け、一層の円安が進むことになったわけだ。
その結果、安価で高性能なノートパソコンだったはずのMacBook Airがいきなり高級品になってしまった。旧製品となるM1もアメリカでは値下げされて最低価格999ドルになったに対して、日本では11万5280円から13万4800円に値上げ。今後発表されるであろう、新型iPhoneもどういった価格設定になるか不安の声も広がっている。
賃金が物価の上昇に追いついていない
総務省が発表している4月の消費者物価指数は総合で前年同月比2.5%の上昇。前月比0.4%の上昇となっている。一方で、厚生労働省が出している4月の実質賃金(賃金が、実際の社会においてどれだけの物品の購入に使えるかを示す)は前年度比マイナス1.2%だった。
現金給与総額は前年度比1.7%上昇だったので、コロナが明けた雰囲気の中で収入は増加しつつあるが、物価の上昇には追いついていないというわけだ。
しかし、値上げの波はまだこれからだ。帝国データバンクは6月1日、主要食品メーカー105社を対象に実施した調査の結果の結果を発表している。それによると、2022年内に値上げした、または値上げを予定している食品は1万789品目。現状の値上げは小麦などの原材料の価格高騰に起因するものだが、原油高による物流コストの上昇に加え、円安によるものも見られるようになってきている。今後も、円安が進めば物価高はさらに勢いを増しそうだ。そろそろベランダで野菜を育て始めるか……?