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=LOVE、夢のステージに向けて迎えた変革期 MCなし怒涛のパフォーマンス見せた沖縄でのツアーファイナル

2022年06月07日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

=LOVE

 =LOVE(以下、イコラブ)の全国ホールツアー『どう考えても、君ってイコラブのこと好きじゃん』が、5月21日に沖縄県・那覇文化芸術劇場 なはーと 大劇場にてファイナルを迎えた。


(関連:【写真あり】=LOVE、初上陸の沖縄ツアーファイナル公演


 全国10カ所、計18公演にわたる、イコラブにとって過去最大規模となった今回のツアー。初のライブ開催となった4月の北海道公演を皮切りに、ツアーファイナルの沖縄もまたイコラブには初上陸の土地である。ツアー開催自体は今年1月にグループの公式YouTubeチャンネルから生配信で発表された。12月リリースの10thシングル『The 5th』から初夏を迎えんとする今の季節までの間に、イコラブがここまで変革を遂げている未来を誰が予想できただろうか。


 ツアーが大きく変容したのは7カ所目となる東京公演。周知の通り、デビュー時よりイコラブのセンターを務めてきた髙松瞳が11thシングル『あの子コンプレックス』でそのポジションから身を引き、佐々木舞香が新センターに立つことに。「今のイコラブは私がセンターじゃない方がもっと上を目指せるんじゃないかなと思いました」というセンター降板に至るまでの思いがYouTubeを通じて髙松の口から明かされたのが、イコラブの結成5周年記念日でもある東京公演の前日。5年にわたるセンターが交代するという衝撃が冷めやらぬ中、「あの子コンプレックス」は初披露されたというわけだ。


 それから約1カ月後のツアーファイナル。リリース直前というタイミングもあり、沖縄公演では「あの子コンプレックス」に加え、シングル収録曲が惜しげもなく初披露された。当初は昼夜別々の曲がパフォーマンスされる予定だったというが、結果的に収録となる4曲が両公演で歌唱されている。その1曲目として先陣を切った「知らんけど」は、佐々木舞香、野口衣織、諸橋沙夏によるユニット曲。ありそうで意外になかった、歌唱力に定評のある3人での楽曲だ。後のMCでセンターを務める野口が話していた通りにイコラブとしては公式初のスタンドマイクを使用している。大人の恋愛を歌ったインパクトある歌詞に、都会的な雰囲気を醸し出す間奏のエレキギター、気怠くも勝気な3人の歌声が、イコラブに新たな世界観を生んでいる。


 続くは、髙松にとって初のソロ曲となる「僕のヒロイン」。グループでソロ曲を歌うのは、諸橋の「My Voice Is For You」、齊藤なぎさの「現役アイドルちゅ~」、野口の「拝啓 貴方様」に続き、4人目。このタイミングで髙松にソロ曲を与えるという、プロデューサー 指原莉乃の優しさを感じさせる。さらに同曲ではリーダーの山本杏奈が初めて振り付けを担当。ヒロインであり、太陽であり、主人公はいつだって君なんだよーーそんな指原が髙松に宛てたラブレターとも言える歌詞が胸を熱くさせる1曲だ。作曲は「青春″サブリミナル″」でも知られる塚田耕平。筆者が観た昼公演では、正真正銘の初披露ということで、緊張もあってか後のMCで髙松が涙する場面も。それほど思いの詰まった楽曲になっているということでもある。


 そして、佐々木センターの「あの子コンプレックス」。東京からすでに数公演を重ねているということもあり、そこに緊張の色は感じられない。憂いを帯びた佐々木の歌声と表情が、彼女がセンターに選ばれた理由を物語りながら、その両脇にはもう一つの失恋ソング「ズルいよ ズルいね」でセンターを担った齊藤、「手遅れcaution」を筆頭に抜群の表現力を持つ野口という布陣。特に2番サビの〈知らないバニラが香った時〉(齊藤)、〈魔法が解けていく〉(野口)は“指原節”とも言える歌詞の強烈さも相まって、脳裏にこびりつくパート。ファンからも人気の高い“いかりんぐ”こと佐々木と野口の大サビでのユニゾン畳み掛けも、たまらないポイントだろう。


 『あの子コンプレックス』からの収録曲披露、ラストを飾るのは山本が単独で初めてセンターを務める「笑顔のレシピ」。すでに公開されたMVではっきりと明示されているように、歌詞の〈あのステージ〉が指すのはグループにとって目標の夢の場所「東京ドーム」である。5年前の結成のあの日、多くの者が夢物語として捉えていたグループの目標が今、こうして現実味を帯びてきている。メンバーとファンとの物語性を描いた「『君と私の歌』」のように、これからこの「笑顔のレシピ」も大切な楽曲になっていくことだろう。


 ここまで『あの子コンプレックス』収録曲のパフォーマンスを中心に書いてきたが、これはアンコールの冒頭4曲。対して、本編はMCなしの怒涛の連続19曲が展開された。途中にはVTRが挟まれたり、ユニット曲ブロックがあったりもしているが、これほどまでに多彩な楽曲群を一気に披露できるのはメンバーの実力あってのものである。大谷映美里センターの毒っ気溢れるメルヘンナンバー「Poison Girl」に始まり、その公演限定のセトリが決まるガチャガチャ企画による「ようこそ!イコラブ沼」を経て、本編ラストを締めくくる「青春″サブリミナル″」まで。


 筆者が驚いたのは、“いかりんぐ”の佐々木と野口のコンビで歌唱した≠ME(以下、ノイミー)の2ndシングル曲「まほろばアスタリスク」のカバーだ。昨年10月に開催された『イコノイフェス2021』では、コラボレーションとしてノイミーの楽曲がパフォーマンスされることはあったが、こうしてイコラブ単独でノイミーのカバーが披露されることは初めてである。「失恋」というテーマで次曲の「ズルいよ ズルいね」(さらには「あの子コンプレックス」にも)と繋がる構成であることは理解しつつも、ほかに持ち曲がありながらここで姉妹グループの楽曲を披露することに疑問が湧くファンも少なからずいたことだろう。ただ、この日の夜公演で発表された=LOVE、≠ME、≒JOYの3組による『イコノイジョイ2022』の開催を考慮すれば、今夏に向けての助走、または姉妹グループとしてのリスペクトとも捉えられる。今年も富士急ハイランド コニファーフォレストを舞台に昼夜2公演で行われる野外合同コンサートは、昼公演が「ウォーターパーティー」、夜公演が「シャッフルパーティー」といったテーマであることもアナウンスされている。指原プロデュースの第3のグループとして、今年3月にお披露目された≒JOYにとっては初のライブステージとなる。


 東京ドームという夢のステージに向け、変革の時を迎えるイコラブ。『イコノイジョイ2022』ではイコラブを先頭に一大勢力として繋がりを増す、指原プロデュースグループの今が実感できるコンサートになるはずだ。(渡辺彰浩)