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JO1、2ndアルバムがチャート首位 グループのステップアップが反映された耳心地のよい一枚に

2022年06月04日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

JO1『KIZUNA』

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-06-06/


 2022年6月6日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのはJO1『KIZUNA』で、推定で260,890枚を売り上げた。抜群のセールスを見せている。2位以降はATEEZ『BEYOND:ZERO』(38,347枚)、3位THE BOYZ『SHE’S THE BOSS』(35,088枚)、4位MAN WITH A MISSION『Break and Cross the Walls Ⅱ』(33,678枚)、5位Nissy(西島隆弘)『HOCUS POCUS 3』(33,274枚)と、初登場で3万枚台を売り上げるアーティストが続く。ほか、トップ10圏内ではイラストレーター兼VTuberとして知られる、しぐれういの初となるアルバム『まだ雨はやまない』が9位にランクイン。売上枚数は7,928枚だった。


(関連:JO1、『KIZUNA』にも表れたグループ内の役割の変化 デビュー3年目の11人の成長


 5位のNissy(西島隆弘)『HOCUS POCUS 3』はクールなダンスサウンドが印象的な一枚で、ハイトーンなのにやわらかくて渋いボーカルがなにより心地よい。サビで疾走感が解き放たれるさわやかな「Jealous」や、BPM抑えめな4つ打ちに華やかなハーモニーが映える「Do Do」は出色。


 さて本題。今回取り上げたいのは、首位JO1『KIZUNA』。前作『The STAR』からおよそ1年半ぶりのリリースとなる2ndアルバムだ。オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』をきっかけに2020年3月にデビューしたJO1は、昨今のボーイズグループの隆盛を勢いづけた立役者と言っていいだろう。とはいえデビューがちょうど新型コロナが感染拡大しはじめた時期と被ってしまったがゆえに、同時代の多くの新人グループと同様に、困難も少なくなかっただろう(なにしろ初の有観客ライブが開催できたのは2021年11月、デビューから1年半後のことだった)。


 『KIZUNA』を一聴して思うのは、グループとしての音楽的な魅力が「あふれんばかりの勢い」から「成熟を感じさせる完成度」になっている、ということだった。前作『The STAR』のサウンドは高音域を特に強調したアグレッシブなもので、楽曲のスタイルや歌唱の傾向もやはりアグレッシブだったように思う。可能性を感じる荒削りな質感は、スタートをきったばかりのグループならではの魅力であった。一方『KIZUNA』は、ボーカルもトラックもメリハリがきいて、高音域でピンと華やかな響きをつくりながら、バランスのとれたスケール感のあるサウンドへ変化している。個々の楽曲やパフォーマンスはもちろんのこと、耳からつたわる全体の質感にも、ステップアップしていくJO1の姿が感じられる。


 楽曲単位でいえば、ディスコブギー的な4つ打ちにアクセントとしてトラップやフューチャーハウスが顔を出す「Move The Soul」や、同様のグルーヴィな4つ打ちにストレートなハーモニーの美しさをぶつける「Born To Be Wild」がおもしろい。ハーモニーという点ではハーモナイザー(いわゆるデジタルクワイア)の質感をうまく使いつつ、ボーカルにぐっとフォーカスをあてるアレンジが耳を捉える「ZERO」も良い。16ビートの洒脱なグルーヴにシティポップ的なドラマチックなコード感が添えられる「STAY」も手堅く心地よい。


 このように印象的な楽曲を並べていくと、前作よりもメロディ志向、ハーモニー重視のものが多いように思える。さらに、単にそういう楽曲が揃っているというだけではなく、メリハリがついたサウンドとパフォーマンス力の向上も影響しているのだろう、「歌」に聴きどころの多いアルバムに仕上がっている。いちリスナーとしてグループへの信頼度が高まる一作だった。(imdkm)