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上智大学を「賃金不払い」で刑事告訴、労基署からの「是正勧告」に応じず 「そんな前例聞いたことない」

2022年05月31日 20:21  弁護士ドットコム

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上智大学ではたらく60代の非常勤講師の女性に賃金を支払っていないとして、中央労働基準監督署が、大学を運営する学校法人「上智学院」に是正勧告を出した。女性らが5月31日、会見を開いて経緯を説明した。


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大学側は勧告書を受け取らず、是正勧告に応じていないという。女性が加盟する労働組合「首都圏大学非常勤講師組合」(横浜市)の佐々木信吾書記長は同日、労基法違反(賃金支払い)で中央労働基準監督署への刑事告訴に踏み切った。



佐々木氏によると、是正勧告に大学が従わないという前例は聞いたことがないという。女性は「これだけ有名な大学が法律を守らないのは信じられない」と話した。



●教材を作成した賃金を求めたが断られてしまった

労基署に賃金不払いを申告したのは、上智大学で留学生に日本語を教える女性講師だ。給与は授業の時間に応じて支払われている。



女性は2019年~2021年、会議への参加や、学科コース全体で他の講師も使うオンライン教材の作成など授業時間外の計約105時間分の賃金約75万円の支払いを求めたが、授業給に含まれるとして大学側から断られたという。



労基署は2021年10月15日、労基法24条違反(賃金の支払い)があるとして是正勧告を出したという。大学側は会議への参加等については数万円を支払ったが、教材作成については拒否したため、労基署は2022年2月16日、再度の是正勧告をおこなった。



しかし、大学側は勧告書の受け取りを拒否。3月に督促状が発行されるも、回答はなかったという。



●是正勧告無視をまかり通らせてはいけない

「一罰百戒の意味も込めて、今日の昼に刑事告発の告発状を提出してきました」と話す佐々木さん。



「名のある大学が、命と健康を守る労働基準法にもとづく是正勧告を無視をした。無視していいんだと思う使用者もいるはず。それがまかり通ってはいけない。大学の法学部の人たちはなんてことをしたんだと思っているはず。労基署の是正勧告は機能しなければいけません」(佐々木さん)



●「非常勤講師への待遇がひどい」(女性)

女性は「日本語講師の待遇、全国の非常勤講師の待遇がひどいと感じている。その一助となればよい」との思いから申告したと話す。



労基署の担当者と話した際、大学側が是正勧告に従わないことについて「中小企業が雲隠れすることはあるが、大企業や有名な大学では聞いたことがない」という趣旨のことを言われたそうだ。



●上智大学側は

是正勧告とその対応、刑事告訴について、弁護士ドットコムニュース編集部が問い合わせたところ、上智学院は次のように回答した。




〈中央労働基準監督署から発出された是正勧告について、現在、同監督署との相談・協議を続けながら対応を検討しているところです。本件については、同監督署との相談・協議が継続中であるため、個別の事案に関する詳細な内容についてのご回答は差し控えさせていただきます。また、コメントのご依頼もございましたが、その点については事実の確認ができておりませんので、申し訳ございませんが回答を差し控えさせていただきます〉