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EVの老舗・日産がフラッグシップ車「アリア」に盛り込んだ最新機能とは

2022年05月30日 11:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
“和”テイストの内外装とコンパクトな電動システムによる必要充分な走行性能を見せてくれた日産自動車「アリア」のベーシックモデル「B6 2WD」。さまざまな最新機能を搭載しているが、今回はその中で気になったものを紹介しよう。


○ハンズフリー走行の精度は抜群!



最初に面白いなと思ったのが「ハプティクススイッチ」だ。ダッシュボードの空調スイッチと、センターコンソールにある「ドイブモード」「e-ペダル」「オートホールド」の各スイッチに採用されている技術で、フラットなパネルにプリントしたように見える各スイッチは、パワーをONにするとフッと浮かび上がるという粋な演出。仕組みとしては静電容量方式となっている。押すと振動フィードバックがあるので操作に確実感があり、ヒジを置いたりするセンターコンソールのスイッチは、より強く押し込まないと反応しない仕組みとなっているなど芸が細かい。


ベースとなるパネル自体が光沢を抑えたシックな木目調であるのもいい選択で、指紋が目立ったり、外光を反射してテカテカしたりしないので、とても落ち着いた印象になっている。



湾曲した2画面によるメーターディスプレイとセンターディスプレイは表示が大きく、とても見やすい。操作感覚は使い慣れたタブレットのようだ。バックミラーはカメラとモニターのデジタルディスプレイとなっている。


走り出してみると、やっぱり使いたくなるのが日産自慢の運転支援技術「プロパイロット2.0」だ。ハンズフリーが可能な「2.0」を搭載するのは「スカイライン」に続きアリアが2車種目。アリアではGPS+準天頂衛星「みちびき」を活用することで精度が50cmまでアップしている。GPSのみで精度が10~15mだった従来型に比べると、車線が多い道路でも走行中の自車レーンまで正しく特定できるようになった。


羽田から千葉に向かう東京湾アクアライン上でステアリングのプロパイロット作動ボタンを押すと、コックピットのディスプレーカラーがブルーベースとなり、ハンズオフ走行が可能に。色で知らせるというやり方はわかりやすい。



プロパイロット2.0の起動中は、ステアリングから手を離した状態でも、しっかりと追従運転を行なってくれた。アリアは遮音が徹底しているので、風切り音やロードノイズが聞こえない静かな車内でのハンズオフ走行体験は、新しい乗り物に乗っている感が半端ないのである。前方に遅いクルマが走っていると、「前方に遅いクルマがいます。安全を確認してください。→で右に車線変更します」と車線変更を提案してくるのもちょっと新しい体験。一方でよそ見をしていると、ステアリング奥でドライバーを見張っていたカメラが反応して、すぐに「警告 前を向いてください」と叱られてしまうのだ。



海底トンネルに入ると、一瞬の間があって「一部のハンドル支援機能が作動できません。GPS信号を受信できません」の表示とともに、メーター照明やアンビエントライト(暗くなるとよくわかる)がグリーンベースとなり、ハンズオンの「1.0」に切り替わったことを知らせてくる。イルミネーションの色によってプロパイロットの作動状況を伝えるのは、ドライバーだけでなく乗る人全てにわかるので、安心感があっていいと思う。

運転支援面では「プロパイロット リモートパーキング」も頻繁に使えそうだと感じた。例えば出庫時に横のクルマとのスペースが狭い時には、車外からインテリジェントキーでドアをアンロックしてシステムを起動後、望みの位置までスイッチを押しつづければクルマが前進して出てくるので、乗り込むのが容易になるし、入庫時にはその逆も可能だ。駐車場に戻ってみたら隣のクルマが思いのほかギリギリの位置に止まっていて、乗り込むのが大変、といったような場面で活躍しそうな機能だ。


自然言語対応の対話型インターフェイスも試してみた。アリアが搭載するのは「ハローニッサン」で起動する「ボイスアシスタント」と「Amazon Alexa」の2つだ。



行き先を設定するため、出発してすぐに「ハローニッサン」でアシスタントを呼び出すと、「コマンドを音声入力するか、選択してください」と返事が返ってきて、ディスプレー上には「ご用件をおはなしください」の表示が出る。行き先を告げると「ルート探索しますか? 目的地を調整しますか?」と声で確認してきたのち、すぐにナビ上に目的地を設定してくれるので、とっても便利。途中でしゃべる人が入れ替わったとしても、きちんと作業を継続してくれるのも確認できた。その素早さときたら、ちょっと前のナビで、指で1文字1文字入力しながら目的地を設定していたのに比べると、本当に雲泥の差だ。


「ドアtoドア ナビ」アプリを使えば、カレンダーと連携して目的地を設定できる。ドライブ当日には、今いる場所からクルマまでのルート案内や車内環境の設定、乗車後は充電も考えたルートプランによる走行、到着後はパーキングから目的地までの案内という一連のナビゲーションを行ってくれるので、こちらも使えそうな機能だ。



2つの音声入力の使い分けについて日産に聞くと、車内のコントロールについては「ハローニッサン」で、Amazon関連の音楽やショッピング、自宅のスマート家電の操作などについては「Amazon Alexa」で行なってほしいとのこと。アリアのオーナーになってしばらく使っていけば、どちらを選んだらいいかがわかるようになってくるはずだ。



試乗時間がなくなってしまったので、これ以上の機能を試すことができなかったのだけれど、アリアには便利な機能がたくさん搭載されている。BEVの老舗らしい熟練の走行感覚とともに、機能面でも日産のフラッグシップモデルらしい仕上がりになっている。


B6 2WDの本体価格は539万円。試乗車には特別塗装色、プロパイロット2.0、リモートパーキング、ステアリングスイッチ、アンビエントライト、ダブルシャークフィンアンテナ、パノラミックガラスサンルーフなどメーカーオプションが79.53万円分と、撥水コートやドラレコ、石庭調フロアカーペット(7.48万円!)のディーラーオプション16.4432万円分が取り付けられていたのだが、購入時には上記のオプション代と同額程度の補助金が見込めるはず。このパターンなら500万円台の前半で手に入れることができそうだ。


原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)