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『私の解放日誌』3兄妹の平凡な日々に衝撃の展開 2022年を生きる彼らはどうしている?

2022年05月29日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『私の解放日誌』(写真はJTBC公式サイトより)

 第12話で、これまで描かれていた舞台が2019年だったことが明らかになった『私の解放日誌』。2022年を生きる3兄妹とク(ソン・ソック)は一体何をしているのか、気になっていた人も多いはずだ。


【写真】『私の解放日誌』ク(ソン・ソック)とミジョン(キム・ジウォン)


 クは、元いたホスト業界の社長として舞い戻っていた。料金をツケにして払わずに逃げた客に対して叱責する姿は、当事者でなくても震え上がるほどだ。今までの寡黙なクのイメージが覆された瞬間だった。それでも、出されたおかずを見て、思わずヨム家を懐かしむ様子は、無口で人との関わりを好まない、ミジョン(キム・ジウォン)を好きなクのままだった。


 チャンヒ(イ・ミンギ)は親に知らせず、静かに仕事を辞めていた。今まで、車を買うにも両親の許可を得るほど、長男として両親の意向に従う姿勢を崩せずにいたにもかかわらずだ。


 辞めよう辞めようと思い続けて数年、なぜかやっと辞める決心がついたと言う。しかしチャンヒは、父親に報告することにナーバスになっていた。大体なんと言われるか、想像がつくからだろう。確実に、前向きに送り出すような言葉ではないのだ。


 そうこうしているうちに、ギジョン(イエル)が両親に、チャンヒが仕事を辞めたことを告げてしまう。チャンヒは父親に対して、「(8年間働いてきたのに)今までよく頑張ったと褒めてももらえないのか?」と想いをぶつけることになった。決して父親としては、そう思っていないわけではない。陰ながら息子が全力疾走しているところを応援してきたつもりだった。それでも、自分の仕事や人生で背負ってきた苦労と比較して厳しくなってしまうのだろう。


 一方で母親は、父親ほど厳しくないものの、チャンヒが仕事を辞めたことにショックを受けていた。しかし思い切って辞めたチャンヒを見たからか、自分も結婚してから教会にも行けず、「メシ炊き係になって時間がない」と思わず苦労をこぼす場面も。


 また母親は、ギジョンに対して「彼氏に会いたい」と言い、テフン(イ・ギウ)と2人で食事をしているところを横から覗いていた。覗くだけと約束したのにもかかわらず、思わず話しかけてしまった母の表情は、家にいる時とは違い優しい笑顔に溢れていた。


 その帰り道、近所の人に、「犬が逃げ出した」とミジョンが泣いていたことを聞いた母は、重い足取りで家に向かうことになる。仕事や家事ばかりで自分の子供たちのことすら、あまり知らなかったからではないだろうか。自分が一番知っていると思っている人の話を人伝に聞くのは悔しいものだ。


 さらに衝撃の展開が続く。昼寝をした母親は、そのまま息を引き取ってしまったのだ。今まで食事や飲み物を用意したり、畑仕事をしたり、子供たちと父親の関係を取りもつ存在だったがために、彼女がいなくなるということはヨム家にとって大きな変化につながった。父親は料理をするようになり、3兄妹は家事を分担する。やはり、家族にとって「母親」という存在は大きい。ある日突然、永遠に続きそうな平凡な日常は終わりを告げるということも改めて気付かされた。


 物語の構成として面白いのは、これがまだ過去の話であるということ。現代を生きるクが、過去のヨム家を辿ってくれたおかげで、母親が亡くなって以降、3兄妹でソウルに引っ越したらしい、というところまで今回は動向を追うことができた。5月最終週で結末を迎える『私の解放日誌』。どのように「解放」されて、今を生きているのか。彼らの人生を通して、自分自身の「解放」へのヒントにしたい。


(伊藤万弥乃)