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BE:FIRST、「クリエイティブファースト」体現する能力の高さ SOTA、RYOKI、SHUNTOのラップスキルに注目

2022年05月19日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

BE:FIRST『Bye-Good-Bye』

 5月18日に2ndシングル『Bye-Good-Bye』をリリースしたBE:FIRST。荘厳なサウンドを響かせた1stシングル曲「Gifted.」とは真逆の、ポップでカラフルなタイトル曲や、特色あるカップリング2曲においてもグループの理念を確実に打ち出している。全員が安定した歌唱力を誇る彼らの楽曲はリリースの度に高い評価を集めるが、ただ提供された曲をパフォーマンスするだけでなく、作詞・作曲・振付など自分たちでクリエイトする能力を持つのもこのグループの持ち味だ。そこで今回はBE:FIRSTのクリエイティブ能力に焦点を当て、今後の可能性を考察していく。


(関連:BE:FIRST TVから見えるBE:FIRSTメンバーの成長 ロケ先で学んだことをアーティスト活動に落とし込む姿勢


 彼らの楽曲に欠かせない要素の一つがラップパートだ。主にSOTA、RYOKI、SHUNTOを中心としたメンバーがラップパートを担うことが多く、曲の色に応じたスキルフルなラップを展開している。リリック提供は、BE:FIRSTが所属するBMSGの社長でプロデューサーでもあるSKY-HIや、オーディション時から親交のある音楽プロデューサー、さらにはレーベルメイトにあたるNovel CoreやAile The Shotaから行われることもあるが、「Kick Start」など自分たちで作詞や振付を手がける楽曲ではラップパートも自らの手で綴り、その光るワードセンスで語る彼らの歩んできた道や心情の描写が聴く人の心を一段と惹きつけている。


 JUNONの口笛とともにSOTAとRYOKIのラップで始まる同楽曲では、SOTAのラップパートにおいて、BE:FIRSTが誕生したオーディション『THE FIRST』で出会った仲間との日々を、合宿審査に進んだ15人のチームA・B・Cになぞらえて〈あのA, B, Cから生きる経験値〉と巧みに表現。〈to be〉と〈勇気〉、〈経験値〉と〈Let it be〉など、要所で韻を踏んでいるのも見て取れる。また、RYOKIは得意の英語を活かして流暢な英語ラップを披露し、オーディションの審査曲であった4曲「Be Free」「Move On」「To The First」「Shining One」の曲名を見事に歌詞中に入れてみせるサプライズも。RYOKIはオーディション中からSKY-HIに“ラップ向きの歌い方である”ことを見抜かれていたが、その予想通り、今では難易度の高いラップパートも難なく昇華し、楽曲のレベルをラップの側面からも引き上げる存在だ。


 この2人はリリックセンスはもちろんのこと、ラップスキルがみるみる向上しているメンバーでもある。それもそのはず、同郷の湘南出身のラッパー・JP THE WAVYなど普段からヒップホップを好むSOTAと、K-POPなど高いラップスキルを繰り出す音楽を普段からよく聴いているRYOKI。2人は相当な努力を重ねたはずだが、もとより「ラップを聴く耳」=「ラップができる音楽感覚」を備えているのだ。


 一方で、SHUNTOは非常に優れた音楽的な器用さを持つメンバーだ。SOTAやRYOKIのように元からラップミュージックに傾倒していたからというよりも、彼の持つ潜在能力がラップパートを担うようになったことで一層の輝きを増し始めている、と言うのが的確であるように思われる。『Bye-Good-Bye』のカップリング曲である「Betrayal Game」でラップデビューしたJUNONやラップパート未挑戦のメンバーも含め、BE:FIRSTのラップがどう進化していくかが見どころだ。


 加えて、彼らのクリエイションに欠かせないのがコレオグラフィ(振付)の才能だ。前回のコラム(※1)で少し触れたが、ダンサー経験のあるSOTAを中心にメンバー全員で意見を出し合って振付やパフォーマンス修正を行う様子が、さまざまな場面で見て取れる。全員が当初から振りを作ることができたというわけではないが、今では自信を持って意見を出し合っている様子が見受けられるのも、オーディションで培った“何もない状態からのクリエイト力”の賜物と言えるだろう。現段階で自分たちが振付をした楽曲は多くなく、彼らのコレオグラフィの真の実力がまだ発揮されていないのをもどかしく思うファンもいるかもしれないが、毎度予想を超える作品を生み出すBE:FIRSTがその点をどう打ち出してくるかは、ポジティブな意味で今後の課題とも言える。


 「クリエイティブファースト」を掲げるBE:FIRSTがその秘められたクリエイティビティをどれほど前面に出していくのか、絶妙な匙加減でファンを楽しませる彼らの手腕に引き続き注目していきたい。


※1:https://realsound.jp/2022/05/post-1026959.html(風間珠妃)