人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』とサントリーの缶コーヒー『BOSS』のコラボ企画が話題になっている。今回のコラボではウマ娘バージョンの「ボスジャン」に加え、ウマ娘たちが歴代ボスジャンを着たイラスト入りのQUOカードも当たるそうだ。
缶コーヒーのBOSSといえば「ボスジャン」というぐらい、オリジナル・ジャンパーのプレゼント企画を延々やっているので有名。歴代ボスジャンのイラストを見て「そういえば、いつからやってたんだっけ」と調べてみたところ、意外な再発見があったので紹介する。(文:昼間たかし)
矢沢永吉のCMで人気沸騰
サントリー「BOSS」は、不評だった缶コーヒー「ウェスト」の後継として登場したブランド。1991年に一部地域で試験販売、1992年8月から正式販売された。このブランドの知名度をグッと引き上げたのが「ボスジャン」を含めたキャンペーン戦略だった。
CMには日本ロック界の第一人者である矢沢永吉を起用。当時、ほとんどテレビ出演していなかった矢沢がCMで冴えない中年男を演じるというインパクトで、「BOSS」の知名度は瞬く間にアップした。
1993年の「初代ボスジャン」キャンペーンの当選者は2万人。「キャンペーン以外で手に入らない」というレア感もあり、かなりの熱量があった。実際、これがきっかけで盛り上がったのがコーヒー・紅茶ドリンクの懸賞ブームだ。
『朝日新聞』1996年2月17日付夕刊によると1995年には、こんなキャンペーン合戦が繰り広げられていた。(数字は応募数)
ジョージア(日本コカ・コーラ) やすらぎパーカー 3435万通
ボス(サントリー) ボスジャン 1011万通
ポッカコーヒー(ポッカ) ダレス・バッグほか 497万通
ネスカフェ(ネスレ日本) 現金100万円 389万通
ジョー(アサヒビール飲料) ダウンジャケットほか 240万通
午後の紅茶(キリンビバレッジ) コイズミトランク 222万通
「ボスジャン」も応募数1000万通超えで十分すごいのだが、ジョージアの「やすらぎパーカー」の人気がヤバすぎたこともわかる。応募数3435万通とは、とんでもない数だ。当時ジョージアのCMに起用されていた飯島直子人気との相乗効果も高かったのだろう。
ただ、キャンペーンとして長続きしたのはボスジャンの方。ちなみに2017年、「初代ボスジャン」が復刻されたときのエピソードがすごい。サントリーは初代ボスジャンを配布しきってしまっていて、おそらく資料も散逸していたのだろう、なんと広告を打って「初代ボスジャンを実際に持っている人」に情報提供を呼びかけたのだ。
広告はインターネット上でも拡散され、約300人のボスジャンの持ち主から、はがきやメールでメッセージが寄せられた。「父から譲り受けたものです」「社会での充実期は、ボスジャンとともに歩んだ」「主人が出かけるときはいつも着ていました」。 (『産経新聞』2018年5月21日付朝刊)
25年前の景品を大事にとっておいた人がそんなにもいたとは……。それだけ愛されるブランドということだろう。ウマ娘のボスジャンも、手に入れた人にとって、またとない思い出になるかもしれない。