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松本幸四郎「毎週日曜は2時間テレビに釘付け」 『マイファミリー』『鎌倉殿』親子で活躍

2022年05月15日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

松本幸四郎『マイファミリー』(c)TBS

 主人公の鳴沢温人(二宮和也)の娘だけでなく、過去に一人、そしてまた一人と卑劣な誘拐事件が続いているTBS日曜劇場『マイファミリー』。そして次に狙われたのが、鳴沢家とは家族ぐるみの付き合いがある、阿久津(松本幸四郎)の娘・実咲(凛美)だ。


【写真】『鎌倉殿の13人』で活躍の息子の市川染五郎


 温人が社長を務めるハルカナ・オンライン・ゲームズ社外取締役も担う阿久津。第5話では、葛城刑事(玉木宏)が怪しいと睨み、阿久津に接触する場面も。今回、リアルサウンド映画部では、阿久津演じる松本幸四郎にインタビュー。ネット上での阿久津を疑う声をどう受け取っているのか、幸四郎自身が考えている阿久津の背景ついてトーク。また、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』など息子の市川染五郎の活躍、そして父の松本白鸚から受けたアドバイスなど、マイファミリー”な話に迫る。(編集部)


■阿久津への「怪しい」声を楽しんでいる?


――SNSを見ていると、阿久津に対して「怪しい」と考えている視聴者も多いようですね。


松本幸四郎(以下、幸四郎):嬉しいですね、すごく。僕も「そんなことないですよ」と否定はしたくなくて、「そうかもしれないね」と返すことを楽しんでいます(笑)。自分がオンエアを観ていても「これは全員怪しいわ」と思ったりもするので、その中の1人になれるというのは嬉しいですね。


――阿久津を演じるにあたって意識したことを教えてください。


幸四郎:はじめから既に成功者というか、実績ある人間として登場するので、その役職まで行った人間とはどういう人間なのか、どういう人間性であるのか、ということをまずは想像して取り組みました。


――前半には不敵な笑みを浮かべるなど、温人にとって敵か味方かわからないところがありましたが、表情について監督から言われたことなどありましたか?


幸四郎:阿久津はあまり感情を表に出さないですし、立場的にもそういう人間だったりするんですよね。その中で笑ったり、落ち着いていたり、ということがいろんな謎を呼ぶ感じだと思います。「そうとも取れるようなニュアンスで」とは監督からも言われていますけど、阿久津はもともとそういう人間であるということは常に意識しています。それが“どちらとも取れる”というところに、ちょっと面白さを感じていただければありがたいなと。そして、観てくださる方の想像が当たっているのか、はずれているのかは、これからわかってくることだと思います。


――妻役の森脇英理子さん、娘役の凛美さんと共演された感想を教えてください。


幸四郎:とても嬉しい気持ちです。なんとなく家族のような距離感で接してくれている感じがして。家族という一番近い存在になるわけですが、これは雰囲気ですからね。「お父さんなんだ」というだけで説得できることではないと思うので、同じ空気の中で生きていると感じていただけるように、極力現場では一緒にいるようにしています。もちろんディスタンスを取っていますけど、近い距離感、同じ空気感でいることはしていますし、相手もそうしてくれるすごく嬉しい存在です。


――現場のスタッフさんも、幸四郎さんが本当の家族のようにおふたりに接している、という印象をお持ちだそうです。


幸四郎:ただただ美人な方と共演するのが嬉しいんですけどね。家族のように見えるということであれば、そうですね、役作りで。


――二宮和也さんとは初共演です。


幸四郎:二宮さんは本当に自然体で、もちろん役づくりもされてきているんでしょうけど、まったく作られた感じがしない。そういうすごい役者さんだなと思います。いい意味でスイッチを入れるとき、切るときがわからないっていう。演技なんですけれども、演技に見えないようなリアリズムをすごく感じます。ドラマは緊張の連続ですけど、一日中緊張しているとベストな作品はできないと思うので、オンオフは大事なことだと思いますし、それをすんなりとやられている。また、そういった現場の空気作りもされていて、やっぱりすごい役者さんだなと思いますね。


――2008年の『猟奇的な彼女』(TBS系)以来、久しぶりの現代ドラマですが、現場の様子や撮影方法に違いなどは感じますか?


幸四郎:違いというのはわかりませんが、本当にいい現場だと思いますね。撮影は朝早くから夜遅くまでということの連続ですけれども、全然無駄な時間がなくて。どんどんどんどん作られていくテンポ感と雰囲気があるというのは、やっぱりそれだけの作品ができている現場なんだなと。いい現場に入れていることが、すごく幸せです。


――今後の阿久津について、注目してほしいポイントを聞かせてください。


幸四郎:比較的、今までは公の場に出ている阿久津を見ていただいていた気がするんですけど、ここから自分の家族というところに目線が来ることが増えていきます。役職が上がっていったり、いろんな成果が上がっていったり、という仕事面もありますけど、「阿久津も人間なんだ」という部分が出てくる感じはしますので、そういったところを観ていただきたいですね。


■毎週日曜日は2時間テレビに釘付け?


――これまで、日曜日は『鎌倉殿の13人』の市川染五郎さんから『マイファミリー』の幸四郎さん、という流れを楽しみにしていらっしゃる視聴者の方がたくさんいました。


幸四郎:そうですね(笑)。たまたまですけど20時、21時と続いて。2時間もテレビにかじりつくような生活はしていなかったので、すごく新鮮でした。


――リアルタイムでご覧に?


幸四郎:リアルタイムで観られたのは1回くらいなんですけど、オンエア当日に観るようにはしています。毎週日曜日に2時間テレビに釘付け、しかも放送日に必ず観るというのは、もう本当に久しぶりです。


――染五郎さんと一緒にご覧になったりも?


幸四郎:染五郎も観てはいるんでしょうけど、自分が出ている作品を絶対一緒には観ませんから(笑)。でも僕から感想は言いますよ、「面白かった」と。


『鎌倉殿の13人』(写真提供=NHK)


――では幸四郎さんご自身が、お父様の松本白鸚さんから受けたアドバイスで印象に残っている言葉はありますか?


幸四郎:台本に書いてある役に自分を持っていくより、台本を自分に引き寄せる、というようなことを言われたことがありました。20歳になるかならないかくらいの時だったので、その頃は「何のことやら」と思っていましたけどね。作品には方向を指し示してくれる監督がいますけれども、自分が台本を読んで役について感じたことは大切にして、それを監督に判断してもらうんだと。役という型にはまっていくのではなくて、自分でその役を膨らませていく、ということは映像のときに言われましたね。それは永遠のテーマだと思っています。


――ちなみに、そのお話を染五郎さんにお伝えになったり、何かアドバイスされるようなことは?


幸四郎:いや、特に教えるようなことはないですね。もちろん僕の方が経験はありますから、経験したこと、言われたことを伝える、ということはしてはいますけど、大切なのは本人がそれをどう感じるか。そして、感じたことをどう実践していくかだと思っていますので。


――今作を通して、父親としての居方や家族について、あらためて感じたことはありますか?


幸四郎:やっぱり、家族は大事な存在であるということ。また父親としての“決断力”や“信じること”の大切さは普遍的なことなんだなと思います。それがあった上でいろいろとお仕事をして、自分なりに何かを残していく、ということなんでしょうね。


(取材・文=nakamura omame)