トップへ

状態超良好なアストンマーティン「DB5」を発見! ボンド好きなら買い?

2022年05月13日 11:41  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
言わずと知れたジェームズ・ボンドの愛車、アストンマーティン「DB5」の美品に出会った。秘密兵器こそ付いていないが、前オーナーの愛情あふれる取り計らいのおかげで状態は超良好。値段には驚くほかないが、ボンドになりきりたい方には魅力的な1台なのでは?


○車名「DB」の由来



先に紹介した「アルヴィス」と同じ英国車のなかで、高級スポーツカーメーカーとして最も有名なのがアストンマーティンだ。設立は1913年で、創業者の1人であるライオネル・マーティンが英アストン・クリントンで開催されたヒルクライムレースに参加して好成績を収めたことで「アストンマーティン」の社名がついたという。



第2次大戦後の1947年、実業家のデービッド・ブラウンの傘下となったことから、アストンマーティンが生産するクルマの名称に彼のイニシャルである「DB」がつけられるようになった。1948年の「DB1」に始まり、1950年の「DB2」などニューモデルごとに数字が増えていき、1963年の「DB5」へと続いていく。この時期に生産されたクルマは、ノーズ先端に装着する羽根型のロゴマークに「DAVID BROWN ASTON MARTIN」の文字が刻まれている。


先日の「AUTOMOBILE COUNCIL 2022」(オートモビル カウンシル 2022、4月15日~4月17日に幕張メッセで開催)では、「AC MINDS」(愛知県岡崎市)のブースで「DB5」を見ることができた。


○各パーツの現状は



展示車は「ボンドカー」さながらの美しいシルバーメタリックカラーを身にまとっていた。ショーン・コネリー演ずる「007」ことジェームズ・ボンドがドライブするDB5は、1964年のシリーズ3作目『ゴールドフィンガー』や4作目『サンダーボール作戦』に登場。英国秘密諜報部のQによって、各国用の回転式ナンバープレートや機関銃、煙幕噴射装置などの秘密兵器がボディ各部に取り付けられていて、対峙する敵とスクリーンの中で大立ち回りを演ずるわけである。


このクルマを手に入れたらジェームズ・ボンドのようになれるかは別として、クルマ自体は抜群のミントコンディションをキープ。2020年1月6日発行の「British Motor Industry Heritage Trust」の書類付きという由緒正しい個体だ。そこに記入されたデータによると、

「アストンマーティンDB5サルーン、右ハンドル。スーパーレッジェーラ製法(ボンネットフードに記載)で制作された軽量ボディのchassis number『DB5 2154/R』で、1965年5月5日に新車登録され、英国バーミンガム近くのウォルバーハンプトンにあるディーラー『Cyril Williams Motors』で販売されている。ボディサイズは全長4,572mm、全幅1,676mm、全高1,346mm、地上高152mm、ホイールベース2,489mm、トレッドはフロント1,372mm、リア1,359mm。車重は1,465kg」


カラーコード「ICI MO 35-2829」のシルバーメタリック(silver birch)塗装で、フロントに搭載するNo.400/2148のエンジンはオールアルミニウム製のヘッドとブロックの直列6気筒、ボア・ストロークは96mm×92mmで、排気量は3,995cc。最高出力282hp/5,500rpm、最大トルク288lb ft(392Nm)/4,500rpmを発生する。現車に取り付けられていたキャブレターは純正のトリプルSUからトリプルウェーバーに換装されている(ヴァンテージ仕様)ので、実際には314hpまでパワーアップがなされているようだ。


トランスミッションはオールシンクロメッシュの5速MTで後輪を駆動。ブレーキはフロント292mm、リア274mmのディスク式で、新車時のAvon Turbospeed GT 6.70×15タイヤは、今ではダンロップ「SPスポーツラジアル」の185VR15に換装されている。


2+2のコンパクトな室内は、シルバーボディとの対比が見事な赤一色で仕上げられている。3本スポークのウッドステアリングの奥にあるSMITHS製のメーター類は、右下から反時計回りに油温、油圧、5,500からレッドの回転計、電圧、最高速度180マイルの速度計、燃料、水温の順で、ダッシュセンターにはアナログ時計も装備されている。


AC MINDSの澤野大介さんによると、DB5は1963年から1965年9月までの約2年間で約900台が製造されていて、この個体は日本に来て3人のオーナーの手に渡ったとのこと。最後のオーナーによって全てのオーバーホールが行われていて、しっかりと効くクーラーも装着済み。日本でも快適な走行が可能になっている。価格は8,380万円となかなかのものだが、それでジェームズ・ボンドに変身できるのであればお安い、のかもしれない。


原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)