はじめまして、外資系うさぎのちょこさんです。いわゆる外資系/グローバル系と呼ばれるコンサルティングファームや事業会社をいくつか渡り歩き、現在も大手総合系コンサルティングファームでシニアマネージャをしています。
普段、Twitterやnoteで主にコンサル業界への就職、転職を目指す学生や若手ビジネスパーソンを対象にスキルアップのための情報や、コンサル業界あるあるネタを発信しつつ、フォロワーから寄せられたキャリアに関するお悩み相談などに乗っています。
こちらでは1記事1テーマで、就職活動中、転職活動中の各位からよく寄せられるお悩みごとなどを取り上げ、詳しく解説をしていく予定です。
早速ですが、初回は『外資コンサルに入って仕事できなかったら3ヶ月でクビになるって本当?』という疑問に答えていこうと思います。外資系企業、特にコンサルファームに対して、“常に高いパフォーマンスを求められ、結果が出なかったら容赦なくクビを切られる”というイメージ、持ってたりしませんか?
結論としては、“高いパフォーマンスはもちろん求められるけど、多少できなくても即クビってほど酷い世界じゃないよ”って感じになります。このあたりの誤解をなくして適切な緊張感でコンサル業界にチャレンジしてもらえるよう、実際のところどんな感じなのか、というのをお話していきましょう。
外資コンサルといえど、そう簡単に従業員をクビにできないのが実情
「お前は何でそんなに仕事ができないんだ!もう明日から来なくて良いからな!」
ドラマなんかでこんなシーン、見たことありますよね。でもこれはフィクションのお話で、現実世界ではこんなクビの切り方はまずできません。
なぜかというと、コンサルファームや投資銀行を始めとした外資系企業でも、日本国内で事業を展開していれば労働基準法を始めとした日本の労働関連法規を守る必要があるためです。もちろん、法律で定められた解雇要件を満たせば、従業員を解雇すること自体は可能なのですが、この要件を満たすのはなかなか難しいです。
外資系のIT企業や証券会社の従業員が会社から突然の解雇通知を受けたが、”それは不当解雇である”、と裁判で認められた、なんてニュースを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
じゃあ多少パフォーマンスが悪くてもクビにならずにずっと在籍していられるの?
2010年代後半以降、大手コンサルファームは新卒、中途とも採用数を大きく加速させてきました。特に近年は、DXやアフターコロナ関連のニーズの高まりを受けて、大手コンサルファーム、特にアクセンチュアやデロイト、PwCといった総合系ファームでは、これまで以上に優秀なコンサルタントを大量に抱えておく必要に迫られています。
コンサルファーム側としても、せっかく多大なコストをかけて採用したコンサルタントを、多少パフォーマンスが悪いからといってすぐクビにするメリットはありません。
そのため大手コンサルファームでは最近、新卒中途ともに、入社後のフォローアップを手厚くし人材の早期離職を防止するとともに、プロモーション(昇進)に対するプレッシャーも軽減しています。その結果、一昔前よりは安定したスピートでのキャリア形成ができるようになってきました。
とは言うものの、採用したコンサルタント全員が最初から高いパフォーマンスを発揮できるわけではありません。本人は頑張っているつもりでも、どうしても採用時の期待値に届かなかない……というケースもあります。そんな場合についても触れておきましょう。
まずはアサインするプロジェクトを変更してみる
入社して最初にアサインされたプロジェクトで満足のいく結果が出せず、プロジェクトマネージャからパフォーマンスが悪かったとの評価を受けたとしましょう。
このときコンサルファームが取る最初の対応として、次は違う領域のプロジェクトで違うタスクを振ってみる、というものが考えられます。アサインされたプロジェクトで満足の行く結果を出せるかは、チームの環境や振られたタスクへの向き不向きなども関係してきます。なので、一つのプロジェクトで評価が悪くても即座に、このコンサルタントはダメだ、という評価にはなりません。
例えば、最初がシステム開発プロジェクトのPMOだった場合、次はコスト削減プロジェクトの業務量調査を担当させてみるなど、なるべく前のアサイン時と違う作業をさせてみせ、その環境で結果を出すことができそうか見極めます。
もしそこで問題なくパフォーマンスを発揮することができそうであれば、コンサルタントとしての仕事に慣れてもらうため、そのプロジェクトへ長めにアサインしたり、同じプロジェクトマネージャの元で複数のプロジェクトに携わってもらったりします。
そうして2~3プロジェクトを経験する頃には、最初のプロジェクトでうまく結果を出せなかったコンサルタントも自分の得手不得手がわかってくるでしょう。プロジェクトマネージャ側としても適材適所でそのコンサルタントが力を発揮できるシチュエーションがわかってきたりします。
このあたりも、コンサルファームの大規模化が進んできたことで、入社後数ヶ月は実力の見極め期間として、うまく活躍できるプロジェクトを見つけるためにアサインを変更する余地を見つけやすくなった、と言えます。大模化すると人を育てるためのバッファ(余裕)を持つことができますからね。
それでもうまくいかなかった場合は…
プロジェクトを2つ3つと経験し、その全てで良い結果を残せなかった場合は次の段階に入ります。
期間を定めて重点的な指導を行うかわりにパフォーマンスの改善が見られない場合に退職勧奨もあり得るPIP(パフォーマンス改善プログラム)への参加を求めたり、マネージャからシニアコンサルタントに降格させて期待されるパフォーマンス水準自体を下げたり、といったことをします。
これらの取り組みも、解雇や退職勧奨という言わば最後の手段をギリギリまで回避するための施策です。実際にPIPや降格からの再チャレンジを経たうえで大きく成長し、今では立派にチームを率いているコンサルタントもたくさんいます。
ちょこさんもマネージャとしてこのような事例に携わったことがありますが、退職勧奨まで行われる事態はそうそうありません。アサインされたプロジェクトで全く結果を残せず、PIPでも今後のパフォーマンスの改善が見込めないと判断された結果、そのコンサルタント自ら別のキャリアを目指して早期に転職していくケースの方が多いかな、という印象です。
悩むくらいならチャレンジしてみて
という感じで、コンサルファームはそれなりに厳しい環境ではあるものの、多少パフォーマンスが悪いからといってすぐクビになるほど酷い世界じゃない、というイメージが少しは伝わったのではないかなと思います。
最近は学生向けの人気就職先アンケートなどでも大手コンサルファームがすっかり上位の常連になっています。就職先として一般的な選択肢となってきたということは、昔みたいにごくごく一部の超尖ったレアキャラみたいな人材ばかりが集まる環境ではなくなってきたことを意味します。
もちろん、選考プロセスは今も難関ではありますが、そこを突破してきたコンサルタントを単に厳しく使い倒すだけではなく、クライアントへ高いバリューを提供するために多様な人材に対しあらゆる手を尽くし成長の機会を提供する。この先、コンサル業界はもっとそんな方向にシフトしていくのかもしれませんね。
今までなんとなく「外資コンサルって何だか怖そうな世界…」って何となく思っちゃっていた各位、ぜひ勇気を出してコンサル業界へチャレンジしてみてください!
ではまた次回!
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外資系うさぎのちょこさん
職業:プロの転職家、外資系渡り兎。現在は某グローバル総合系コンサルファームのシニアマネージャ。 コンサル業界ネタを中心に、若手ビジネスパーソン、就活生、転職活動中の各位向けの有益な情報を呟いたり有益なnoteを書いたりしています。フォローすると有益になれます。
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