2022年05月09日 18:01 弁護士ドットコム
東京・渋谷のハプニングバーがゴールデンウィークに警視庁の摘発を受けて、経営者や従業員、客の男女ら計11人が公然わいせつと同幇助の疑いで5月9日までに逮捕された。
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経営者らは7日深夜、客の男女がわいせつな行為をする様子を不特定多数の人に見える状態の部屋「プレールーム」を提供した疑いがある。マジックミラー越しに、中の様子が見える状態だったという。
各社の報道によると、店は表向きは飲食店だが、「国内最大級の規模のハプバー」とされ、15年ほどの歴史とともに年間約3億円の売り上げがあったと見られるという。
報道によると、経営者は容疑を否認しているが、すでに閲覧できなくなっている公式サイトでは「ハプニングバー、カップル喫茶とは違う」とうたっていた(2009年ごろまでは「世界最大級のハプニングバー」としていた)。
摘発当時、店は大型連休のイベント最終日で、客が80人ほどいたという。店のものとみられるSNSでは「みんなで彼シャツ着てローション水鉄砲で(中略)あそんじゃおう」「変態借り物競争」などの催しが紹介されている。
ハプニングバー(ハプバー)では、客同士が店内で性行為など(ハプニング)をすることがあるとされる。報道を前提とした場合、このハプバーはなぜ摘発されたのだろう。
ナイトビジネスにくわしい若林翔弁護士によると、ハプバーには風営法上の規定はなく、「一般的なバーと同様、深夜酒類提供飲食店として営業しているケースが多い」。つまり、ただの飲食店と同じ扱いとなるというのだ。
今回の摘発では、わいせつな行為をした客の男女が公然わいせつ罪の現行犯で逮捕されるとともに、場を提供した経営者や従業員は公然わいせつ罪の幇助犯として逮捕された。
「ハプバー内でのわいせつな行為は、不特定多数の人が容易に知りうる状態といえ、公然わいせつ罪の保護法益である社会の健全な性秩序が乱されたといえます」
報道によると、店は客に身分証を提示させ、摘発を逃れていたという。
「逮捕までしっかりと内偵捜査をして、現行犯として逮捕できるタイミングを測っていたと考えられます。
今後は、不起訴となる可能性もあります。特に、客や従業員は不起訴となる可能性が高そうです。他方で、経営者に関しては、略式起訴で罰金となる可能性があります。容疑を否認していた場合には、証拠状況にもよりますが、正式に起訴される可能性もあるかと思います」
【取材協力弁護士】
若林 翔(わかばやし・しょう)弁護士
顧問弁護士として、風俗、キャバクラ、ホストクラブ等、ナイトビジネス経営者の健全化に助力している。また、店鋪のM&A、刑事事件対応、本番強要や盗撮などの客とのトラブル対応、労働問題等の女性キャストや男性従業員とのトラブル対応等、ナイトビジネスに関わる法務に精通している。
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