子供の頃、『ファイナルファンタジーⅥ』をやっていて、終盤で行ける「狂信者の塔」というダンジョンが不気味で怖かった。あそこでは魔法しか使えないのと、やや敵が強いのとBGMが不気味なのと、最上階で戦うことになるマジックマスターの死に際のアルテマで全滅したのがトラウマになっちゃって。そういう経緯もあって、狂信者というワードには、何とも恐ろしいものを感じるのだ。
ところで狂信者ってのはパチンコホールにもいる。「またパチンコの話かよ」って思ったあなた、そんなこと言わずに読んでちょうだい。(文:松本ミゾレ)
面白い台、爆裂契機のある台はやっぱり人気
先日、5ちゃんねるに「未だに狂信者がいる台←真っ先に思いついたやつ」というスレッドがあるから読んでみろというお達しを受けた。そこでさらっとスレッドを確認したが、なるほどパチンコに取り憑かれた人たちが、色んな機種の名前を挙げている。ちょっと紹介してみたい。
ちなみにスレ主は「北斗無双以外ある?」と書き込んでいる。ぱちんこCR真・北斗無双のことと思われる。
「ぱちんこCR聖戦士ダンバイン」
「ぱちんこ ウルトラセブン2 Light Version」
「CRF大ヤマト2ZF」
パチンコをしない人にとっては何がなにやらという感じだろうけど、北斗にせよダンバインにせよ、要は版権モノが強いという感じなんだろう。大ヤマト2に至っては僕が20代前半ぐらいにリリースされた機種なので、マジで相当前のマシン。未だにその爆発力に脳をやられたままの狂信者もいるようだ。
たしかに大ヤマト2はかなり出たらしく、僕は打ったことはなかったが、同級生たちがかなり景気の良い自慢話を何度もしてきた記憶がある。
一時期なんで「コスモタイガー」という単語をやたら耳にしたし。彼ら曰く、コスモタイガーが熱いのだとか。打ったことがないので「そうなんだ」としか言いようがなかったけど。
『ダンバイン』はアニメ版とパチンコ版でファン層が異なるのが面白い
ちなみに先ほど引用した機種の中に、ダンバインの文字があった。言うまでもなく1983年放映の『聖戦士ダンバイン』をモチーフにした台だ。オーラバトラーのデザイン自体も割とパチンコ版ではリファインされており、さらに登場人物のイラストも今風に寄せてあったのが特徴。
最大の差異は、主題歌が違うというか、パチンコ版では大当たり中に「闘いの詩」という挿入歌が流れる仕組みになっており、これがパチンコファンに結構支持されていた。僕としてはオリジナルの楽曲がちゃんとあるんだから、そっちを流用したらいいのに……と思っていたが、そもそも本来のダンバインと似て非なるものなので仕方ない。
パチンコ版ダンバインはそこそこ人気になったが、その理由の一因にはこの挿入歌が影響していると考えられる。それぐらい、ダンバインを打ったユーザーは、その挿入歌をしっかり歌えるようになっているのだ。歌えるってことは、歌詞とメロディを暗記するぐらい打ってるということなんだから、中毒性がある機種だったのだろう。
こういう、パチンコ版になったことでの変質と、それに伴うファン層の新規開拓というのも版権モノの特徴的な部分だろう。
一方で『ぱちんこ ウルトラセブン2 Light Version』などは円谷プロの徹底した監修を受けているので、大当たり中に当然本来の『ウルトラセブン』主題歌などが流せるようにもなっている。
ただし古い作品なので、演者としてウルトラ警備隊役は全員キャストを入れ替えて、原田龍二とかが隊長になっているという違いはあるが、ここまで書いて全然狂信的なファンに関する話をしていないことに気付いた。
僕が見た狂信的なファンとなると、何年も前にAKB48のパチンコが出たときぐらいかなぁ。
あの頃は本当にAKB48を冠するものなら何にでもオタクが押し寄せるほどの人気だったが、サイリウムを手にしたパチンコ未経験であろう筋金入り、本物のオタクがパチンコホールにやってきて全力で液晶内のライブを応援しているのを見た際にはドン引きした。でも俯瞰で見れば僕なんてパチンコしてる時点で世間からドン引きされているわけで。結局、狂信者が狂信者を笑うみたいな状況だったのだ。