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京都・嵐山の竹林に落書き、養生テープから透けるハートマークは「一生消えぬ傷」

2022年05月03日 09:51  弁護士ドットコム

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京都・嵐山の名所「竹林の散策路」。風情のある竹林を間近に見ることができる人気スポットだ。整然と立ち並ぶ美しい竹林を一目見ようと、多くの観光客が訪れる。今年2月に足を運んだ記者もそのひとりだった。


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散策していると、驚くべき光景が視界に飛び込んできた。あちこちに半透明の養生テープが貼られた竹が無数にある。目をこらすと、刃物のようなもので刻まれたハートマークやイニシャルなどの文字がテープの下から透けてみえた。いったい、何があったのか。



●養生テープは「落書き抑止」のため

竹林の大半を所有しているのは、京都市だ。担当者によると、2018年から2019年ごろに、竹に落書きされたり、タケノコの皮が勝手に剥がされるなどの被害が相次いだ。この時期から、地域の人たちが中心となり、落書きの上から養生テープを貼り始めたという。



「落書きを見て、『やっていいんだ』と思い、真似してやり始める人もいます。これを抑止するために、落書きの上から養生テープを貼り始めました」(担当者)



「竹林の散策路」は、手を伸ばせば容易に触れられる場所に竹があり、簡単に落書きもできてしまう。落書きの内容は日本語もあったが、多くは外国語。ルールを知らずに落書きした外国人観光客の可能性もあるという。



「養生テープを貼るだけではなく、多言語で『落書き禁止』を掲げた看板や柵を設置しました。2019年には、防犯カメラも設置しています」(担当者)



こうした対策により、被害は減少。その後、コロナ禍に突入したことで、京都を訪れる観光客が減り、地域の人たちからも被害に関する声が上がらなくなってきたという。



●竹についた傷は「一生消えない」

落書きの上に貼られている養生テープは緑色だ。遠目から見ればわかりにくいものの、近づけば、どうしても視界にテープを貼られた竹が飛び込んでくる。被害は減っても、もとの美しい竹に戻すための術はない。





京都市の担当者は、竹への影響について、次のように語る。



「落書きについては、成長しきっている竹がほとんどなので、成長自体に影響はほとんどありません。ただ、見ばえが元通りになることはありません。元に戻すには、切って処分するしかなくなります。タケノコの皮を剥がされた場合は成長にも深刻な影響があり、実際に枯れてしまっています」(担当者)



コロナ禍になり、京都を訪れる観光客はこれまでと比べて減少したものの、最近は少しずつ戻りつつあるという。



国外からの観光客受け入れ再開時期については確定していないが、海外では、すでに外国人観光客を受け入れている国もある。徐々に国内外からの観光客が戻ってくるだろう。



竹への落書きやタケノコの皮を勝手に剥くことは、器物損壊などの「犯罪」にあたりうる。そして、竹についた傷は一生消えることはない。



担当者は「同じことの繰り返しにならないように、引き続き対策に励む」と語っている。