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安東弘樹のクルマ向上委員会! 第53回 クルマにとって上質とは何か…安東弘樹、レクサスの新型「LX」に乗る!

2022年05月02日 11:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
クルママニアでオフロード走行も大好きな安東弘樹さんがレクサスの新型「LX」に試乗した。見ての通り、LXのベースはトヨタ自動車の人気車「ランドクルーザー」なのだが、横尾貴己チーフエンジニアによると、新型LXは「ランクルのレクサス版ではなく、レクサスが総力を挙げて作ったフラッグシップSUV」であるとのこと。安東さんの評価は?



※文章はマイナビニュース編集部の藤田が担当しました。


○オンロードにも徹底的なこだわり



LXは1996年に北米で発売となり、日本には2015年に導入となったレクサスのフラッグシップSUV。2021年12月末時点の累計販売台数(約50の国と地域)は約51万台だ。新型LXのコンセプトは「世界中のどんな道でも楽に、上質に」。伝統のオフロード性能はもちろん、オンロード性能にも徹底的にこだわったそうで、「ラダーフレームだからとか車体が重いからといった言い訳は一切なしで、レクサスらしい走りを求め、小さな部品ひとつからこだわった」(Lexus International Takumiの伊藤好章さん)とのことだ。


「価格帯を考えると、どうしても『レンジローバー』と比べてしまいます」とつぶやきながら、“EXECUTIVE”でオンロードの試乗に向かった安東さん。新型LXの印象はどうなのか。同乗して話を聞いた。


○「LX」で考えた上質感の本質



マイナビニュース編集部:デザインや乗り込んだ際の印象など、いかがですか?



安東弘樹さん:ランクルがベースだからだとは思いますが、物理スイッチが多く、バイワイヤではないシフトノブの形状も含めてコンベンショナルな雰囲気です。燃料計など針を使ったアナログなメーター類が、懐かしい感じですね。



サンルーフが付いていますが大きさは前席までなんですね。輸入車だと、後席の頭上まであるパノラマルーフが普通だったりするんですが……。あと、シェードの開閉は手動ですね。うーん、なるほど。ステアリングの形は嫌いじゃないです。



編集部:「レクサスのフラッグシップSUV」と聞いて乗ると、思ったのと少し違いますね。もっと、高級車然とした雰囲気なのかと思いましたが。走った感じはどうですか?



安東さん:ランクルに乗ったときは、常に「ユッサユッサ」と揺られている感じが気になったのですが、LXはずいぶん洗練されているという印象です。ドライブモードを「スポーツ」にすると、よりシャキッとしますね。ただ、ユサユサ感が減ったとはいえ、多少は感じますけど(笑)。それでも、LXの先代モデルと比べると段違いの進化です。

運転していて、ランクルよりも車体が小さく感じます。転に寄り添ってくれている感じがしますね。



トルクは十分なんですけど、上り坂などでは、やっぱり、よりトルクフルなディーゼルエンジンが欲しいと思ってしまいます。レクサスが味付けしたディーゼルで乗ってみたいですね。それと、新型LXは純粋なガソリンエンジンのみですが、電動化は考えなかったんですかね? 例えばレンジローバーはプラグインハイブリッド車(PHEV)とディーゼルエンジンのマイルドハイブリッド車(MHEV)がメインで、ガソリンエンジンのみのモデルは「P530」という特別な高性能グレードだけです。



平均燃費は、メーター表示だと今のところ6.9km/lになっていますね(カタログの数値はWLTCモードで8.0km/l)。試乗会だとストップアンドゴーを繰り返したりと燃費にはマイナスな走り方をしがちですが、トリップコンピューターの値が正確だという前提で、この数値はまずまずだと思います。


安東さん:さっきからずっと、微振動が気になっているんですよね。エンジンからの「ブルブル」という振動です。加減速の際に感じるんです。アイドリングストップがないので、停車中も振動を感じます。段差を乗り越えたときの突き上げも気になりますが、これは22インチの大径タイヤを履いている影響なのかもしれません。


編集部:レクサスのフラッグシップSUVと考えるか、ランクルの高級バージョンと考えるかで評価が変わってきそうなクルマではありますね。



安東さん:おっしゃる通りで、本当にこのクルマは判断が難しいです。主要なマーケットは中東やロシア(現在、輸出は停止中)、北米、中国ということですし、LXのメインのユーザーがどこまで気にするかはわからないのですが、欧州の高級なSUVと比べると、例えばドアの厚みとか、ドアやリアゲートのヒンジなどに、どうしても差を感じてしまいます。前に乗っていたジャガー「F-PACE」はドアがつかめないくらい分厚かったですし、ヒンジはハンマーで叩いてもびくともしないようなくらい、頑丈そうでしたからね。



それと、さっき荷室を確認してみたんですけど、リアシートを後ろから見ると、向こうが見えるくらいの隙間がありました。欧州の高級SUVだと分割シート間は「みっちり」と詰まっている感じなんですが、こうしたところも上質感に関わる要素だと思うんです。こういうところを見ると、やはり「ランクルの高級版」と感じてしまいます。


編集部:“EXECUTIVE”の後席は豪華ではあるんですけどね。マッサージ機能が付いていたり、オットマンが付いていたり。



安東さん:もともと私、ユーザーとしては後席に一切、興味がないんですよね。運転席にしか座らないので(笑)。



ただ、エントリーグレードの「LX600」に比べると「LX600“EXECUTIVE”」は500~600万円が増額されているじゃないですか? その価格差は豪華な後席の有無によるものだけなのか、何か別の部分にも違いがあるのか、そのあたりは気になりますね。1,800万円というと、レンジローバーの中間グレードと同じ価格ですので。



安東弘樹 あんどうひろき 1967年10月8日生まれ。神奈川県出身。2018年3月末にTBSを退社し、フリーアナウンサーとして活躍。これまでに40台以上を乗り継いだ“クルママニア”で、アナウンサーとして初めて日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。 この著者の記事一覧はこちら(安東弘樹)