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バイクのトレンドは125cc? 小粒でもピリリな原付二種の魅力とは

2022年04月25日 11:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
低コストで使いやすい移動手段として近年、大いに注目を集めているのが原付二種、つまり125ccクラスのバイクだ。2022年3月の「東京モーターサイクルショー」でも、魅力的な車種がいくつも展示されていた。その中から、AT限定免許でも乗れる敷居の低いモデルを紹介していくことにしよう。


○原付二種の特徴と魅力は?



コロナ禍で三密回避に有効といわれつつ、半導体不足もあって販売が上向かないクルマを尻目に、バイクが売れている。中でも個人的に増えていると感じるのが、ピンク色の自治体ナンバープレートを付けた51~125ccの原付二種だ。



日本自動車工業会が発表した2020年と2021年の二輪車出荷台数を比べると、50cc以下の原付一種は12万2,416台から12万7,736台、原付二種は10万1,737台から12万5,674台、126~250ccの軽二輪は6万7,481台から6万7,146台、251cc以上の小型二輪は3万6,712台から5万8,164台になっている。



軽二輪が減ったのは、2020年に魅力的な新型車が登場して大きく伸びた反動と見ている。2021年は小型二輪が似たような状況で、台数を大きく伸ばした。



個人的にはそれとともに、原付二輪の台数に注目した。20年前には二輪車出荷台数の7割を占めていた原付一種とほとんど変わらない数字に伸びているからだ。



原付一種はクルマの免許、つまり普通自動車免許に付帯してくるのに対し、原付二種は小型限定の普通二輪免許を新規に取得しなければならない。



にもかかわらず人気なのは、法定最高速度が30km/hから60km/hになり、2人乗りOK、交差点での二段階右折不要など、クルマや大型バイクと同じ乗り方ができるうえに、任意保険のメリットが大きい。



クルマの任意保険に加入している場合、原付二種は原付一種と同じように、ファミリーバイク特約に加入することで、同等の保険に入ったことと見なされる。クルマの任意保険に入っている人なら、独立した任意保険に入らなければいけない軽二輪以上と比べて、大幅に費用が節約できるのだ。

○ホンダは遊び、ヤマハは環境でアピール



こうした状況を受けてか、先日の「第49回 東京モーターサイクルショー」(東京ビッグサイトにて3月25~27日に開催)でも新型車がいくつか登場した。



日本メーカーでこのカテゴリーに力を入れていたのはホンダで、「スーパーカブ」のパワーユニットを使ったレジャーバイクの「モンキー125」「CT125ハンターカブ」に続く車種として「ダックス125」を展示。44万円で7月に発売すると発表した。


少し前に公開したリバイバルモデルの記事でも書いたように、ダックスはモンキーやハンターカブ同様、昔のレジャーバイクを復活させたものだ。



鋼板プレス製バックボーンフレームやアップマフラーといった特徴は継承。しかしながらシートは2人乗り可能として、スーパーカブと同じ遠心クラッチを使ったトランスミッションとすることでAT限定免許でも運転できるようにするなど、多くのニーズに応えようというメッセージが伝わってきた。



ヤマハ発動機はカーボンニュートラルの流れを受けた電動スクーター「E01」を初公開した。

ヤマハというと、タレントの出川哲朗が出演するテレビ番組で活躍する「E-Vino」をはじめ、これまでに原付一種の電動スクーターをいくつか送り出してきた。E01を原付二種クラスとしたのは世界的にメジャーなマーケットを想定したことと、都市内だけでなく都市間の移動にも適した走行性能を目指したことが理由だ。



ただしE01は、販売はしない。日本では7月から一般ユーザー向けに有償で貸し出すという実証実験を行う。後日試乗記をお伝えできることになっているので、そちらも楽しみにしていただきたい。



輸入車では外国製スクーターの代表格「ベスパ」を擁するピアッジオグループが出展を見合わせたものの、それ以外の個性的なブランドがいくつも顔をそろえた。



そのひとつがベスパと同じイタリア生まれのランブレッタで、第二次世界大戦直後の1947年にスクーターを発表した老舗だ。その後は1970年代に一度生産を終了するものの、2017年に復活した。


ボディはベスパ同様、フレームを持たないモノコック方式を採用。リアまわりが四角いスタイリングも昔のランブレッタを思わせる。その一方で灯火類はすべてLEDで、USB差込口を用意するなど、最新技術も導入している。日本では50・125・200ccの3種類の排気量があり、125の価格は44万円からだ。

○実は二輪の老舗? プジョーの新モデルは



同じイタリア生まれのイタルジェットは、スポーツスクーターの「ドラッグスター」を復活させた。1998年に登場した初代は細いパイプを溶接で組み上げたトレリスフレーム、フロントフォークを持たない片持ちステアリングなど、スクーターの枠を超えた造形と技術で注目を集めたものだ。



その後、会社は倒産するものの再建し、ドラッグスターも2019年に復活した。トレリスフレームにはアルミプレートを組み合わせており、独特のステアリングも受け継がれている。


排気量は125・150ccで、125の価格は71万5,000円。凝ったデザインとメカニズムを持つだけあり、プレミアムスクーターという位置付けだ。



フランスではクルマでもおなじみのプジョーがある。「プジョーモトシクル」と呼ばれる二輪車部門は、四輪車の9年後の1898年に登場した。つまり、現存する最古の二輪ブランドということになる。



いかにもフランスらしいのは、第二次世界大戦後に女性の社会進出が進んだことを受け、1953年に「S55」というスクーターを送り出し、人気を博したことだ。



現在販売している「ジャンゴ」は、その雰囲気を色濃く残すレトロデザインが特徴。50・125・150ccがあり、125の価格は39万3,800円から。ショーに展示してあった55台限定の「トリコロール」は125ccのみで45万9,000円だ。


ヤマハE01のところでも書いたように、125ccは世界的に小型バイクのスタンダードとなっている排気量であり、ここで紹介した以外にも、個性的な車種が数多く販売されている。

原付一種のような制約が少ないうえ、大型バイクに比べれば維持費がはるかに安いこのクラスは、当然ながら小柄な車種が多く、初めて二輪車に乗る人にとっても最適だ。気になる人はまずこのカテゴリーから始めてみてはいかがだろうか。



森口将之 1962年東京都出身。早稲田大学教育学部を卒業後、出版社編集部を経て、1993年にフリーランス・ジャーナリストとして独立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員を務める。著書に『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』など。 この著者の記事一覧はこちら(森口将之)