自民党議員らが「ラーメン議連」を立ち上げ、話題を呼んでいる。正式名称は「ラーメン文化振興議員連盟」。『朝日新聞』2022年4月22日付朝刊によると、会長は元地方創成大臣の石破茂衆院議員で、田村憲久・元厚生労働相、堀内詔子・元ワクチン相らも発起人に名を連ねる。どうやら地域振興とインバウンド向けに、食文化をアピールしたいということのようだが……(文:昼間たかし)
「ラーメン 町おこし」で検索すると、大量の新聞記事が出てくるが……
報道によると、議連の目的は「食と農の未来について考え、地方創生につなげていくとともに『日本発』ラーメンを中心とした日本の食文化の発信を後押しする」などとされている。
ただ、「今さら感」は否めない。ラーメンを町おこしやインバウンドに利用しようというのは、もはややり尽くされている。新聞記事データベースで記事検索すると「ラーメン 町おこし」で1488記事がヒット。「ラーメン インバウンド」でも853記事がヒットするレベルだ。
「ご当地ラーメン」の情報はメディアやSNSなどで、無数に発信されている。
北海道では、味噌味の札幌ラーメンがもっとも知られているが、醤油ベースがメインの旭川ラーメンや塩ベースの函館ラーメンも知名度を高めている。昨年、取材で室蘭に訪れた際に「一番美味いラーメン屋はどこですか?」と尋ねたらカレーラーメンを紹介され、ザンギやトンカツをトッピングしたハイカロリーなメニューもあった。
ひとくちに「博多ラーメン」といっても「長浜ラーメン」と「久留米ラーメン」は別モノだ。かつて、こういう違いは、現地にいって実際に食べ比べて初めて知ることもあった。しかし、今はこんなマニアックな話もネットで検索すれば山のように出てくる。
いまは食べログやSNSなどを検索するだけで、無数の「ラーメンマニア」によるウンチクが大量に読める。テレビ番組でもラーメン特集が日常的にあるし、専門情報誌もいくつも出ている。コロナ前は人気店にできた長蛇の列を眺めると、その中に海外からの観光客と思しき姿が混じっているのも日常だった。
はたしてこれ以上、国会議員に情報発信してもらわなければならない余地があるのだろうか?
会長はカレー党?
特に心配なのが、会長の石破氏が「カレー党」で有名なことだ。彼は党大会の前夜祭で自らカレーを仕込んだり、自宅でも家族にカレーを振る舞うなどし、その姿がネットで人気を博してきた。
もしかしたら、石破氏はラーメンにも大変造詣が深いのかもしれない。しかし、カレーに加えてラーメンとなると、ちょっとカロリーが高すぎないか心配だ。
国内外のラーメンファンが膨大な情報をすでに手に入れている中で、はたして議員たちは彼ら響くような情報発信をすることができるのだろうか。今後の展開を見守りたい。