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喧騒まで聞こえてくるよう 電車が行き交う大都会ジオラマ

2022年04月22日 15:01  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

喧騒まで聞こえてくるよう 電車が行き交う大都会ジオラマ

 ジオラマの楽しみは、実際の風景を可能な限り再現することのほか、架空だけども「どこかで見たような」風景を自由に作り出せることにもあります。


 Twitterに投稿された、都内のどこかを思わせる風景ですが、これはフィクション。いかにもどこかにありそうと思わせる、リアルな街並みのジオラマです。


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 作者のJunichiさんは、ジオラマ歴12年とのこと。実は「田舎や山岳地帯および海や渓谷沿いの水のある風景が得意で、都会は正直得意ではありません」と意外なお答えが返ってきました。


 今回、都会をモチーフにしたのは「ひっきりなしに行き交う電車とゴチャゴチャした電線類をテーマに、都会の喧騒を意識して」。新幹線と複数の電車が高架線を走る、東京の有楽町駅~田町駅あたりを念頭に作り始めたそうです。


 鉄道模型のジオラマといえば、線路を走る車両と風景の広がりを楽しむことが多いので、線路が伸びる横方向に長くなりがちですが、この作品は横500mm×奥行600mmと、むしろ奥行きが長いサイズ。これにより、ビルの隙間の跨道(こどう)橋を電車が行き交う、都会の重層的な街並みがうまく圧縮され、視線を奥へと誘導する形になっています。


 街並みを構成している建物は既存のストラクチャーだそうで、時に組み替えて別の風景にすることも可能。線路は在来線側が4本の複々線、新幹線側が2本の複線となっていますが「走行シーンの撮影では3本の楕円エンドレスにしています」とのこと。


 走行シーンの動画ツイートでは、新幹線N700A、湘南(黄かん色とダークグリーン)色の帯を巻いたE233系3000番台(上野東京ライン)、京浜東北線のE233系1000番台が、次々と上路デッキガーダーの跨道橋を渡っていきます。確かに、東京で見慣れた風景。雑踏の音も聞こえてくるようです。


 ジオラマというより、まるで特撮のミニチュアセットのようにも見える「大都会ジオラマ」。見る角度を変え、光線の具合を変えてみると、様々な光景に見えてくるから面白いですね。


 Junichiさんは自身のTwitterで、色々なジオラマ作品の写真をアップしています。いつか訪れたことのあるような、でもどこにもない風景に、ジオラマの楽しみが凝縮されているようです。



<記事化協力>
Junichiさん(@jun1163)


(咲村珠樹)