トップへ

ラリーに挑んだレーサーその3、元MotoGP王者バレンティーノ・ロッシ【WRC topic】

2022年04月22日 13:40  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

スバル・インプレッサWRC 05に乗り込んだバレンティーノ・ロッシ
さきごろ現役を引退した二輪レース界のスーパースター、バレンティーノ・ロッシはWRC世界ラリー選手権に過去3回出場したことがあるが、実は彼、“WRCドライバーの息子”だったのだ。

 父親のグラツィアーノは世界選手権で活躍した有名なライダーだったが、怪我で二輪を諦めラリーに転向。イタリア周辺の国々のラリーを主戦場としながらも、WRCのサンレモ(イタリア)やスウェーデンにも出場した経験を持つ。そんな父親を見て育ったロッシが、ラリーにも興味を持ったのは当然といえる。

 ロッシは1997年から、毎年1回のペースでシーズンオフにラリーイベントに出場していたが、2002年ついにWRC初出場を果たす。ど派手なイエロー&ブルーのミシュランカラーのプジョー206 WRCで、ラリー・グレートブリテン(イギリス)に挑んだ。

 なお、当時すでにスーパースターだったロッシの走りを見ようとステージには大勢の二輪ファンが集まったが、ロッシはSS2でクラッシュ。早々にリタイアとなってしまった。

 2度目のWRCチャレンジは2006年。ラリー・ニュージーランドに、今度はスバル・インプレッサWRC 05で挑んだ。マットブラックのそのマシンは非常にクールなリバリーで、ロッシはまたしても注目の的に。

 ラリーGB後も地道にラリー出場を続け経験を積んでいたロッシは、スロースタートながら安定した走りで順位を上げていき、総合11位でフィニッシュ。WRC初完走を果たした。

■ライコネンやクビサとは違ったアプローチ

 3度目、そして現在までのところ最後となるWRC出場は、2008年のラリーGBだ。マシンは、当時フォードのセミワークスだったストバートのカラーリングが施された、フォーカスRS WRC 07だった。

 ロッシはその時も慎重なアプローチで戦い、結果は総合12位。以降、WRCへの出場は途絶えているが、2018年まではモンツァなどイタリア国内のラリーに出場し、何度も優勝した。スプリント的なラリーでの実力は、現役WRCドライバーと肩を並べるレベルにあったといえる。

 ロッシのラリーへのアプローチは、元F1王者キミ・ライコネンや、同じくF1ドライバーのロバート・クビサとは大きく異なり、純粋に楽しむためのものだった。

 もちろん、少しでも速く走ろうと真剣に取り組んではいたが、それ以上にラリーを心から愉しもうとしているように見えた。サービスパークでも、スタート前でもつねにニコニコ笑顔で、ファンサービスも素晴らしかった。二輪を引退した後は四輪のサーキットレースに注力しているが、またいつかWRCにも出場して欲しいものだ。