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iPhoneで環境保護に貢献、アースデイは「ごみ拾いSNS」などのアプリに注目

2022年04月19日 22:31  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
4月22日のアースデイを前に、アップルが環境保護を呼びかける毎年恒例の取り組みを開始しました。4月19日に「環境」のWebサイトを更新し、これまでの実績や最新の取り組みを紹介するとともに、全国のアップルストアでは店頭のAppleロゴの葉の部分をグリーンに変更。スタッフが装着するストラップに記載された「2030年までに、すべてカーボンニュートラルに。」の文字に、環境保護の取り組みに対するアップルの強い意志がうかがえました。



環境保護の呼びかけは、アプリのデベロッパーも熱心に取り組んでいます。特に、若い開発者がリリースした「ごみ拾いSNS」と評される無料のソーシャルアプリは、ごみ拾いの輪を幅広い世代に広げることに成功するなど、最新のデジタル技術を巧みに環境保護に生かしていました。


ごみ拾いを仲間同士で感謝し合って輪を広げる“ごみ拾いのSNS”



「ごみ拾いを楽しむためのソーシャルアプリ」とうたう異色のアプリが、PIRIKAが制作した「ピリカ」(無料)です。道ばたなどで拾ったごみを写真付きで投稿すると、見知らぬごみ拾い仲間から「ありがとう!」「お疲れさまでした!」と感謝や励ましの声が寄せられる仕組みです。「ごみ拾いの恥ずかしさがなくなった」「モチベーションが高まった」と感じた参加者から活動の輪が広がり、すでに200万人を超える人がピリカを用いたごみ拾いに参加しています。


ピリカを開発した小嶌不二夫さんは「ごみ拾いは多くの人が日常的に取り組んでいますが、ほとんどは人知れず活動しており、“隠れたヒーロー”になってしまっています。ごみ拾いという素晴らしい活動を可視化し、それを見てまねしたいと感じる人を増やしていきたいと思ったんです」とアプリ開発の思いを語ります。



7歳の時に読んだ環境問題の本に心を動かされた小嶌さんは、海や川など自然界に流出するごみ問題の解決に早くから取り組んできました。「発生したごみが正規の収集ルートで処理されれば問題ないのですが、道ばたなどに捨てられるごみがとても多いのが実情です。それらが川や海に流出すれば、海のCO2吸収量が減ったり、有毒物質が付着したプラスチックが魚介類に取り込まれるなど、さまざまな問題を引き起こします」とごみ問題の深刻さを解説します。

ごみ減少に取り組むPIRIKAがピリカとは別に開発したサービスが「タカノメ」。各地を走るごみ回収車の前方に設置したiPhone SEや、担当者が手にしたiPhone SEで道路や歩道を動画で撮影し、ごみの状況を機械学習で自動検出するアプリです。「ふだんのごみ回収業務をしながら、ごみの多い場所や少ない場所が可視化できるので、清掃員を効率的に配置できます。ごみの多い地域にごみ箱を設置した場合、設置前後のごみの量の変化も測れます」とメリットを語ります。


小嶌さんは「コロナの影響で、大規模に人が集まっての清掃活動は難しくなりましたが、個人の活動は逆に増えています。2040年までに、ピリカを使って回収したごみの量が、自然界に流出するごみの量を超えることをミッションとしています」と抱負を語ります。

動画広告を見ると実際の河川のごみを拾ってくれるアプリも



動画広告を視聴したりアプリ内課金を実行すると、スタッフが実際の河川でごみ拾いをしてくれ、現実の世界に貢献できる――。バーチャルとリアルが連携した異色の環境保護啓蒙アプリ「FLOAT - River & ZEN & Chill」(無料、アプリ内課金あり)も話題になっています。



川に流出するごみの存在を知ってもらうためのアプリと位置づけられているFLOAT、メインの内容自体はとてもシンプルで、川を流れるペットボトルごみをうまくキャッチしていくだけ。アプリの起動中は心地よい川のせせらぎのサウンドが流れ、ゲームというよりは癒やしアプリという印象を受けます。


アプリ内でいくらごみを回収しても、実際の河川のごみは減らない――。このジレンマを解決すべく用意したのが、NPOのスタッフが実際の河川(荒川)に捨てられているごみを回収するという取り組みです。ユーザーが動画広告を見たりアプリ内課金をすると、それにより得られる利益をもとにスタッフを荒川に派遣し、河川ごみを回収してくれます。


FLOATを制作したデザイナーのカキヌマツトムさんは、1つの川をめぐる自然と人間の営みを描いたかこさとしさんの絵本「かわ」(福音館書店)を子どものころに読み、大いに影響を受けたそう。以前は荒川に足を運んでボランティアの人たちとごみ拾いをしていたものの、コロナで清掃活動に参加する人が激減したことに危機感を覚え、多くの人に河川ごみや大量消費の問題を知ってもらうべくFLOATの開発を思い立ったといいます。荒川などに流れ着く河川ごみの問題に取り組むNPO法人荒川クリーンエイド・フォーラムの今村和志さんと連携し、完成にこぎ着けました。



環境保護というと、企業や自治体などの団体が大規模に取り組むもの…というイメージを持つかもしれませんが、手元のiPhoneがあれば1人でも環境保護に貢献できることが分かりました。アースデイを機に、ぜひこれらのアプリを試してみてください。(磯修)