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【漫画】“はじめてのおつかい”に行く妹がテレポーテーションできたら? Twitterで読める創作漫画が愛らしい

2022年04月15日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『おつかいテレポーテーション』

 新生活が始まる4月、目まぐるしい日々が続き、手軽に読むことができる漫画で癒されたい――そんな人におすすめしたいのが、Twitter上で公開されている読み切り漫画『おつかいテレポーテーション』だ。兄妹愛を感じられる心温まるストーリーで、SFの要素もありながら懐かしさも感じられるノスタルジックな作品である。


(参考:漫画『おつかいテレポーテーション』を読む


 おつかいを任されたリョーコに心配そうな視線を送る兄。まだまだ小さいリョーコの一人旅に不安を募らせるが、それ以上に兄はリョーコが“テレポーテーション”を外で使わないか気が気ではない。兄は居ても立っても居られず、リョーコの後をつけるが、テレポーテーションを多用するリョーコに振り回されながら、なんとか兄の役目を果たそうとする――。


 作者はフルタイムで働きながらも漫画制作に没頭する、藤田サヤカさん(@syk0kys)。本格的に漫画を描き始めたのが2年前と、キャリア自体は短いながらも心をつかむ作品を手掛ける。今回、漫画制作を始めた経緯、おつかいというテーマに「テレポーテーション」を組み合わせた狙いなど、じっくり話を聞いた。


■「漫画制作を初めて仕事の幅が広がった」


――現在はどのように活動しているのですか?


藤田サヤカ(以下、藤田):フルタイム会社員なので昼間以外の時間を主に漫画に充てていますが、夜は頭も体も疲れ果てているので、作業するのは主に早朝です。案外捗ります。また、現在は30ページ前後で雑誌に投稿用の読み切り作品を制作しています。ペースは大体3~4カ月に1本で、少なくとも年3本は作ることを目標にしています。


――本格的に漫画制作を始めた時期は?


藤田: 2年前くらいからです。育児休暇から職場復帰して少し落ち着いたことをキッカケに本格的に取り組むようになりました。当時からデザインの仕事をしていましたが、キャラクターを描くのが本当に苦手で、「キャラが描けたら仕事の幅ももっと広がるのに」と思って練習を始めました。ただ、愛着のない人物を描くこととは違い、漫画はたくさん登場人物が出てくるじゃないですか。それも、自分の考えた物語で。


――特に自分が考えたキャラクターであれば愛着はすごいですね。


藤田:はい。それなりに長いこと、人から頼まれて絵を描く仕事をしていたのですが、1から自分で作ることが思った以上に楽しく、気が付けば人物の練習ではなくて、漫画制作にハマってしまいました。結果として仕事の幅も広がったので、今後も続けていきたいです。


■参考にしたのは『ドラえもん』の雰囲気


――なぜ『おつかいテレポーテーション』を制作しようと思ったのですか?


藤田:前作、前々作とラブコメ作品が続いたので「今回は家族愛や兄妹のお話が描きたいな」と思ったのがキッカケです。ちょうどその時期、テレビで『はじめてのおつかい』(日本テレビ系)をやっており、「いろいろな場所に移動できちゃうお話って面白いかも?」と思い、そこから膨らませていきました。


――日常生活の中から着想を得たのですね。


藤田:そうですね。ただ、実は初期のネームでは”おつかいに行く”というお話ではなく、“宅急便のお兄さんをテレポート能力を使って手伝う内に誘拐犯と勘違いした警察に追われる”みたいなお話でした。それでは兄妹愛、家族愛からは離れたお話になってしまったので没にして、シンプルに”おつかいに行く”で今回のお話ができました。


――“古き良き街”を感じる雰囲気が印象的でした。


藤田:駅周辺には商店街やビルがあるけど、少し離れると静かな住宅地が並んでいる。都心からは離れた子育てしやすい、そんなイメージで街を描きました。今回の作品はほっこりしたお話ですので、雰囲気作りは昔から好きだった『ドラえもん』を参考にしました。


――リョーコが超能力を使える設定にした理由は?


藤田:小さい子の移動距離はそんなに広くないので、いっそのこと大人でも行けないところをスイスイ行けちゃうのは絵的に映えそうですし、「主人公と一緒に読者さんにもハラハラして見守れたら楽しく読めるかな?」と思ったのでそんな設定にしました。


――今後の意気込みなど教えてください。


藤田:何作か描いていくにつれて、「描いたことのないもの」「漫画の技術が足りなくて挑戦できなかったもの」が溢れている状況です。たくさんの技術は同時には身に付きませんし、「いくら時間がかかってもしっかり最後まで描き切る」という誠実さを持って制作していきたいですね。結果を出してデビューすることが当面の目標ですが、漫画描いている時間が何よりも楽しいので、今後も楽しく漫画制作を続けていきたいと思います。


(望月悠木)