2022年04月14日 13:21 弁護士ドットコム
鳥取県鳥取市のある住宅街で起きた「村八分」をめぐり、有罪判決が言い渡される展開となった。
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元町内会長の女性(50代前半)の名誉を傷つけたとして、名誉毀損の罪に問われた元副会長の男性被告人(60代後半)に対して、鳥取地裁(多田裕一裁判官)は4月14日、求刑通り罰金30万円の判決を言い渡した。
女性が同日、明らかにした。
女性が町内会長を辞めたところ、「その理由は女性が補助金の詐取をしようとしたから」などと指摘する回覧板を町内会に回したとして、当時の副会長だった男性が名誉毀損罪で起訴されていた。
女性によれば、回覧によって社会的評価を低下させられたと認められた。男性は回覧の事実は認めたものの、故意ではなかったとして無罪主張していたが、判決は名誉毀損の可能性を認識しながら回覧を回したとした。
女性が会長に就任した2020年6月、降雨対策のために土のう積みを実施したところ、男性から協力を得られず、「会長が女だから」などと差別的な言葉を向けられたという。
町内会の混乱を避けるため、女性が6月20日に辞任すると、7月2日には女性について「虚偽申告による補助金の不正取得が疑われた」とする事実とは異なる内容の回覧を町内会(会員約30戸)に配布した。
1980年代にできた新興住宅地からなる町内会では、この女性を含めて当初から住んでいる人たちと、副会長など後から住んだ人たちの間で対立があったという。
この回覧によって、女性はこれまで仲良くしていた住民らからも避けられ、会合に呼ばれないなどの「村八分」をうけたとして、意見陳述で「この地で親の代から長年過して形成された人間関係、生活基盤が根本から破壊された」と被害を訴えた。
女性は弁護士ドットコムニュースの取材に「このような行為を許したら、誰も町内会長をしなくなる。そのような思いで、弁護士を通じて告訴に踏み切った。小さな事件ながら、受け止めて下さった関係者に心から感謝します」と話した。
「裁判官が踏み込んだと思ったのは、控訴の説明後、『控訴したとして、これ以上刑が重くなることはないが、訴訟費用が増えるので弁護士とよく相談するように』と述べていました」(女性)
女性によると、判決が確定した場合、民事でも謝罪広告などの名誉回復や損害賠償をもとめていく意向だという。