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『ちむどんどん』でヒロインの子ども時代を好演 朝ドラ3作目の“ベテラン”稲垣来泉の存在感

2022年04月14日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

稲垣来泉『ちむどんどん』(写真提供=NHK)

 4月11日よりスタートしたNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』。沖縄の美しい海や青々しいさとうきび畑に目が覚め、吹き抜ける風を感じられるような心地がし、食卓を彩る美味しそうな料理たちに食欲も刺激される中、比嘉家の4兄妹が賑やかにそれらを食していく様子を朝から眺めるのは、なぜか気持ちがいい。


 特に元気に走り回り、朗らかな声を響かせているのは、ヒロインの比嘉暢子。今、一番興味があるのは「美味しいもの」。興味があるものには猪突猛進な性格で、東京から来た和彦(田中奏生)を学校で見つけては、東京の美味しいものを聞いている。学校にあまり馴染めていない和彦が面食らっていてもお構いなしだ。大きな目をキラキラと輝かせながらモリモリとご飯を食べ、4兄妹の真ん中っ子らしい大胆さを見せる、そんな子ども時代の暢子を見事に演じているのが稲垣来泉だ。


 稲垣は、これまで連続テレビ小説では『とと姉ちゃん』(2016年)、『スカーレット』(2019年)に出演。このほかにも数多くの話題作に出演した子役で、『この世界の片隅に』(2018年/TBS系)では主人公のすず(松本穂香)の義姉・径子(尾野真千子)の娘、晴美を演じた。すずとすぐに打ち解けて仲良くなった晴美のかわいさが記憶に残っている視聴者も多いだろう。その後、彼女を襲った悲劇も含めて、稲垣が演じた晴美のあどけない優しい笑顔が視聴者の心を離さなかったはずだ。


【写真】パパ役の三浦春馬さんと娘役の稲垣来泉


 さらに『TWO WEEKS』(2019年/カンテレ・フジテレビ系)では、殺人の濡れ衣を着せられた主人公・結城大地(三浦春馬)の白血病の娘・青柳はなを演じた。初めて出会う娘に動揺を隠せない結城とは対照的に、初対面の彼を父親だと信じて疑わずに笑顔で話しかけるはな。その無邪気さは暢子と通じるものがある。『TWO WEEKS』の時は約100人によるオーディションを経て選ばれており、その演技力は折り紙付きだ。『TWO WEEKS』の岡光寛子プロデューサーは当時の様子を「人懐っこさ、子供っぽい笑顔、だけど芝居になると卓越した演技力を持つ彼女は、現場でもみんなを虜にしています」と語っているが、現在の稲垣も、同じように中心的存在になっているであろうことが想像できる。(※1)


 『ちむどんどん』の放送も始まったばかりだが、ネットでも稲垣の演技は注目を集めている。視聴者の中には彼女の出演ドラマを何本かチェックしている人もおり、「小さい時とはまた違うかわいさがある」という声も。さらに「笑顔で踊りながら沖縄そば踏んでいる姿、めちゃくちゃかわいいらしい!」「暢子の演技で好きになった」など、新たな稲垣ファンも獲得しているようだ。また、稲垣は子役ということもあり登場週が限られることが予想されるが、「後半も出てほしい」という反響も集まっている。


 暢子の笑顔と張りのあるかわいらしい声、その底抜けの明るさは、彼女が楽しいと思ったことを100倍楽しくして見せるような力がある。時代は1964年、沖縄は本土復帰前。これから沖縄にとっても比嘉家にとっても激動の時代が訪れるだろう。どんなに困難なことが暢子や彼女の家族に立ちはだかったとしても、彼女の持ち前の力で、ひょいと乗り越えていってほしいと願っている。


参照
※ https://realsound.jp/movie/2019/07/post-384036.html


(久保田ひかる)