ハースF1の元レギュラードライバーであるニキータ・マゼピンは、彼自身や他のロシア人アスリートに制裁が科されたことに異議を唱え、この動きは“キャンセルカルチャー”であると批判している。
2022年F1シーズン開幕を前に起きたロシアによるウクライナ侵攻を受け、ハースはマゼピンおよびタイトルスポンサーのウラルカリとの契約を打ち切ることを選択した。大手肥料会社のウラルカリは、マゼピンの父であり、ロシアの新興財閥オリガルヒでもあるドミトリー・マゼピンが過半数を所有している。
その直後にマゼピン父子は、オリガルヒが「ウラジーミル・プーチン大統領の最側近メンバー」の立場にあるという理由により、EU欧州連合による制裁対象者リストに加えられることになった。
『BBC』のスティーブン・サッカーのインタビューにモスクワから応じたニキータ・マゼピンは、ロシア人アスリートへの制裁に反対であることを改めて強調、この動きと戦うと明言した。
「制裁を受けることに納得がいかない」とマゼピンは語った。「前にも言ったように、争いたいと思う」
「おそらく今は適切なタイミングではないだろう。だが、一般的なケースで、アスリートに起きている状況の全様を見ると、これは僕の国に対するキャンセルカルチャーだ」
ロシア軍によるウクライナ民間人に対する残虐行為が連日報じられていることについて聞かれたマゼピンは、辛い思いをしていると述べる一方で、ウクライナでの紛争やロシア軍による残虐行為について公に発言することは、彼の母国では「大変なリスク」になりかねないと示唆した。
「スティーブン、僕はあなたと同じ世界に生きている。あれ(戦争の映像)を見ることが、いろいろな面で非常に辛いことは分かるだろう」とマゼピンは語った。
「平和な世界に生きたいと願う人間として、また一個人として、僕の気持ちは明らかに変わった」
「でも正直なところ、この件について何かを発言することには大きなリスクがある。全員を満足させることはできないからだ。だから僕は公には沈黙を守ることにする」