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【漫画】同調圧力が極大化した世界で、少女たちはどう生きる? ユニークで風刺が効いた創作漫画がSNSで話題

2022年04月11日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『同調圧力が限界まで大きくなった世界で不器用に生きる女の子たちのお話』

 タレ眉メイク、後ろ髪はひとつ結び、スカートの丈は膝下。今日も「ふつう」の子として完璧に振る舞う、高校生のさえ。ある日、「ふつう」ではない転校生・ちとせが登場し、さえの「ふつう」な平穏が脅かされて―――。


 そんな創作漫画が、「同調圧力が限界まで大きくなった世界で不器用に生きる女の子たちのお話です」の一文とともにTwitter上で公開されている。多様化が叫ばれる一方で、「ふつう」でなければ排除されがちな現代社会をユニークに風刺した作品で、しかし、一見交わらない人たちが、きちんと通じ合えるということが伝わる、あたたかな内容となっている。


(参考:漫画『同調圧力が限界まで大きくなった世界で不器用に生きる女の子たち』を読む


 どこかダークな雰囲気で、切実な問題提起も含みながら、ユニークさも併せ持ったシスターフッドものでもある本作を手掛けたのは、夏ソラわかさん(@KcaXy)。本作を制作したキッカケ、込めた思いなど話を聞いた。


■「普通じゃなくてもいい」


――いつごろから絵を描くようになりましたか?


夏ソラわか(以下、わか):絵を描くこと自体は幼少期からですね。漫画を書き始めたのは、2~3年前になります。その時期に、双極性障害と診断されて勤めていた会社を退職したのですが、「伝えたいこと、残したいことを制作しよう」と思って創作を始めました。


――影響を受けた作家さん、あるいは作品についても教えてください。


わか:特に影響を受けた作品は平野耕太先生の『ヘルシング』です。おぞましさの中の美しさが好きです。


――『同調圧力が限界まで大きくなった世界で不器用に生きる女の子たちのお話』を制作したキッカケは?


わか:制作しようとした経緯は、やはり「なにかを伝え残したいと思ったから」です。その“伝え残したい”ことの一つとして、「普通じゃなくてもいい」がありました。


――なぜ「普通じゃなくてもいい」というメッセージを伝えたいと思ったのですか?


わか:私は大人になるまで発達障害と診断されませんでした。周りからは「変わってるね」と言われ、親からは「お願いだから普通になって」と泣かれたこともあります。ですが、どんなに努力しても主人公のように、どこか普通とは違う結果にしかならず、「普通」という言葉に縛られ、そればかり考えていました。しかし、大人になってから自由を知り、「普通じゃなくてもいい」ということを知りました。


■「カッコいいよ!!」というセリフ


――殺伐とした空気感が流れながらも、風刺が効いたユニークな内容でした。作品内の雰囲気はどのように意識しましたか?


わか:あまり暗くなりすぎないように、キャッチャーに現実的な問題を織り交ぜることに気をつけ、「フィクションだけど、現実でもこういうところあるよね」というバランスで制作しました。


――髪形を変えたさえに、ちとせが「凄く可愛いよ!!」ではなく、「凄くカッコイイよ!!」と声をかけるシーンが印象的でした。


わか:ちとせが「カッコいいよ!!」と言ったのは、見た目に対してではなく、「周りの重圧を破って自分の好きな格好をしている貴方という存在はカッコいい」という意味で言わせました。


――“普通”を軸にストーリーが展開されますが、本作にはどのようなメッセージを込めましたか?


わか:「普通であることの重圧の具現化」と「別に普通じゃなくていいよ」というメッセージです。


――今後はどのような制作を行っていきますか?


わか:本作同様、「なにか強く残したい」と思ったことが現れたら漫画にすると思います。また、徹底的に自分の好きや思想を作品というかたちに残していきたいです。


(望月悠木)