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「中絶を」と言われた心臓脱出症の少女が13歳に「限界を押し広げインスパイアする存在になりたい」(米)<動画あり>

2022年04月08日 23:41  Techinsight Japan

Techinsight Japan

心臓が脱出して生まれたヴァーサビアさん(画像は『Virsaviya Heart outside 2022年2月3日付Instagram「This is what I wear to school」』のスクリーンショット)
ロシアで心臓が脱出した状態で誕生し、約6年前に治療のために母と渡米したヴァーサビア・ボルン=ゴンチャロワさん(Virsaviya Borun-Goncharova)が先月30日、13歳の誕生日を迎えた。「病気を知ってもらいたい」とこれまでにも多くのメディアに登場してきたヴァーサビアさんの近況を『Truly』が伝えた。

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米フロリダ州に住むヴァーサビア・ボルン=ゴンチャロワさんは、100万人に1人という腹壁の先天性奇形「カントレル症候群」を患っている。ヴァーサビアさんのケースでは胎児の時に胸骨の一部や横隔膜がうまく形成されず、誕生した時には心臓が胸郭外に飛び出した状態だった。

母ダリさん(Dari)が病気について知ったのは妊娠26週の時だったそうで、『Truly』のインタビューでは当時のことをこのように語った。

「医師に『この子が生き抜くことはないだろう。きっと死んでしまうから中絶したほうがいい』と言われました。私はショックで病院の床に崩れ落ち、泣き叫びました。」

「ただ愛する娘を中絶することなどできるはずもなく、私は娘を産んだのです。」

しかしヴァーサビアさんは医師の言葉に反して数々の困難を乗り越えて成長、念願の米国での手術は心臓に近い大動脈の血圧(中心血圧)が高すぎることから叶わなかったものの、ダリさんは「13歳になった娘を誇りに思っているし、心から愛している」と涙を流す。

一方でティーンエイジャーとなったヴァーサビアさんは、現在の生活についてこう明かしている。

「学校は楽しいけど、私の心臓のことでからかわれたり、嫌味を言われたりするとつらくなるわ。」

「病気について知らない人は私の心臓を見て『痛みが酷いのだろう』とか『虚弱体質なのだろう』と思うようなの。でも実際はそんなことはなく、私の人生は概ね幸せよ。」

「私が普段の生活でできないことは、走ることや速く歩くこと、階段の昇り降りなどね。なぜなら酸素レベルが低下してしまうからよ。酸素レベルがひどく下がったり、喘息の発作を起こした時のために、携帯型酸素濃縮器を用意していつでも使えるようにしてあるわ。」

なお薄い皮膚のみに覆われている心臓は衝撃に弱く、ヴァーサビアさんには時に心臓を覆うプロテクターが必要となる。また心臓から肺へ血液を送る血管(肺動脈)の血圧が高くなる「高血圧症(PH)」のため、息切れや疲れやすさ、めまいなどを起こしやすい。ダリさんによると、PHや不安からパニックアタックを起こすこともあるそうで、成長とともに大きくなる心臓のこまめな検査が欠かせないという。


病気とうまく付き合いながら13歳になったヴァーサビアさん、実は「誤解されがちな自分の病気について知ってもらいたい」とInstagramをまめに更新しており、心臓がバクバクと動く様子や友達や弟らと遊ぶ動画を投稿している。また「私と同じように苦しむ人の助けになれば嬉しい」と様々な情報を発信しており、こんな力強い言葉でインタビューを締めくくった。

「私は食事もできるし、歩くこともできる。こうして生きることで、医師が間違っていたということを私が証明しているの。だから自分ができることやできないことへの限界を押し広げ、人をインスパイアする存在になりたいわ。そして人々に私自身についてもっと知ってもらいたい。心臓のことだけではなくてね。」

「私は今のままの自分が美しいと思うし、それはあなたにも言えることよ。」


なおテックインサイトでは昨年1月にもヴァーサビアさんについてお伝えしていたが、ヴァーサビアさんは昨年6月に小学校を卒業し、現在は中学校に通っている。絵を描くことと歌を歌うことが大好きで、誕生日には友人をたくさん招き自宅で誕生会を開いたそうだ。


ちなみにダリさんは2018年にアービンさん(Ervin)と再婚しており、2人の間には昨年12月に次男オーシャン君(Ocean)が誕生した。これで家族は5人になり、Instagramでは長女として2人の弟の世話をしたり、温かい家族と充実した人生を送るヴァーサビアさんの姿を垣間見ることができる。


そんなヴァーサビアさんには「少し前からフォローしている。13歳、おめでとう」「母親が娘のことをとても愛しているのがよく分かる。どんな病気であっても、愛が一番大切だと思う」「私の兄弟も54年前に同じ病気で誕生した。でも2週間ももたずに亡くなった。彼女はインスピレーション。どうか健康に気をつけて!」「心臓の動きを見ることができるなんてすごいと思う反面、怖いとも思う。こうやってメディアに登場する彼女は本当に強い」「彼女の自信が素晴らしい」「これからも応援するよ」といったコメントが届いている。



画像は『Virsaviya Heart outside 2022年2月3日付Instagram「This is what I wear to school」、2022年3月31日付Instagram「Happy 13th birthday to me」、2022年3月30日付Instagram「My mommy」、2022年4月7日付Instagram「Just us on my birthday party」』『Gentle attachment parenting 2021年12月26日付Instagram「Merry Christmas」、2022年4月7日付Instagram「I tried my best」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)