トップへ

東芝ら3社、中古車EVの電池の状態を診断する技術を検証へ。適正な価値算定を目指す

2022年04月08日 12:01  Techable

Techable

写真
株式会社ファブリカコミュニケーションズ(以下、ファブリカコミュニケーションズ)、丸紅プラックス株式会社(以下、丸紅プラックス)、株式会社東芝(以下、東芝)は、東芝が保有する電池劣化診断技術を用いた中古車EV(電気自動車の中古車)の電池の状態を診断する技術の実証実験をおこなうことに合意しました。
EV電池そのものの内部状態を詳細に把握今回の実証実験では、中古車EVの電池の残存容量や残存性能に加えて、電池そのものの内部状態まで詳細に把握する手法を検証します。

参加企業であるファブリカコミュニケーションズは、自動車整備市場および中古車流通市場向けサービスプラットフォームの構築・提供を、丸紅プラックスはサービス事業モデルの構築を担当。

そして、東芝は二次電池「SCiB」の事業で培った電気化学的手法や統計的手法などの多様な電池劣化診断技術および実装技術の開発・提供を担います。
長寿命かつ急速充電が可能な「SCiB」SCiBは、充放電を2万回以上繰り返しても劣化が少ない、長寿命な二次電池。

6分間で80%以上を充電するといった、短時間での充電が可能なため、自動車やバスなどを給油感覚で急速充電できるといいます。

大電流での充放電により、自動車や鉄道の減速時に発生する大きな回生電力を蓄電したり、モータの始動に必要な大電流を供給したりすることも可能。

実際に、三菱の電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)Mグレード」や、東海旅客鉄道株式会社の新幹線車両「N700S」に活用されています。

そのほか、電池交換頻度の削減により、燃費・電費の改善や、CO2(二酸化炭素)・NOX(窒素酸化物)の排出削減をはじめ、電池交換費用を含めたライフサイクルコストの低減への貢献が見込まれているとのことです。
中古車EVの安全性と適正な価値算定の確立を目指して2030年の温室効果ガスの削減目標に向けて、世界的に急速な市場拡大が期待されているEV市場。これにより、中古車市場に流通するEVの台数も急速に増えることが予想されてます。

しかし、中古車EVの安全性と流通の活性化を目指す上で、EV電池の状態診断やその診断結果に対する評価が難しいという課題があるようです。

EVの原動機である「モーター」の状態評価は、エンジン車と同じく積算走行距離が価値算定する上でのひとつの指標となっています。

一方、繰り返し充電・放電する「EV電池」については、現時点では価値算定の指標がまだ確立されていない状況です。そんななか、3社は、中古車のEV電池の状態を診断する技術の実証実験をおこなうことに合意。

ファブリカコミュニケーションズらは、同実験から得られたEV電池の測定データを、事業を通して蓄積してきたさまざまな自動車データと組み合わせることで、中古車EVの安全性と適正な価値算定や評価手法の確立を目指す方針です。

PR TIMES(1)(2)
株式会社東芝 SCiBとは
株式会社東芝 二次電池SCiB 導入事例 自動車

(文・Haruka Isobe)