ブラックな職場は今も数多く存在する。キャリコネニュースに東京都の40代女性から
「思い返すと、『はい、すみません』『申し訳ありません』『すぐやります』『まだ出来ていません、すみませんでした』しか発言していなかったなという記憶です」
と過酷なブラック企業体験を振り返る声が寄せられた。女性は未経験から特別養護老人ホームに就職したという。(文:コティマム)
「月給19万円の正社員」のはずが「月14万の契約社員」に
女性は紹介会社を通じて特養に入社。当初は正社員として月給19万円が約束されていた。勤務時間は早番7時~16時、遅番12時~21時。休憩は1時間で、残業代や社員食堂(1食250円)、休憩スペース、制服貸与と福利厚生も整っていた。さらに研修中は「残業早出ナシ」の条件だった。しかし入社後……。
「『入社して2か月は契約社員になります』と言われ、契約社員だと雇用条件が変わり月給14万円。残業代、制服はナシ。社員食堂は社員のみ利用。休憩スペースはなく休憩時間もないに等しい」
当初の雇用条件と変わってしまったうえ、シフトの希望も聞いてもらえず遅番ばかり入っていたという。また業務前の引継ぎ作業が始業時間30分前に始まり、その30分は無給だった。さらに女性が困ったのが、教育や研修がなかったことだ。
「『OJTがしっかりしている』と聞いていて、その特養のHPにも『OJTスケジュール』が事細かに載っており楽しみにしていました。しかししっかりしているどころか、初日から人数として1カウントされており『はい、やって』と何も教えてもらえず。未経験で介護業界に入社したのに、自己紹介する時間もなく、こちらがあいさつしても無視で、利用者さんの事や建物の造り、非常階段の場所、トイレの場所すら教えてもらえませんでした」
「”ダメ出し”という名のサンドバッグで、施設を出るのは23時でした」
また職場の先輩は「性格がキツイ人ばかり」だったという。
「OJTというのは名ばかりで、こちらがあたふたと業務を行う姿を見て『違う!』『何やってんの?』『は?』『学校で何を教わってきたの?』と怒鳴りつけ、ため息を吐きながら『OJTファイル』と書かれたファイルに評価を記入しているだけでした」
先輩たちは特養の利用者にも当たりがきつかった。ある時女性は、手が不自由な利用者から「髪にピンを付けて欲しい」と頼まれた。
「利用者さんの髪を少しねじってピンを留めたらとても喜んでくれたのですが、後から先輩に『そんな事やってる時間ないでしょぉぉぉぉ!!!!』と烈火の如く怒られ、その利用者さんが泣きながら私に『ごめんね、ごめんね』と謝るので、こちらまで泣きそうになったり」
女性はその後も、業務終了後に先輩から2時間延々とダメ出しをされたり、話しかけても無視や舌打ちをされたりと、辛い日々を送った。ダメ出しで残業した時間はもちろん無給だ。「”ダメ出し”という名のサンドバッグになり、施設を出るのは23時でした。もう終バスもなく、毎日1時間程かけて歩いて帰りました」と当時を振り返る。
それでも、契約社員の期間が終わる2か月をなんとか終えた女性。ところが
「『やっと3か月目だー!正社員だー!』と思っていたら、『覚えが悪いので契約社員の期間を更に2か月延ばします』と言われたところで心が折れて、『あ、もういいです辞めます』と辞めました。辞める時の引き留めが半端なかったです」
紹介会社から退職理由を聞かれた女性は、特養で体験したことを正直に伝えたところ「考えが甘い」「未経験の素人を雇ってくれるところなんてどこもそんなものだ」などと責められたという。それでも女性は「今は自分で見つけた有料老人ホームで楽しく働いています」と投稿を締めくくった。