トップへ

レアな銘葉を使った刻みたばこ「松風」- 煙管デビューにぴったりの味わい

2022年04月05日 16:41  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
今年1月より国内でも数少ない刻みたばこの新製品「松風」が発売されている。細く刻んだ葉たばこを煙管(きせる)に詰めて喫煙する刻みたばこは、江戸時代から続く伝統的なたばこだが、現代の喫煙者には馴染みの薄いたばこでもある。その歴史などを振り返りながら、「松風」の特長や魅力などについて紹介していこう。


国産銘葉「国分葉」とは?



江戸時代に日本独自の文化として煙草文化が発展した刻みたばこ。その特徴は世界でも例のない加工技術を使った刻みたばこ葉の細さで、国産の刻みたばこ葉は細さ0.1ミリと髪の毛よりも細いものも存在する。



より細く刻んだ細刻みの葉たばこを使うことでやわらかな喫味が楽しめるとされ、火皿の小ささや煙管の長さなど煙管の形も細刻みのたばこ葉を吸うのに最適化されていった。日本にたばこが渡来したのは16世紀から17世紀ごろと言われるが、江戸時代には日本の美意識を継承しながら、繊細な彫金を施した煙管などが作られるように。煙管と刻みたばこ葉を持ち歩くためのたばこ入れと併せて、当時の人々の個性を映し出すアイテムとなった



江戸から明治にかけての約300年間、日本では煙管で吸う刻みたばこを指すのが一般的だったが、紙巻たばこの普及でその需要は徐々に減少。1979年の「ききょう」の製造中止から、愛好家の声を受けて「こいき(小粋)」が1985年に発売されるまで、国産の刻みたばこは一時市場から完全に姿を消していたこともある。


このほど発売された「松風」は鹿児島県で生産される国産銘葉「国分葉」と良質なバージニア葉をブレンドした力強くも繊細な味わいの刻みたばこだ。希少な「国分葉」を配合する現在唯一の刻みたばこで、力強い吸い応えと繊細な香りたちという、相対する2つの要素を併せ持つ味わいを目指して開発されている。


江戸の昔、葉たばこは各地でさまざまな品種が生産されていたそうだが、江戸時代から「秦野葉」「水府葉」と並ぶ三大銘葉とされ、香り高く味わいも良し、と人気だったのが「国分葉」だ。「花は霧島、煙草は国分」と言われ、皇室への献上用たばことして採用されていた歴史もあるようだ。

やわらかさと適度な吸いごたえ



現在、日本で生産されている葉たばこのうち、江戸時代から各地で栽培されてきた日本固有の種を「在来種」と呼ばれる。紙巻きたばこが主流となるなかで、在来種の生産量は減少を続け、JTの調査によると国産葉たばこ全生産量のうち2割だという。



そんな国産葉在来種の一種である「国分葉」は、独自の香味を持ちながらも海外黄色葉の甘みを引き立てることができるバランスの良さが魅力。「国分葉」とブレンドする葉にもこだわることで、吸いやすいのに吸い応えがある刻みたばこに仕上がっている。

刻みたばこの楽しみ方はいたって簡単。葉をひとつまみ手に取り、丸めた刻みたばこ葉を火皿に詰め、吸い口をくわえながら火を近づけてゆっくりとふかすだけ。ー服、二服ほどで吸い終わり、そのまま指を添えて軽く叩き灰を落とす。



厳選したバージニア葉の適度な甘さと、そして「国分葉」特有の繊細な香りと煙のきめ細やかさが掛け合わされた味わいで、無香料でそれぞれのたばこ本来の香味や旨味が同時に楽しめるのが「松風」の特徴だ。丸めやすく、扱いやすい刻み幅0.25mmの細刻みで、煙はあくまでやわらかいが、適度な吸い応えもあり、煙管の所作もきまりやすい。


「松風」は文字通り松を吹き抜ける風の音のことだが、茶道の世界では茶釜で湯が煮え立つ音を「松風」と呼び、昔から和歌などにも詠まれてきた言葉。現代に至るまで多様なイメージと日本独自の美意識を表現してきた言葉に、目指すべき理想の刻みたばこのイメージが重ねられたことが商品名の由来となっているようだ。

刻みたばこの保管のポイント



価格も幅広い煙管選びも奥が深そうだが、最初の一本は限られた予算で自分が気に入ったものを考えたいところ。今回は真鍮と羅宇竹を素材にした「煙管屋のきせる・真鍮」という、初心者でも扱いやすいという2,420円の定番煙管を使用した。



煙管は火皿(ひざら)、羅宇(らう)、吸口(すいくち)の3つの部分から構成され、雁首と吸口を竹製の管(羅宇)で繋いだものを「羅宇煙管」、火皿と胴と吸口が一体の煙管は「延べ煙管」と呼ばれる。煙管にはさまざまな素材・形があり、それぞれ意匠と実用的な機能を備えている。長い煙管ほど煙が冷え、さらにやわらかな喫味になりやすいそうだ。


たばこ葉そのものの個性を生かした味わいや、細刻みなどによるやわらかな喫味を味わえるのが、現代の刻みたばこの魅力のようだが、やはり煙管で嗜むスタイル自体が新鮮な楽しみと言える。



刻みたばこは乾きすぎると刺激や辛味が出る上、丸める時に粉になりやすくなる。乾きすぎた場合、刻みと水を入れたコップなどを一緒に密閉容器に入れ、1日程度保管すると復活するそうだ。加湿・吸湿機能を併せ持つ保湿剤を密閉容器に入れ保管する方法もあるようだが、刻みに直接加水しないように注意。


また、煙管の手入れについては煙道に付着した汚れはモールクリーナーで拭きとり、汚れのひどいときは消毒用アルコールに浸したモールクリーナーを使う。火皿は定期的に柔らかいクロスで磨くと、時間の経過とともに味わい深い色合いに変化するという。



新たな刻みたばこ「松風」で煙管デビューしてみてはいかがだろうか。(伊藤綾)