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マ・キンファがリンク&コー加入でWTCR復帰。ジャン-カール・ベルネイはシリーズ離脱へ

2022年03月31日 18:00  AUTOSPORT web

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Lynk&Co Cyan Racingは、2022年シーズンに向けマ・キンファの起用を発表
WTCR世界ツーリングカー・カップのチャンピオンチームであるリンク&コー・シアン・レーシングは、2022年シーズンに向けマ・キンファの起用を発表。中国出身のF1経験者にとっては、ひさびさのシリーズ復帰が実現することとなった。一方で、ノルベルト・ミケリス続投とミケル・アズコナの移籍加入を発表済みのヒュンダイ・モータースポーツは、2022年のWTCRとETCR(FIA eツーリングカー・ワールドカップ)の計画を一部アナウンスし、WTCRは2台体制に縮小することを確認した。これにより、現在も同カスタマーレーシング部門との契約が存在するジャン-カール・ベルネイは、シリーズを離脱することが確定的となった。

 WTCRプロモーターであるディスカバリースポーツ・イベントにより、2022年シーズンのロシア・ラウンドとして予定されていた8月6~7日のソチ・オートドローム戦に関し「現在の状況では開催されない」ことが確認され、実質的なキャンセルを決定したWTCRだが、ロシアによるウクライナ軍事侵攻開始直前となる2月最終週にも、マ・キンファが地元マニュファクチャラーであるリンク&コーのトップチームに加入し、WTCRの2022年シーズンにフル参戦することがアナウンスされた。

「WTCRでもっとも成功したチームであるシアン・レーシングに加入し、WTCRのステージで中国人ドライバーとしてリンク&コーを代表することに興奮している。今年直面するであろう大きな課題に先立ち、チームと一緒に準備を始めるためスウェーデンに行く日が待ち遠しいね」と、WTCR復帰への意気込みを語った34歳のマ・キンファ。

 2019年にはチーム・ミュルザンヌに所属し、アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCRをドライブしてスロバキア戦で勝利を収めた中国出身ドライバーだが、その後の2年間はWTCRを離れてチームワーク・モータースポーツのプログラムに合流し、リンク&コー03 TCRをドライブ。2020年はTCRチャイナのタイトルを獲得し、昨シーズンはTCRアジアでランキング2位に入っていた。

「この地球上にWTCRより厳しいツーリングカーレースは存在しないし、その課題の大きさには敬意を払っている。しかし、僕らは本当に強力なパッケージを持っているし、僕自身も2022年の世界タイトル連覇に貢献できると確信しているよ」

 また、チームマネージャーとして元F1テストドライバーを迎え入れたフレデリック・ウォーレンは、シアン・レーシングのタイトル防衛に向け国際的な経験を積んできた男の加入を歓迎するコメントを残した。

「マ・キンファが我々と一緒に戦ってくれることをうれしく思うよ。彼のパフォーマンスは過去数シーズンにわたって印象的で、彼のWTCRでの確かな経験とリンク&コー03 TCRに対する理解は、我々のプログラムの鍵となるだろう」と語ったウォーレン。

「彼と緊密に連携することを楽しみにしている。素晴らしい2021年の成果に後押しされ、これまでと同じようにやる気に満ちた状態で、2022年シーズンに向かって準備を進めている。今年はさらに厳しい戦いが予想されるが、それでも我々の目標は、世界タイトルを守ることだけに設定しているよ」

■ベルネイはWTCR離脱も、ヒュンダイには残留。ETCRに参戦か

 チームは史上最年少王者獲得から連覇を果たしたヤン・エルラシェールや、その王者の叔父でシリーズの盟主でもあるイヴァン・ミューラー、さらにテッド・ビョークやサンティアゴ・ウルティアらレギュラー勢の去就をまだ明らかにしていない。

 その一方で、ヒュンダイ・モータースポーツの副チームディレクターであるジュリアン・モンセットは、2022年はカスタマーレーシング部門によるWTCRでの活動規模を縮小し、BRCレーシングにリソースを集中することを決断。WTCRではすでに体制発表を終えたノルベルト・ミケリスとミケル・アズコナにすべてを託すこととなった。

「我々はリソースの配分を『量ではなく質』に向けるよう再考した。その結果、2名の強力なドライバーによるトップチームの活動に焦点を合わせ、2022年のサポート活動はひとつのカスタマーチームに集中させることにしたんだ」と、決断の背景を語ったモンセット。

「これにより、BRCレーシング・チームが週末のレースで効率的に作業できるようになると同時に、我々が持つリソースを活用して(TCRヨーロッパやアジア、サウスアメリカ等)その他のリージョン選手権や、各国のTCRシリーズのカスタマーに、これまで以上に手厚いサポートが提供できるようになるだろう」

 この決定により、昨季はヒュンダイ陣営のトップランカーとしてタイトル争いに絡み、ドライバーズランキング3位になったベルネイは、今季のWTCRグリッドに着かないことが確定的となった。

「もちろん、我々のWTCRラインナップのなかでジャン-カールを保持しないことは難しい決断だったさ。しかし、JK(ベルネイの愛称)は2022年もヒュンダイ・モータースポーツ・カスタマーレーシングドライバーのままだということは強調したい。今後数週間のうちに、彼のプログラムを発表できるはずだ」とモンセット。

 また、2022年で2年目を迎えるTCR規定派生の電動ツーリングカー選手権『PURE ETCR』は、今季よりFIA規格のワールドカップ化を果たし『FIA eツーリングカー・ワールドカップ』に変貌を遂げる。そのため、ベルネイはこちらの活動に集中することが見込まれている。

 さらに、アウディスポーツの支援を受けるコムトゥユー・レーシングは、まだ参戦陣容は未定ながら2022年もWTCRとTCRヨーロッパのプログラム継続を確認し、2022年は「両シリーズで第2世代アウディRS3 LMSを走らせる」プロジェクトを進行中だという。