トップへ

『スーパーロボット大戦IMPACT』20周年 心が折れそうなシリーズ最大ボリュームと絶妙な難易度設計

2022年03月28日 18:31  リアルサウンド

リアルサウンド

(画像=スーパーロボット大戦IMPACT | ソフトウェアカタログより)

 『スーパーロボット大戦IMPACT』は、2022年3月28日に発売20周年を迎える。本作は、数ある『スーパーロボット大戦』シリーズの中でも最長を誇る大ボリュームのタイトルだ。


 今回は、そんな『スーパーロボット大戦IMPACT』がどのような作品だったのか、20周年を機に振り返ってみよう。


【動画】ULTRAMANなども参戦したシリーズ最新作『スーパーロボット大戦30』


・『スーパーロボット大戦』とは


 『スーパーロボット大戦IMPACT』は、2002年3月28日に発売されたPlaystation2向けのシミュレーションRPGだ。


 『スーパーロボット大戦』について詳しく知らない方に向けて、シリーズの概要をご紹介する。『スーパーロボット大戦』は、バンダイナムコエンターテインメント(かつてのバンプレスト)から発売されているシミュレーションRPGのシリーズだ。


 シリーズの特徴は、さまざまな世代のロボットアニメのロボットやキャラクターが一堂に会するクロスオーバー作品という点にある。参戦作品は多岐にわたり、『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』といった懐かしの作品から、『SSSS.GRIDMAN』や『ナイツ&マジック』といった比較的新しい作品まで、幅広い世代のロボットアニメが集結し、夢のコラボレーションを楽しめる。ロボットアニメファン垂涎の作品であり、シリーズの歴史も30年以上にわたって続いている。


 単純にキャラクターやロボットが参加しているだけでなく、それぞれの作品のシナリオを巧みに組み合わせ、壮大な1本のストーリーとして再構築しているのも『スーパーロボット大戦』の魅力だ。それだけに、自分が好きな作品が参加しているかどうかも購入の決め手になる。


 『IMPACT』では、『V無敵超人ザンボット3』『UFOロボ グレンダイザー』『超電磁ロボ コン・バトラーV 』など、1970年代に放映されたロボットアニメの参戦が多かった印象だ。反対に、1990年代の作品はかなり少ない。2002年当時の水準から見ても、比較的懐かしいアニメが多かった作品ではないだろうか。


・『IMPACT』は総ステージ数105話の特大ボリューム


 『スーパーロボット大戦IMPACT』は、シリーズのなかでも断トツの大ボリュームとなっている。スーパーロボット大戦の平均的なステージ数は60程度だが、『IMPACT』ではエンディングを見るために100前後のステージをクリアする必要があるのだ。その中には分岐するステージもあるため、総ステージ数はなんと105にも上る。クリアまでの所要時間は150時間を超えるといわれており、近年の大作オープンワールドゲームに引けを取らないボリュームを誇るのである。


 これほどまでの大ボリュームとなったのは、『IMPACT』がもともと3部作だった作品を1本のゲームとして再構築しているためだ。『IMPACT』は、かつて発売された『スーパーロボット大戦COMPACT2』3部作のシナリオや登場作品などをほぼ踏襲して制作されており、実質リメイクともいえる。したがって、『IMPACT』も「地上激闘編」「宇宙激震編」「銀河決戦編」の3部構成となっており、大長編作品となっているのだ。


 このボリュームについては賛否両論で、途中でクリアを断念したプレイヤーは少なくない。かくいう筆者もその一人で、かつては2部に当たる「宇宙激震編」の途中で辞めてしまったという苦い記憶がある。というのも、「地上激闘編」と「宇宙激震編」は同じ時間軸のストーリーになっており、「地上激闘編」でせっかくユニットを育成しても、「宇宙激震編」では、またほぼ一からユニットを育成し直すことになるのだ。これについては、新たな気持ちでリスタートできると好意的に受け取れる人もいるかもしれない。しかし、個人的にはそれまでに積み重ねたものが一旦リセットされることからモチベーションを削がれ、最後までプレイすることができなかった。


・高い戦略性が求められる絶妙な難易度設定


 『IMPACT』は発売当時「初心者向け」を謳っていた。しかし、本作はそれなりに歯ごたえのあるシミュレーションゲームとなっており、とても初心者向けといえるような難易度ではない。ただし、各ユニットの特性をよく理解して運用すれば有利に進められる絶妙な難易度設計となっている。


 多くの『スパロボ』には、バランスブレイカーと呼ばれるような突出した性能のユニットがいる。とりわけ、「ゴッドガンダム」や「ビルバイン」といった攻撃力・回避力に秀でた機体はさまざまな『スパロボ』作品で猛威を振るっており、とりあえずこれらの機体を強化して敵陣に突っ込ませておけばなんとかなるケースもままあった。


 しかし、本作ではこれらの機体の性能も控えめだ。攻撃力は抑えられ、回避性能も他作品ほどの群を抜いた高さではなかった。また、敵機のHPが高いことも相まって、単機で突撃していてはステージを攻略するのは難しい。


 その代わり、各ユニットの個性が色濃く出たバランス調整になっている。たとえば、攻撃力は低いものの回避力が高いユニットを使えば、自軍の被害を抑えつつ雑魚敵のHPを削ることができる。一方、攻撃力が高いものの燃費の悪いユニットなどもいて、このようなユニットはステージ序盤はある程度エネルギーを温存しながら戦う必要がある一方、ボスなどの強敵との戦闘では活躍しやすい。


 また『IMPACT』では、それまでの『スパロボ』ではほとんど使い道がなかったユニットやパイロットも、やり方次第で活躍させられる。たとえば、『機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争』から参加するパイロット「バーニィ」は、初期ステータスこそ低いものの強力なスキルを持っており、ボス相手に大活躍する。


 このように、各ユニットの特性を理解して的確に運用することが求められる。さまざまなロボットアニメが集結したコラボレーションという「エンタメ性」が注目されがちな『スパロボ』シリーズの中でも、『IMPACT』は戦略性の高さが際立つタイトルといえるだろう。


 シリーズ最長のボリュームを誇り、奥深い戦略性が楽しめる『スーパーロボット大戦IMPACT』。もしも時間に余裕があれば、この大作シミュレーションの踏破に挑んでみてはいかがだろうか。(坂田憲亮)