2022年03月25日 21:21 弁護士ドットコム
国立研究開発法人「理化学研究所(理研)」の有期の研究系職員およそ600人が来年3月末で雇い止めになるとして、一部職員でつくる労働組合が見直しを求めている。
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3月25日には理研への働きかけを求めて、文科省や厚労省に要請書を提出。「無期転換逃れ」のための違法な雇い止めだと主張している。
組合によると、対象者の内訳は2023年で勤続10年を超える研究職が約300人。これに伴い、約60の研究チームが解散することになり、そこで働く約300人も仕事を失うという。計約600人。これは理研の全職員の8分の1に相当するという。
当事者らは「移転先が決まっていない。科研費をもらっているが研究が中断してしまう」「日本の科学の危機。技術が海外に流出してしまう」などと訴えている。
2013年施行の改正労働契約法により、有期雇用の労働者でも、同じ職場で5年を超えて働くと無期雇用に転換できる権利を得られる「5年ルール」が導入された。
ただし、研究者らは例外とされ、長期のプロジェクトもあることから、「イノベ法(科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律)」により、「10年ルール」が採用されている。
今回、大量の雇い止めが懸念されているのは、2023年がちょうど10年のタイミングになるからだ。組合側は一律に10年で雇い止めするのは、法の趣旨を潜脱するものだと主張している。
理研では「5年ルール」の適用がはじまった2018年にも、大量の事務系職員の雇い止めが予定されていた。ただし、このときは労働組合の交渉により撤回された。
ポイントになったのは、理研が就業規則で有期雇用の更新上限を事務職5年、研究職10年と定めたのが、改正法が施行されて数年後の2016年4月だったことだという。
少なくとも、それより前に採用された事務職については、さかのぼって更新上限が適用されることはないと主張し、該当者が上限の適用除外になった。
組合側は今回の研究職についても、2016年4月より前に採用されているため適用対象外だと指摘。そもそも上限の撤廃を求めている。
弁護士ドットコムニュースでは、理研に対し、組合主張への見解・反論を求めている。回答があり次第、掲載する。