2022年03月25日 10:11 弁護士ドットコム
「ホテル仙台メルパルク」のウェディングプランナーだった女性が、客とのトラブルが発生した際に勤務先が虚偽の説明をし、ネットで中傷された女性の名誉回復などの措置をとらなかったのは安全配慮義務違反だとして、運営元であるメルパルク株式会社(東京都千代田区)に対し、約330万円の損害賠償を求めていた訴訟で、和解が成立した。
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和解は2月22日付。会社側が「遺憾の意」を表明し、和解金を支払う内容。
女性は和解成立後、「和解金など納得のいかない結果ではありますが、今後、もし私のような被害に遭う人があらわれても『従業員は会社を訴えられる』『誹謗中傷について争うことができる』と周知されたのであれば、一定の役目は果たせたのではないかと思っています」と話した。
トラブルの発端は、2019年6月にメルパルク仙台で式を挙げた夫婦が、式場側の不手際をネットで訴えたことだった。夫婦の担当者である同僚らは、責任の多くが原告女性にあるかのような説明をしたという。
その後、参列者によりSNS上で女性に原因があるかのような誤った事実が書き込まれ、女性のフルネームや住所などの個人情報が掲載された。
女性側は、同僚や婚礼マネジャーが誤った事実を夫婦に説明した行為について、会社は使用者責任を負い、会社が女性の名誉回復や被害拡大の防止のための措置を取らなかったことについて、安全配慮義務違反があったと主張していた。
女性は「こんなひどい対応しかできない会社があってはならない」「個人へのいわれのない誹謗中傷などが起こってはならない」「こんなつらい想いをほかの人にさせてはならない」という思いで、2年にわたる裁判を乗り越えてきたと話す。
今後、事実と異なることを広め、訂正や削除に応じなかったテレビ番組やまとめサイト、炎上に加担した個人についても、責任追及を検討しているという。