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大丸松坂屋が化粧品メディアコマース「デパコ」開設 月80本掲載の”本気のメディア”は他と何が違う?

2022年03月23日 15:32  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

新生デパコのコンテンツイメージ

Image by: 大丸松坂屋百貨店
大丸松坂屋百貨店が、化粧品のオウンドメディアとして運営する「デパコ(DEPACO)」を3月29日に、EC機能を兼ね備えたメディアコマースにリニューアルする。同社が進めるコスメOMOプロジェクトとして、「人の温かみを感じるメディアコマース」に育てる考えだ。その“温かみ”の実現のため、百貨店ならではの“店頭”を武器に、新たにデパコ編集部を設立。編集長には、ビューティ業界紙の副編集長を経て大丸・松坂屋で化粧品部門の統括として活動した、望月美穂氏が就任した。

 デパコは2018年にオウンドメディアとしてスタート。「身近なプロに教わろう」をコンセプトに、BA(ビューティアドバイザー)による親近感を持てるコンテンツなど、百貨店の安心感を発信してきた。同社としてOMO戦略を加速する中で、「コロナ禍でリアル店舗の活動がストップし、いつでもどこでも安心して提供できる環境であるECの整備も必須と考えた。ただ、ECは他の百貨店に比べ後発。従来のように商品を並べるだけのECでは厳しい」と望月編集長。人の“温かみ”を持つデパコの強みと、EC機能を融合することで、他社の化粧品ECサイトと差別化を図り、OMOのプラットフォームの構築を目指す。

 メディアについては、「目標はデパコスのヒューマンメディア。オンラインでの情報発信はどうしても無機質な印象になりがちだが、人を介した”生の声”を活かせば温かみを感じられる」と話す。独自の視点で情報発信し、メディア機能のクオリティを担保するため、同社社員約10人が所属するデパコ編集部を立ち上げた。編集担当は約5人で、ほぼ全員が店頭接客経験者で構成。今回の異動で外部講師などを迎えながら編集研修を実施し、編集部で企画から執筆、外部ライター執筆記事の依頼・編集まで行う。
 月間の記事本数は月80本を予定する。買い物を後押しするような新商品情報をはじめ、特集コンテンツ、占いや漫画と絡めたエンタメ性が高い記事、外部の出版社やインフルエンサーなどを巻き込んだレビュー記事やコラム、インタビューなど好奇心をくすぐるコンテンツを揃える。「何を買ったら分からないというライトな層から、定期的に化粧品を購入する層までをカバーする記事を揃え、デパコスが好きな全ての人に楽しんでいただけるようなサイトにしたい」と語る。
 その中で、「人の温かみ」のキーとなるのが、ブランドBAの力だ。「ほかビューティメディアとの違いは、BAの存在だろう。店頭でお客さまのリアルな悩みに触れているBAだからこそ、得られる情報は貴重。読者、ひいてはお客さまが本当に知りたいことを企画に落とし込むことができる」と語る。店頭マネージャーにも定期的にヒアリングし、売り場起点での情報収集をコンテンツに活かす。
 また、BAの新しい活躍の場としても活用する。「店頭スタッフは、コロナ以前はお客さまを迎える状態だったが、コロナ禍を経て、オンラインカウンセリングやライブコマースのようにリアル以外の場所が生まれ活動の場が広がった。また、デパコ内でもBAさんの知見を活かしたコンテンツ・サービスを実装している」。具体的には、「スタッフスタート(STAFF START)」を導入し、ブランドBAによるリアルなスキンケアやメイク投稿も発信するほか、会員限定コンテンツとしてオンライン接客やウェビナーなどを展開。投稿の貢献を評価につなげるシステム・制度も視野に入れる。さらに、記事でも人気のBAにフォーカスしたインタビューを企画するなど、人を立てたコンテンツが際立つのも特徴だ。このほか多彩なブランドを扱う百貨店の強みから、同社社員による「ブランドを横断してカウンセリングするBA」である「DEPACO BA」を新設。ブランドをまたいで幅広い悩みに対応し、新しい商品との出合いも提供する。

 一方で、デジタルメディアとして、記事制作ではSEO視点も取り入れ、TwitterといったSNSなども活用することでオーガニック検索を含めサイト流入を増やす。加えて、EC機能も向上させ、商品は約100ブランドから1万アイテム以上をラインナップ。記事から購入までの導線を整備したほか、化粧品専用倉庫を稼働することで配達日数を短縮するなど利便性も高めた。
 人とデジタルを組み合わせた新生デパコのEC売上は、数年以内に年間50億円を目指す。なお、大丸松坂屋では2024年2月期を最終年とした3ヶ年の中期経営計画において、オンラインの全体売上を400億円規模にする目標を掲げており、約13%を化粧品が担うことになる。


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