キャリコネニュース編集部に、30代女性から驚愕のエピソードが届いた。彼女は、とある出版社の求人に応募した際、面接官のおじさんから「君は腐女子なの?」と聞かれたというのだ。
いや、この出版社はBL作品が主力だというから、質問としてはアリなのかもしれない。しかし、女性に連絡をとって詳しく話を聞くと、コレがとんでもない話だったのだ。(文:藤間紗花)
「少女漫画にはない、BLならではの恋愛物語の魅力」を語ったが……
いったい何があったのか。まずは、女性に語ってもらった。
編集者としてステップアップするために、転職活動をしていたときのことです。「次は、せっかくなら好きなジャンルに関わりたい!」という気持ちで、大好きなBL漫画が主力の出版社に応募しました。
同じくBL好きの妹にも応援され面接に臨みましたが、そこにとんでもない面接官がいたんです。40代後半~50代くらいのスーツ姿の男性で、おそらく編集職ではなく、それなりの役職に就いている方だったと思うのですが、終始高圧的で名乗ることもなかったので、何者だったのかはわかりません。
その何者かわからない男性が、突然アクセル全開でこんな質問をぶっこんできたのだという。
面接がはじまると、いきなり「君は腐女子なの?」と訊かれ、かなり驚きました。「BLコミックは好きです。日常的に読みます」とにこやかに答えましたが、それに対して「ふーん」と興味なさげ。さらに「なぜ若い女性たちにBLが求められるのか」という質問に答えたところ、ありえない発言をされました。
私は一人のBLファンとして、「少女漫画にはない、BLならではの恋愛物語の魅力」を真剣に分析して語ったのですが、馬鹿にしたように「異性との恋愛に恐怖心がある腐女子が、自分を投影するために読んでるんだよ。そんな大層なものじゃない」と言われたんです。「自社サービスのファンのことをなんだと思ってるんだろう」と衝撃的でした。
これは驚くほかない。BL作品を出している出版社とは思えない発言だ……。なぜそんな発言が飛び出てきたのか。まずは女性が語った「分析」を聞いてみよう。
――回答者さんが語られた「少女漫画にはない、BLならではの恋愛物語の魅力」について、詳しくお伺いしてもいいでしょうか?
あくまで個人的な見解ですが……。私は、BLは単なる恋愛物語というよりも、恋愛を通して「精神的に対等で、究極的に強い2人のつながり」を描いているように感じているんです。少女漫画で暗黙のうちに陥りがちな「ヒロイン=選ばれる側、周囲の男性=選ぶ側」というような、男女キャラによる役割分担・力関係の差がBLにはなく、「この2人だからこその関係」という、より対等で無二の結びつきを感じられることこそが、BLの尊さではないでしょうか。
それゆえに、「なぜ二人は惹かれ合うのか」「なぜその役割(いわゆる受、攻など……)をとるのか」など、作品を読むなかで自然と登場人物の解釈が深まる点も、世界観にはまりやすく、独自のファン層を築いている一因だと考えています。少女漫画とBL漫画のどちらのほうが優れているということではなくて、それぞれ異なる楽しみ方ができますよね。
「私の発言にいちいち難癖をつけてきて、徒労感がすごかったです」
――なるほど……。しっかりと自分の考えを伝えたのに、面接官には一蹴されてしまったんですね。そのほか、面接官の発言や態度で気になった点はありましたか?
面接が始まったとき、こちらが立ち上がって挨拶しているのを遮って「椅子、壁までさげてくださいね」と言われたところから、嫌な感じはありました。ソーシャルディスタンスを保ちたかったのはわかりますけど、そもそも最初から壁の位置に椅子をセッティングしておけばよかったのに……。
さらに、当時の私は3回の転職経験があったのですが、「経歴に傷がある」と言われたり、その会社を受けたことに対しても「(当時所属していた)会社への恩を裏切るってことじゃん」など、今時珍しいくらいの上から目線で言われたことも驚きでした。そのほかにも私の発言にいちいち難癖をつけてきて、徒労感がすごかったです。
いやいや「そんなこと言うなら、中途採用なんてするなよ」とツッコミたい……。そもそも、この女性が求めている人材と違ったとしても、BL好きで応募までしてきてくれたということは、自社作品のかなりのファンでもあるのだろう。その人にこんな失礼な対応をしていたら、どんどんファンが減っちゃうのでは?
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ちなみにこの女性、この出版社には採用されなかったが、無事に他企業から内定が出て、今はウェブメディアの編集者として元気に働いているという。
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