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藤原大祐×桜田ひよりが入れ替わり!? 『神様のえこひいき』は“恋”の本質を問い直す

2022年03月19日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『神様のえこひいき』(c)小村あゆみ/集英社・HJホールディングス

 藤原大祐と桜田ひよりがW主演を務めるHuluオリジナル『神様のえこひいき』が、3月19日よりHuluにて独占配信された。


【写真】『神様のえこひいき』第1、2話カット


 本作は、少女マンガ誌『マーガレット』(集英社)の人気作品を連続ドラマ化する恋愛ドラマシリーズ「マーガレット Love Stories」の第3弾。今回は小村あゆみの同名コミックを、主演のふたりをはじめとしたネクストブレイクが期待される若手キャストで実写ドラマ化する。


 物語は高校生の天野弥白(藤原大祐)が、同性の親友・七原ケンタ(窪塚愛流)に告白して玉砕した直後に交通事故で命を落としてしまうところから始まる。しかし、暇を持て余していた神様(古川雄輝)の“えこひいき”により、弥白はケンタ好みの女の子・天堂神楽(桜田ひより)に生まれ変わるのだ。


 近年は『消えた初恋』(テレビ朝日系)や『美しい彼』(MBS・TBS)など、学園を舞台にしたBLドラマが急増しているが、同性の相手と恋をするために異性に生まれ変わる……という設定はこれまでありそうでなかった。そして、この男女の入れ替わりが性別を超えた「人を好きになるとはどういうことか?」という問いに私たちを向き合わせていく。


 そもそも、弥白は元から男の子が好きだったわけじゃない。好みが似ているケンタと同じ女の子を取り合った経験もあるし、彼女がいたこともある。だからこそ、ケンタに惹かれている気持ちが果たして恋なのか、友情なのかを確かめるためにお百度参りしていたところを神様に目をつけられたのだった。


 弥白を演じるのは2019年に芸能界デビューを果たし、『恋する母たち』(TBS系)や『もしも、イケメンだけの高校があったら』(テレビ朝日系)で大きな話題を呼んだ藤原大祐。ピュアな演技に定評のある藤原は本作でも弥白の心情を繊細に表現し、特に親友を困らせないように失恋した痛みを笑顔で覆い隠す場面が胸を打つ。


 一方、そんな弥白の気持ちを一切茶化すことなく、真正面から向き合うケンタ役に窪塚愛流。直近で出演した『ファイトソング』(TBS系)ではお笑い芸人を目指す青年をコミカルに演じていた窪塚だが、本作では一転、ドキッとするような言動でケンタや女の子たちを惑わすモテ男に扮している。


 また子役時代から数多くの作品に出演する桜田ひよりは今回、見た目は女の子だけど中身は男の子という難役に挑戦した。女の子としての生活に慣れず、不自然な言動になってしまう神楽の中には確かに弥白が生きており、時折ケンタを愛おしそうに見つめる顔が告白の場面で藤原が見せた顔と重なる。そして、ケンタ好みの女の子として生まれ変われば恋が叶うと信じて一直線にケンタに向かっていく姿は応援せずにはいられないが、人の気持ちはそんな単純なものじゃない。親友を失った哀しみからどこか暗い影を落としたケンタ。その心はもはや弥白のことでいっぱいで、神楽がどんなにアピールしても空振りばかり。


 そんな矢先、好きということがどういうことなのかという恋の本質を根本から問い直すような存在が現れる。それが、ケンタの元カノ・鳥居鈴だ。『VoCE』(講談社)専属モデルを務め、現在放送中の人気恋愛番組『彼とオオカミちゃんには騙されない』(ABEMA)に出演するなど、若い世代から絶大な支持を受ける新井舞良が演じる鈴は、弥白も思わずときめいてしまうほどキュートな女の子。本当はサバサバとした性格だが、肉食な性格故に周りから誤解されやすい彼女は、なんと自分の良さを認めてくれた中身は弥白の神楽に恋をしてしまう。


 鈴も元々は男の子が好きだったわけで、つまりは弥白と同じ状況なのだが、彼女には迷いがない。躊躇いもなく神楽に想いをぶつけて、失恋しても、まっすぐな瞳で「私は神楽ちゃんが好き。この気持ちは私だけのものだから」と言い放つ。きっとこの台詞は本作を貫くテーマになるだろう。相手が異性だろうと同性だろうと、人を好きになる気持ちに貴賎はない。傷つき、悩みながらも一途に誰かを思う高校生たちの姿は恋するすべての人を力強く肯定してくれる。


 そんな中、彼らをただそばで見守る神様がなぜ弥白を“えこひいき”したのか。第2話のラストでは死んだはずの弥白が実は生きていたことが判明し、ますますその意図が気になるところ。もし弥白の身体に本来の神楽の心が入っているのだとすれば、さらに事態はややこしくなる。自分の気持ちは愛情なのか友情なのか、はたまた惹かれているのは相手の見た目なのか中身なのか。単純そうで、実は複雑な「好き」という感情に向き合っていく彼らから目が離せない。


(苫とり子)