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『ハモネプ』が長年人気を集めている理由 アカペラサークルOBライターが解説

2022年03月19日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『ハモネプ』(C)フジテレビ

 2001年にスタートしたアカペラバトル企画『ハモネプ』。過去にはボイスパーカッションで知られる元RAG FAIRのおっくんほか、HIKAKINやLittle Glee Monster・かれん、なにわ男子・大橋和也、そしてDa-iCE・大野雄大らを擁する腹筋学園などが出演してきた。本日3月19日には『ハモネプ!青春アカペラ大学日本一決定戦!熱き戦いに感動の嵐!』(フジテレビ系)としてオンエアされる。アカペラやヒューマンビートボックスの認知度を大きく高めた同番組は、スタートから20年以上経った今も人気を集めている理由とは。自身もアカペラサークルに所属していた音楽ブロガー/ライターのレジー氏に話を聞いた。


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 レジー氏がアカペラサークルに入ったのは、大学に入学した2000年。『ハモネプ』がスタートする1年前だった。元々は軽音楽をやるつもりだったが、縁あって足を運んだサークル紹介で歌声に圧倒されたという。


「僕が入った頃はまだ、大学の中でもマイナーなサークルでした。『ハモネプ』が始まると聞いた時は、どういう形でアカペラが捉えられるのか全くイメージできませんでした。でも、番組が始まってから新入部員がすごい勢いで増えて、『ここで歌ってください』というような企業からの依頼もたくさん来るようになったので、これは無視できないなと。そういう追い風もあって自分が卒業する頃には学内でも有名なサークルになっていました。今でも大所帯で活動しているようです」 そんなレジー氏が思う『ハモネプ』、そしてアカペラの魅力とはどんなところにあるのだろうか。


「アカペラは、人間の声だけで色々なことができるという驚きを聴く人に常に与えてくれますよね。そんなアカペラを媒介として、RAG FAIR、リトグリ(Little Glee Monster)やHIKAKINなど、音楽だけではなくエンターテインメントの世界で名を成す人を輩出するプラットフォームに期せずしてなっているのが『ハモネプ』だと思います。今では一般的なものになりつつあるビートボックスも、『ハモネプ』が始まった頃からRAG FAIRのおっくんを筆頭に「ボイパ」という呼称で注目されていました。歌唱力の高いコーラスグループやビートボックスなど、今の音楽シーンでは当たり前になっているものを早い段階でマスに持ち込んだのも『ハモネプ』の功績ですね」


 さらにもう一つのポイントとして、“青春感”をあげる。


「番組のタイトルにも“アカペラ甲子園”と入っていることがありますが、高校生クイズ的な、学生や若者が集まって一つの目標に向かうような絵面も含めて、訴求力のあるモノなんだろうなと思います。今もアカペラサークルへの入部理由として『ハモネプ』は機能しているようです。アカペラは楽器を使わないので、特別な訓練を受けていなくても自分にもできそうだと考える人が多いのだと思います。もちろん実際にやってみると難しい部分もあるんですけど、みんなで歌を歌うのは単純に楽しいですしね。そうやって『ハモネプ』を観てアカペラを始めて、それを観た人たちがまた『ハモネプ』を目指すというような好循環が起こっているのかなと。良い意味で敷居が低い、間口が広いものとして見えることで、そこに参加したいという気持ちになる人が絶えないのだと思います。余談ですが、多くのアカペラサークルは男女比のバランスが良いので、大学に入ってそういう青春感を味わいたいと思う人にとっても魅力的なのかもしれません」


 「『ハモネプ』のスタート以降、アカペラの知名度が変わった」というレジー氏。番組が続くことにより、世代を越えて受け入れられるものになっている。今回はOfficial髭男dismの歌声に似ていることでも注目される神戸大学「アダムス」や、民謡日本一のボーカル・入山祥己が所属する神奈川大学「六角節」、どんな楽曲もワルツ風に変える横浜国立大学「夜にワルツ」などが登場。歌唱力だけでなく、楽曲のアレンジやテクニックなども含めて楽しんでみてほしい。(村上夏菜)