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Kis-My-Ft2メンバー分析 第3回:宮田俊哉、心優しいポジティブな努力家 “好き”を貫く勇気を与えた先進的な存在

2022年03月18日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

Kis-My-Ft2

 先日、約3年ぶりとなるドームツアー『Kis-My-Ftに逢える de Show 2022 in DOME』の開催を発表したKis-My-Ft2。現在、メンバー全員がちょうど年子になる「年子ウィーク」真っ最中だ。それぞれが得意な分野で活躍しながらも、ここぞというときにはチームワークを見せる、自由なようで強固なグループ。その個性豊かな活動を軸とし、魅力をまとめてみたい。第3回は宮田俊哉。


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 ジャニーズファン以外のエンタメ視聴者層に「キスマイ、知ってる?」と尋ねたとする。彼らの場合、今や誰か1人に偏るのではなく、まんべんなく7人の名前が挙がるだろう。やはり、幅広い年齢層が視聴する『プレバト!!』(TBS系)での躍進は大きかっただろうし(これも、彼ら自身が掴み取った座だ)、ドラマや舞台で主演を張り続ける者もいれば、趣味や特技を武器に、バラエティに進出する者もいる。


 もちろん優劣や順序をつけるわけではないが、「キスマイといえば?」という問いに対し、宮田俊哉の名を挙げる者はきっと、少なくない。「アニメオタク」を公言するアイドルは、当初の注目こそ一時の物珍しさであったかもしれないが、宮田が、揺らぐことなく自身の姿勢を貫き通したことにより、“ビジネスオタク”の域には到底とどまらない本物であることが認知された。今となっては、オタク(同志)に愛され、支持される存在。7人それぞれが得意な分野で支持層を広げてきたKis-My-Ft2だが、宮田が開けた風穴は大きい。


 10年違えば、時代は大きく異なる。けれど宮田はずっと「好き」を貫き通す強さを持つ。母親が大好きだという公言も、いじられ、笑われる時代があった。それが今や、どうだろう。「好き」なことを「好き」と言い、ありのままでいることが、むしろ推奨される時代だ。宮田は、「好き」を貫くことが難しかった時代の人々や同志に、勇気を与えた先進的な存在であったと思う。かつてはいじられることも多かったように思うが、今では必要とあらばオチを引き受ける。心の広さとサービス精神がさらに育ったのだろう。


 自身もオタクだからこそ、ファンが喜ぶことをよく知っている。いつもファンを楽しませることに敏感で、積極的だ。それもまた、相手の気持ちを思いやれる宮田ならではの資質。姫(ファン)が見たい自分をよく分かっており、それでいて「自分がやりたいこと」のビジョンもしっかり抱いている。宮田と姫たちは、まるで導かれたかのように需要と供給が合致しているように思える。だから双方とも、いつも楽しそうだ。


 なかでもソロ曲やユニット曲で、自己プロデュースの上手さと楽しむ姿勢は顕著に表れる。「僕だけのプリンセス」ではショーアップされたステージを見せ、玉森裕太とのユニット曲「星に願いを」ではストーリー性の高い楽曲に没入し、演じきる。バラエティでの宮田しか知らない者は、パフォーマンスで見せる彼の表情に驚くだろう。ときに挑発的な顔ものぞかせ、バラードでは真剣な瞳で語り、ジャズ系のしなやかなダンスには情感がこもる。


 そうした豊かな表現は、舞台でも活きる。2013年には『キフシャム国の冒険』に主演し、『DREAM BOYS』などジャニーズの冠舞台でも経験を積んだ。昨年も音楽劇『GREAT PRETENDER グレートプリテンダー』にて主演を務めるなど、経験を次に繋げ、着実にステップアップを遂げている。


 絶対に努力をしているだろうに、宮田は「なんてことない」ふうにやり遂げる人だ。影の苦労も、のちに聞くことが多い。芝居においても『劇場版 BEM ~BECOME HUMAN~』で声優を務めたバージェス役、ドラマ『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日系)、現在放送中のドラマ『ドクターホワイト』(フジテレビ系)と、いずれも「宮田だと分からなかった」という声が多く聞かれたほど、ごく自然に演じていた。


 『UTAGE!』(TBS系)で習得したドラムのスキルも回を重ねるごとに磨かれ、さらに同番組ではMC・中居正広のアシスタントを務めるまでに。その頼りがいは 、英語力や一般常識を押さえた年齢相応の振る舞いにも垣間見える。さらに『RIDE ON TIME』(フジテレビ系)では、玉森とともに中国語の勉強に励む場面も(というよりも、楽しそうに取り組んでいるのが彼ららしいところでもある)。器用なのか、努力ゆえなのかーー悟らせることなく、あくまで「アイドル」のまま成長しているのも宮田らしい。


 そして『キスマイ超BUSAIKU⁉︎』(フジテレビ系)における抜き打ちテストでの、宮田の対応にはいつも感心する。どんな無茶ぶりにも、まずは笑顔で話を聞く。おおらかで、どっしり構えた人だ。そして、諭さなければならないときや、真剣に答えなければならないときの言葉選びの慎重さや語調には、彼の優しさが表れている。一方で、楽しいお題のときには心から楽しそうに取り組む。宮田は「アイドル」としての前に、「人」として愛される要素をたくさん持っている。


 姫のため、ポジティブでかっこいい「としやくん」でいようとする彼の素顔は、分かりやすいようで分からない。 けれど、いつでもアイドルであることを楽しむ姿、自己も他者も肯定できる心の広さ、志を高くいようと成長し続ける姿など宮田に学ぶところは多い。(新 亜希子)