2022年03月17日 11:01 弁護士ドットコム
弁護士だと信用させ、女性から400万円をだまし取った男性が逮捕ーー。そんな事件が報じられた。中日新聞などの報道によれば、男性は「弁護士として顧客の資金を預かるサービスをしている」などとして、女性に振り込ませたという。
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実は弁護士を騙る人物は過去にも度々、社会面を騒がしてきた。
2022年1月には福岡市の80代男性が弁護士をなのり電話詐欺で1億円以上を騙し取ったほか、コロナ協力金の違約金を巡って架空の弁護士から督促状が届いた事件(21年10月)など、詐欺話には偽弁護士が登場することが多い。
この他、次のような事件も報じられている。
・弁護士になりすまして戸籍謄本や住民票を自治体から入手できる弁護士用の申請書をだましとろうとしたとして大阪府の男性(63)が詐欺未遂容疑で現行犯逮捕(2003年)
・「あなたが購入した羽毛布団は偽物です」などとして、弁護士費用の名目で約1億円をだまし取ったとして男性(35)を詐欺の疑いで逮捕(2002年)
・弁護士になりすまし、東京拘置所に収監中の暴力団関係者と接見しようとした男性が建造物侵入容疑で逮捕。この男性は医師免許を持たずに医療行為を行ったとして、後に医師法違反でも逮捕された(2009年)
弁護士ドットコムの運営する「みんなの法律相談」にも「偽弁護士」の被害にあったという相談は20件以上寄せられ、類似の被害を含めると相談件数は400件を超える。
また、「偽弁護士(偽弁護士会)」といっても、「親類が600万円を騙し取られた」というものから「架空の弁護士団体から訴えるという連絡が来た」というようなものまで、被害の形態は様々。
このように詐欺話に「偽弁護士」は付き物のようだ。
なお、同じ国家資格でも「偽医師」は婚活の場で登場するケースが多い。「みんなの法律相談」には、偽医師をめぐる法律相談も寄せられており、婚活をめぐる質問が大半を占める。
ある相談者は「婚活サイトで知り合った医者と名乗る人と知り合い、その職業に惹かれ性行為をしました」「特に強制的にとかではなく同意の上での性行為ですが、あくまでも医者であるということを含めての同意」だったという。
ところが相手は医師ではないと判明。そこで「慰謝料の請求や刑事事件として扱う事は可能でしょうか」と質問している。
「人柄ではなく職業目当ての婚活はあざとい」と相談者を厳しくみる人もいるかもしれない。しかし、異なる職業を名乗る「偽医師」の人柄にこそ問題があることは明白であろう。
では偽弁護士や偽医師を見分ける方法はないのだろうか。
「そもそも医師免許がないと処方箋が出せないので、医療を提供する場で偽医師をやることは難しい。過去にはそういう例もありましたが。ただ男性医師は男女の出会いの場では人気なので、偽医師が生まれるのでしょうし、出会いの場で咄嗟に見分けるのは難しいような気がします」(女性医師)
この女性医師によれば、相手の名前(漢字)がわかるようであれば、写真付きの勤務先のサイトや厚労省の「医師等資格確認検索」(https://licenseif.mhlw.go.jp/search_isei/jsp/top.jsp)で確認するのが手っ取り早いようだ。
「ただその場合も既婚か未婚かはわからないです…。男性医師の中には既婚であることを騙して出会いの場に参加する猛者もいるようなので」(同)
では弁護士はどうか。
「日弁連のサイトで(https://www.bengoshikai.jp/)調べてみては? あるいは弁護士登録番号を聞いてみるとかですかね。変わったところでは、『憲法13条って何ですか』と聞いてみても面白いかもしれません。法学部出身でも皆が幸福追求権について語れる訳ではないですから」(法曹関係者)
なお、実在の法律事務所や弁護士名を騙る詐欺も相次いでおり、登録されているからといって安心はできない。
弁護士ドットコムに「偽弁護士に騙された」と相談を寄せた人の場合、「名刺は貰っていないのでなぜ信じたかと言われると、それらしかったからです」と答えている。
身元確認が不十分な男女の出会いの場や電話越しの連絡に対しては、直感を頼りにせず、冷静に対応する必要があるのだろう。