2022年03月16日 16:31 弁護士ドットコム
ヘアカット専門店「QB HOUSE」で働く従業員7人が3月16日、運営元のキュービーネット(東京都渋谷区)に対し、未払い残業代の支払いを求めて団体交渉を申し入れた。従業員が加盟する労働組合「日本労働評議会」(労評)が都内で会見を開いて、明らかにした。
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QB HOUSEは、直轄店と業務委託店(本社と業務委託契約をした個人事業主が従業員を雇用する)の2つの店舗運営があるが、業務委託店に雇用されると本社との雇用関係はないとして、福利厚生が受けられず社会保険も加入できない状態となっているという。
組合側は、新型コロナによる店舗休業の取り決めや営業時間の変更などはエリアマネジャーでなく本社が決定しており、エリアマネジャーは使用者としての業務をおこなっていないことなどから、「QB HOUSEと従業員の間に労働契約が締結されている」と主張している。
労評の顧問を務める指宿昭一弁護士は「会社は労働基準法上および労働組合法上の使用者にあたり、団体交渉を受ける義務を負っている」と指摘した。
労働基準法で定められた法定労働時間は1日8時間・1週40時間だが、理美容業で常時10人未満の労働者を使用する場合は、特例措置対象事業場として、1日8時間・1週44時間まで労働させることができる。
従業員が働くエリアマネジャー店でも週44時間の運用となっていたが、組合側は「店舗としての独立性がないため、エリアマネジャーの店舗に週44時間を適用することはできない」と主張し、未払い残業代を請求している。
また法人事業所の場合は業種や従業員の規模に関わらず社会保険の適用対象となるが、個人事業所で理美容業の場合、強制適用外となっている。指宿弁護士は「QB HOUSEではなく個人事業主が個別に労働者を雇い入れる二重構造とすることで、社会保険に入らなくて済むようにしているのではないか」と指摘した。
会見に参加した男性は「QB HOUSE」という社名での求人を見て、店舗に面接に行った。面接相手はエリアマネジャーだったが、採用時には「スタッフ採用書」を記入しただけで、雇用契約書も労働条件通知書もなかったという。男性は「賃金規定もなく、有給休暇の取得もできませんでした。疑問を持ち、組合を結成して団体交渉を申し入れました」と訴えた。
キュービーネットは弁護士ドットコムニュースの取材に、「書面を受け取ったことは確かだが、内容を把握した上で外部の弁護士と協議し対処してまいりたい」と話した。