トップへ

発売当時は人気薄? 今あえて選びたい「フェアレディZ 2by2」の魅力

2022年03月16日 11:31  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
日産自動車が新型「フェアレディZ」を発売するとのニュースを受けて、1969年にデビューした初代(S30型)をはじめとする昔の「Z」にも改めて注目が集まっている。旧車の祭典「Nostalgic 2days」には歴代Zがずらりと顔をそろえていたが、中でも「欲しい」と思わず叫びたくなるほど魅力的だったのが「2by2」だ。


○走行距離4,900kmの極上品を発見!



新型の登場によりルーツを知りたいという人が増えたのか、歴代フェアレディZの人気が急上昇中だという。「Nostalgic 2days」の会場中央にはノーマルのL20エンジンを搭載する初代フェアレディZ(SOHC 2.0L直列6気筒 最高出力130PS/6,000rpm、最大トルク17.5kg-m/4,400rpm、1969年式で当時の新車価格93万円)から新型まで、Zがずらりと並んでいて壮観だった。なんと隣のブースには、ソレックスツインキャブレター3連装、4バルブDOHCエンジン(S20型、1970年前後の日本GPなどレースで活躍した「スカイラインGT-R)が搭載)を積んだ「Z432-R」(432は4バルブ・3キャブレター・2カムシャフトの意)の姿も。クルマ好きの心をくすぐる演出だ。


そんな中、筆者の目にとまったフェアレディZはスウィンギンモータースが展示・販売していたS30型「フェアレディZ 2by2」(型式A-GS30)だ。全長4,115mm、全幅1,630mm、全高1,285mmの2シーター用ボディを310mm延長して2座のリアシートを装着した4人乗りモデルで、+2とはいえシートにはしっかりしたシートベルトが用意されている。ワンタッチ可倒式の背もたれは後ろから倒せるので、簡単に長尺物を積み込むことができる。


販売されていたのは1976年1月登録の個体。東北地方のとある場所で発見されたワンオーナー車で、走行距離がわずか4,900km(!)というノンレストアボディの極上ものだ。


エンジンは最高出力130PS/6,000rpmを発生する排気量1,998ccの直列6気筒L20型。吸気系を昭和50年の排ガス規制に合わせてツインキャブからインジェクションに変更したモデルで、排気系には「NAPS」(ニッサン・アンチ・ポリューションシステム)と呼ばれる排気ガス浄化システムを同時に組み込んでいる。性能アップのため補器類が外されているものが多い中で、エンジン周りにほぼ全てがそろったオリジナルの状態を保っている。


前後に長い6気筒を収めたエンジンルーム内には、懐かしの「ニッサン」ロゴ付きプレートが取り付けられていて、型式やエンジンの気筒容量、最高馬力、車台番号が記されている。走りについては、会場(千葉県の幕張メッセ)に自走で来た(東京の五反田から)というから全く問題なしだ。


内装はフルオリジナル。ダッシュボードのプラスチック、ウッドの3スポークステアリング、5速のウッドシフトノブ、240km/hまで刻まれたスピードメーター、油圧と水温、電圧と燃料、時計が確認できるZ伝統の3連メーター、空調のレバー、日立製の純正ラジオなど、どれを見ても状態がいい。発煙筒は昭和50年製造のもの。懐中電灯は単2電池を使用するものがそのまま取り付けられていた。


シートの状態も抜群だ。試しに座らせていただくと、「Zのシートはこんなにかけ心地が良かったのか!」と感心するほど。助手席には新車の時にディーラーマンが乗っただけということで、シートの表面は全くへたっていない。



Zは構造上、リアハッチの内側サイドに水が溜まって腐ってしまい、修理でパテ埋めされて表面がなだらかになってしまっているものが多いのだが、この個体はその部分に段差がしっかりと残っている。話を聞いた横田修さんによると「入社19年でいろんなZを見てきましたが、こんなのはないです。資料的価値があります。アンテナもちゃんと電動で伸び縮みするし、本当にすごいんですよ」とのことだった。



2by2の人気は発売当時はイマイチだったけれども、4人で乗れて荷物もたくさん積み込めるという実用性を持つZはなかなかの優れもの。価格は990万円だったので、もう売れているかも……。いかがでしょう?



原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)