2022年03月16日 10:01 弁護士ドットコム
弟が多方面に数千万円の借金をしていることが発覚したが、どうすればいいのかーー。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
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相談者によれば、弟は「親や同棲相手以外にも、同僚、友人20名、銀行、消費者金融、闇金等にお金を借りています。浪費やギャンブルによる借金も含まれているため、数千万円にも借金は膨らんでしまった」と言います。
現在、弟は仕事を辞めて、実家に帰っています。弟は自己破産や個人再生をしたいと考えていますが、このような多重債務に陥った場合、弟は何をすれば良いのでしょうか? 白土文也弁護士に聞きました。
——まず初めに弟は何をやるべきでしょうか
多重債務に陥っている場合、任意整理、自己破産、個人再生などの解決策がありますが、いずれを選択する場合でも、債権者から取引履歴を開示してもらった上で利息制限法に基づいて、いわゆる引き直し計算を行い、法律上認められる正しい債務残高を明らかにします。
もし、適法な利息を上回る利息を払っていて、いわゆる過払い金が発生している場合は、その返還を求めます。
——過払い金がない場合は、その次に何を検討するべきですか
過払い金が無い場合、「任意整理」により分割払いの合意を目指すことが考えられますが、消費者金融などの債権者は原則として3年以内(長くても5年程度)の分割払いにしか応じません。相談者の弟のように、仕事を辞めている状況では現実的ではありません。
「個人再生」は、法的に債務を減額してもらった上で分割払いをする方法です。しかし、「継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること」が要件となっており、やはり仕事を辞めている状況では困難でしょう。
一方「自己破産」は、一部の債権を除き、返済しなくてよいことになります。99万円以下の現金を除く財産は債権者に分配されてしまうというデメリットがありますが、高額な財産を所有していなければデメリットにはならないでしょう。
——相談者の弟のように浪費やギャンブルが原因で借金が膨らんだケースでも、免責は認められるのでしょうか
その場合、免責が認められず、破産したのに借金が残ったままということもあり得ますが、基本的には、破産手続きの中で説明義務を尽くすなど誠実に対応すれば免責されるのが実情です。
破産後に債権者から請求された場合は、破産により免責が認められたことを主張して返済を拒むことが可能です。本件では自己破産を選択すべきと考えます。
【取材協力弁護士】
白土 文也(しらと・ぶんや)弁護士
第二東京弁護士会所属。平成17年、司法試験合格。合格後、ベンチャー企業で2年間勤務。司法修習を経て都内法律事務所に勤務。中国上海市の法律事務所で1年間の勤務の後、平成26年、白土文也法律事務所を開設。相続・遺言、民事信託(家族信託)、事業承継、税理士・司法書士など士業の顧問弁護士業務、中小企業の顧問弁護士業務、不動産問題を中心に取り扱う。
事務所名:白土文也法律事務所
事務所URL:https://shirato-law.com/