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『ファイトソング』間宮祥太朗と菊池風磨が見せる勇姿 芦田と慎吾は花枝にどう踏み込む?

2022年03月15日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『ファイトソング』(c)TBS

 火曜ドラマ『ファイトソング』(TBS系)が3月15日についに最終回を迎える。


【写真】バックハグする慎吾(菊池風磨)


 空手の日本代表を目指し、一度はその夢を叶えるが、事故に遭い、その夢を絶たれてしまった花枝(清原果耶)。しかも事故の際に行った病院で耳の病気が見つかる。手術をすれば病気は治るが、耳が聞こえなくなる可能性がある。その事実に無気力状態の花枝を、同じく児童養護施設「あさひ学園」育ちで花枝に思いを寄せている慎吾(菊池風磨)はなんとか立ち直らせたいと奮闘する。一方で花枝は、ひょんなことから試合前に必ず聞いていた勝負曲の作者・芦田(間宮祥太朗)と出会う。花枝は耳が聞こえている時の思い出作りとして、芦田と人生初の恋愛にチャレンジする。


 最終回を前に、改めて花枝に想いを寄せる芦田と慎吾の魅力に迫っていきたい。


■口下手か思いきや突然想いが溢れ出す芦田(間宮祥太朗)


 間宮演じる芦田が花枝との恋愛にチャレンジしようとすることになったのは、一発屋ミュージシャンから脱するため。本気で人を好きになったことがなく恋愛経験もほぼないため、「人の心が分からないから良い曲が書けない」という思いからだった。その通り、最初は言葉も少なく、無愛想な様子を見せる芦田。間宮といえば、『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)でヒロインに真っ直ぐ熱烈な思いを伝える中沢を演じたことが記憶に新しいが、中沢と正反対の性格の芦田を、間宮は途切れ途切れの口調やこちらを恐る恐る窺う目線を使って見事に演じ切っていた。


 初めは花枝とのコミュニケーションもなかなかうまくいかなかったが、花枝への気持ちを自覚してからの芦田は一変。溢れ出る想いがそのまま口から出るように。しかもシンガーソングライターらしくその言葉はどこか詩的で、花枝を見つめる瞳は純粋そのもの。最初はおどおどしたような芦田を引っ張っていくような素振りを見せていた花枝が、芦田の勢いと真っ直ぐな想いに押されてしまう場面も見られた。


 花枝も芦田もお互いのことを大切に思っているからこそ、踏み込めなかった部分、踏み込まれたくなかった部分がある。最終回で再会を果たしたふたりの気持ちの変化、行動に注目したい。


■大胆な行動をとるも、あと一押しができない慎吾(菊池風磨)


 菊池演じる慎吾は恋愛的に花枝が好きだという気持ちだけではなく、ひとりの人間として花枝を大事にしたいと思っているようだ。だから、無気力状態の花枝に仕事を与え、元気になってほしいと願い、それさえも投げ出そうとする花枝を真剣な表情で一喝する。


 それでも“花枝の幸せは俺の幸せ”というように割り切ることはできない。芦田のことで心が揺らいでいる花枝を見ると我慢できずに、突然バックハグをするような大胆な行動も。そこで、あともう一押し、自分の想いを言葉にできればいいのに、慎吾はその壁をなかなか越えられないのだ。児童養護施設できょうだいのように育ってきた花枝に見せる“兄”としての顔と、花枝には見せられない切ない想いがこもった表情。菊池はその切り替えを瞬時に行っている。それが同時に慎吾が花枝に抱える想いの複雑さを物語り、花枝を想う切ない目線に花枝自身がどうにか気づいてほしいとこちらがヤキモキさせられる。


 耳が聞こえなくなってしまった後でも、花枝のそばにずっといた慎吾。花枝は空手を再開し、笑顔も増えた。こうなるまでに慎吾の支えも大きかったことだろう。最後の最後に、慎吾は花枝を手放さず、想いを伝えることができるのだろうか。


 花枝を巡る芦田と慎吾の三角関係だけではなく、「あさひ学園」の人々や花枝と葉子(石田ひかり)の関係なども丁寧に描かれた本作。たくさんの仲間たちの優しさや愛に包まれた花枝は、最終回、どんな幸せを掴むのだろうか。


(久保田ひかる)