水泳のオリンピック強化指定選手から映画の主演女優を務め、現在はプロボディボーダーとタレントの2足のわらじを履く白波瀬海来(しらはせかいら)さん。そのキャリアは普通の人の3人分と思えるほど濃く、バラエティーに富んでいる。現在、イメージDVD「Luster」(リバプール)が絶賛発売中の白波瀬さんに、多岐に富んだキャリアについて聞いた。(取材・文:徳重龍徳)
水泳でオリンピック出場を狙うも挫折 その後女優に
――現在はプロボディボーダーの白波瀬さんですが、もともとは水泳の選手だったそうですね。
プールに最初に入ったのは1歳の時で、そこから17年間水泳をやっていました。小学生の頃にはクラブチームに所属し、朝4時半に起きて5時にプール、そこから学校に行って、終わったらプールに向かい練習という日々。毎日8000メートル泳いでいました。
オリンピック強化指定選手にも選ばれて、選手同士での合宿に参加したり、全国大会へ出場もしていました。その中で池江璃花子選手もいらっしゃって、一緒に練習したり、試合もかぶっていたんですが、徐々に他の選手とのレベルの差を感じるようになっていって。
――壁にぶつかったわけですね。いつ頃だったんですか。
壁を感じたのは小学6年生ころです。「オリンピックに出場したい」と一生懸命にやっていたんですけど、全国の舞台に立つと勝てない。「これだけやってきたのにまだまだなんだ」と、挫折を味わいました。
――芸能界入りのきっかけはなんだったんでしょうか。
私が水泳でもがいていたのを知った父が、何かきっかけをつくってあげたいという思いから、11歳のころにフリーペーパー『千葉美少女図鑑』のオーディションに勝手に応募をしていたんです(笑)。父に「今度、オーディションがあるから行ってみな」と言われ、オーディションに行き、その後にモデル活動を始めました。
その後、いろいろな大手の事務所に声をかけていただいたんですけれど、芸能一本に絞って水泳をやめなければいけないと言われたので、水泳ができる事務所に高校1年生で入りました。事務所に所属して1か月後に、オーディションに行ったら合格して、それが主演映画『セシウムと少女』(2015年)です。19歳の時に主演を務めた『写真甲子園 0.5秒の夏』(2017)では東京国際映画祭のレッドカーペットを歩くことができて嬉しかったです。
ただ最初は正直なめていたんです。「私、才能があるのかな」って。でもバチが当たって、やっぱり壁にぶつかってしまいました。
――水泳に続いて、芸能でも壁にぶつかったわけですね。具体的にはどういう壁だったんですか。
私っていいところまで行って、そこから努力をできないんです。映画で主演を務めて、周囲は「努力しているよ」と言ってくれるんですが、自分ではそこまで努力していなかったと思います。
だから「もっとこうできたのでは。もっと工夫できたんじゃないか」という雰囲気が映画を通して伝わってきた。演技レッスンにも通っていたんですが、レッスンの先生からも「極端だよね。やらないときは本当にやらない。気分屋」と言われていました。
ボディボードとの出合い、そして大会優勝
白波瀬海来さんのInstagramから
――ボディボードとの出会いはいつだったんですか。
日本代表を目指し水泳を続けていましたが、限界を感じ高校3年でやめました。でもそうなると、自分が何をしたいかわからなくなってしまって。そんな時に父から勧められたのがボディボードでした。
最初は趣味程度に考えてたんですけど、また父が勝手に大会に登録しちゃって(笑)。初めて3ヶ月ぐらいだったんですが、出場したら優勝しちゃったんです。そこからプロを目指してみようと思うようになりました。
――初めて3か月で優勝はさすがの運動神経ですね。ボディボードを始めたことは芸能活動にも影響したそうですね。
ボディボードをすると肌は日焼けしてしまいますが、所属していたのは女優が中心の事務所で日焼けがダメだったんです。ボディボードもより頑張りたい思いもあり、そこからは事務所を離れ、ボディボードでプロを目指しつつ、フリータレントとして活動しました。
――プロボディボーダーになろうとしたとき、コロナ禍が襲いました。
ボディボードを始めて2年目で、アマチュアの大会で全国2位になり、そこからプロの資格を取ろうと思ったんですが、3年目はコロナの影響で大会自体がなくなってしまって……。それでも昨年JPBA KAMOGAWA PROで7位になり、プロ公認を取得しました。私は始めた年齢が遅かったので、プロになるまですごく急いでいたので、プロになったことで、気持ちは楽になりましたね。
もともと私はメンタルがすごく強いんです(笑)。負けたくないという気持ちで、プロ認定を取ることができました。日本のボディボーダーって、世界大会に出れば優勝ができるレベルなんです。そんな人たちがたくさんいる中で勝つというのは本当に嬉しいことですね。
プロボディボーダーとグラビアタレントの“二刀流”で活躍
DVD「Luster」より
――少しさかのぼりますが、芸能活動は元の事務所をやめてからどうだったんですか。
フリーの期間も芸能活動はやっていたんですけど、個人だと限界がありました。そこで事務所に所属したいなと思っていたんです。そんな時に原宿を歩いていたところに今の事務所のマネージャーからスカウトされ入りました。実は中学生の頃に一度、声をかけていただいたことがあったんです。本当に偶然でした。
ボディボードを続けることにも事務所は理解があり、事務所に入ってから一気にボディーボードの成績も上がっていきました。たぶん気持ちがどんどん上がっていったんだと思います。
――現在の事務所に入り、グラビアの活動も始めました。抵抗はありましたか。
いいえ、水着には全く抵抗はなかったです(笑)。グラビアではちょっときわどい水着もありますが、私がボディボードをやっていることを前面に押し出せますし、乗り気でした。
――絶賛発売中のDVD「Luster」ではカメラを恋人に見立ててセリフを言うシーンもあります。これまでの演技とは違うと思うのですが、恥ずかしさとかはありますか。
照れはないですね。DVDでは本来の自分を出し切っているので。普段の自分と変わらないです。グラビアをやったことで、それまでのファン層とは違う人たちから注目が集まるようになったと感じていますし、新しいファンがすごく増えました。グラビアのファンだけでなく、サーファーのファンも増えたので、すごく嬉しかったです。千葉の海でも「白波瀬さんですよね」と今は声をかけられます。
DVD「Luster」より
――タレントとボディボード。白波瀬さんの中での割合ってどんな感じですか。
どちらも10割、全力です! タレントとして有名になりたいという気持ちはすごく強いです。その辺を歩いていても「有名人だ」と言われるくらいの人になりたい。まだ全然努力が足りないし、ボディーボードをもっと頑張らないといけないと思います。
――ボディボードでの目標はどこですか。
日本チャンピオンを目指したいと思っています。何より、私を通してボディボードという競技を広めたい。私自身、ボディボードのスターである小池葵さんをすごく見てきたので。小池さんのようになりたいと思っています。
例えばテレビに出て競技について発信したり、海でみんなに教えたり。ボディボードだけでなく海の楽しさや素晴らしさを伝えたいです。
――タレントとしての目標はどこですか。
タレントとしての目標はやっぱり運動の番組には出たいですね、具体的にいうと「炎の体育会TV」「ジャンクSPORTS」に出て、運動能力を見せたいです。
――キャリアにおいて大切なことはなんだと思いますか。
やっぱり一番大切なのは「楽しむこと」だと思います。努力することはもちろん大切ですが、そのためには楽しみがないとやっていけない。たとえば就職先であったり、目標がまだ見つけられてない方がいらっしゃったら、まずは自分が楽しいことを考えて、それに合わせた仕事を探すといいと思います。人生は一度きりなんで、本当に自分が一番好きなことをやってください。
白波瀬海来(しらはせかいら)プロフィール
1997年9月27日生まれ。千葉県出身。身長156cm。2015年公開の映画『セシウムと少女』で初主演を果たすと、2016年の映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』、2017年の映画『写真甲子園 0.5秒の夏』などに出演。現在はボディボーダーとしての活動と両立し芸能の活動を行っており、グラビアのほか、TOKYO MX『バラいろダンディ』にレギュラー出演している。
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