トップへ

『二十五、二十一』で“青春”を擬人化 ナム・ジュヒョクの眩しい笑顔に惹かれる主演作4選

2022年03月13日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『二十五、二十一』(写真はtvN公式サイトより)

 日本のNetflix視聴ランキングでも連日ランクインしている『二十五、二十一』。序盤から「名作」の香りがぷんぷん香ってくる本作で、ひと際まぶしい輝きを放っているのが、青春の代名詞ナム・ジュヒョクだ。近年演技面で高い評価を得ている彼の、さらなる魅力に浸る主演作4作を紹介したい。


【写真】ナム・ジュヒョクの寝顔


■『二十五、二十一』


 ジュヒョクの演技力を再証明しているのが、現在配信中の『二十五、二十一』だろう。本作は、1998年、韓国が類を見ない経済不況に陥っていたIMF時代に夢を奪われた若者たちのさまよう青春と成長を描いたロマンスドラマだ。主人公ナ・ヒド(キム・テリ)の娘がコロナ禍である現在に開いた母の高校時代の日記帳を元に、母ヒド(キム・テリ)の若かりし青春時代の物語が展開していく。


 故意にぼやけて演出した画面、レトロな小物やOSTなどその時代を思い起こすような演出。現在の姿をチラ見せし、過去を振り返ることでさまざまな真実が明らかになっていくという展開方式は、韓国で愛され続ける『応答せよ』シリーズを彷彿とさせる。心ときめくロマンスや青春の痛み、コロナ禍の私たちにも通じる深いメッセージはもちろん、過去の小さな伏線から、視聴者の考察を白熱させるのも本作の魅力の一つだろう。


 ジュヒョクが演じるのは、IMFで裕福だった生活が一変し、倒産した家庭の長男として懸命に生きるベク・イジン。ヒドと出会い、互いに癒し合い、支え合い、成長していく。彼は青春漫画を破って出てきた「青春の擬人化」のようなフレッシュな魅力で、希望を描き出しながらも、厳しい現実にぶつかって倒れる若者の苦悩を繊細に表現している。きっと彼の「人生作(この俳優といったらこのドラマが浮かぶ程、人々の記憶の中に残る作品)」の一つになることだろう。


■『スタートアップ:夢の扉』


 ジュヒョクが「青春」を代表する俳優として確固たる地位を築き、人気に拍車をかけたのが本作だろう。本作は韓国のシリコンバレーと呼ばれる、若者のあこがれの地“サンドボックス”で、成功を夢見てスタートアップに飛び込んだ青春の始まり(START)と成長(UP)を描く物語だ。両親の離婚で家族がバラバラになり、父親と祖母と共に暮らしていた主人公ダルミに「ナム・ドサン」と名乗る少年から手紙が届くようになる。会ったこともないドサンに淡い初恋の感情を抱いていたダルミは、大人になり起業家の集まる「サンドボックス」でその“文通相手”と再会するーー。


 夢を叶えるべく奮闘する若き起業家たちの痛快なストーリーが展開する一方で、物語を大きく盛り上げたのは、ダルミ(スジ)を巡る“三角関係”だ。斬新なのはジュヒョクが演じるのが、ダルミの文通相手で初恋の相手では“ない”という点だろう。彼が演じるナム・ドサンは、ダルミの本物の文通相手ジピョン(キム・ソンホ)が、たまたま名前を借りた人物なのだ。ジピョンに頼まれ文通相手のフリをしているうちにダルミと惹かれあっていくが、ダルミが好きなのは自分ではなく“手紙の中のドサン”だと察して苦しんでいく。


 髪はボサボサ、趣味は編み物、致命的なダサさを発揮し、女心がわからない不器用な理系男子を演じるそのギャップが魅力的だ。「偽物」であるが故に愛と嘘との間で葛藤し、涙を流す姿に心打たれる。


■『まぶしくて ―私たちの輝く時間―』


 イメージを一段階ランクアップさせ、ジュヒョクが真の演技者として高い評価を得たのが本作だろう。ファンタジーという手法を用いて、波乱万丈の人生を生きたひとりの女性の人生を描き出したヒューマンドラマだ。「百想芸術大賞」でキム・へジャが大賞を受賞した本作は、韓国で多くの視聴者が、「人生ドラマ(人生において長く記憶に残る最高のドラマ)」として名を挙げ、大絶賛される一作だ。


 幼い頃に砂浜で時間を巻き戻せる腕時計を手に入れたキム・ヘジャ(ハン・ジミン)。ある日交通事故で亡くなってしまう父を救うため何度も時間を戻していたヘジャは、目覚めると25歳から70代のおばあちゃんに変わってしまうーと予想不可能なストーリーが展開していく。韓ドラによくある「時間離脱系ファンタジー」と思いがちだが、その予想を見事に裏切った先にある、キム・へジャが伝える“メッセージ”が名作と謳われる所以だ。「今を大切に生きたい」と思える、心に響く極上のヒューマンドラマだ。


 ジュヒョクは心に傷を負った青年ジュナを好演。暗い人生を背負い、闇を抱えているキャラクターという点で『二十五、二十一』のイジンと似ているかもしれない。「蜂蜜業者」と呼ばれた、ジュナを見つめる甘い瞳の中にも孤独を滲ませ、ジュナの心の内を繊細に表現した。彼の瞳から流れ落ちる美しい涙と嗚咽する姿は、見る人々の心を掴んで離さない。少年のように眩しい笑顔で微笑んでいたかと思うと、突然哀愁と大人の色気を漂わせるそのギャップも魅力的だ。彼の俳優人生において転機となった、見逃せない一作だ。


■『恋のゴールドメダル~僕が恋したキム・ボクジュ~』


 ナム・ジュヒョクと聞いて、本作が思い浮かぶ人も多いのではないだろうか。眩しい笑顔で強烈な印象を残し、彼を一躍人気俳優に押し上げるきっかけとなった作品だろう。本作は、重量挙げ部の期待の星キム・ボクジュに訪れる嵐のような初恋と、夢と目標に向かって走っていく体育大生たちの熾烈な人生成長期を描いたフレッシュな青春ドラマだ。


 ジュヒョクが演じるのは、ボクジュと同じ体育大学に通う水泳部のトップ選手ジュニョン。はじめはぶっきらぼうだったが、とあることからボクジュが小学校の同級生で、自分を助けてくれた怪力のおデブちゃんであると気づき、つきまといからかっているうちに、次第に彼女に惹かれていく。


 本作が女子の心をさらったのは、可愛さとやんちゃさを併せ持つ、ツンデレ大学生の“リアルな質感”だろう。普段はふざけてばかりだが、ボクジュが落ち込んでいるときは、思いっきり笑わせ、親身になって励ましてくれるジュニョンはまさに「理想の彼氏」。弱っちかった彼が、友情から愛情への心の変化とともに徐々に「男らしさ」を醸し出していく様は、破壊力抜群だ。


(Nana)