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爆撃を受けた産院から避難した女性、翌日に“希望”の女児を出産(ウクライナ)

2022年03月12日 23:41  Techinsight Japan

Techinsight Japan

爆撃を受けた産院から退避するマリアナさん(画像は『New York Post 2022年3月11日付「Pregnant Ukrainian blogger seen fleeing maternity hospital blast has given birth」(Evgeniy Maloletka)』のスクリーンショット)
今月9日、ウクライナ東部マリウポリの産院で爆撃を受けて避難した女性が翌日、別の病院で女児を出産したことが明らかになった。ロシア軍の攻撃で食料や医薬品、電力などの不足が深刻化し、多くの死傷者が出る中で産まれた小さな命。激戦地からの“希望”を『New York Post』などが伝えた。

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マリウポリ在住のビューティブロガー、マリアナ・ヴィシャガスカヤさん(Mariana Vishegirskaya)が10日夜10時頃、帝王切開にて女児を出産した。現地では、爆撃を受けて逃げた時と同じ水玉のパジャマを着用したマリアナさんが娘ベロニカちゃん(Veronika)に寄り添う姿や、夫ユーリさん(Yuri)が娘を抱き愛おしそうに見つめる姿が捉えられ、激戦地の中での“希望”として伝えられた。


マリアナさんは出産前日、たくさんの荷物を抱え、負傷して顔に血が付いたままの状態で産院を出る映像が拡散し、在英ロシア大使館は「ドロや血は偽物、この女はビューティブロガーのマリアナ・ポズルスカヤ(Marianna Podgurskaya)で、メイクで演出しているだけだ」とツイートし、「産院は長い間使われておらず、ウクライナ軍やネオナチのアゾフ大隊(Azov Battalion)の拠点となっていた。それに3日前には爆撃を警告したはずだ」などと指摘していた。

そしてこの投稿には、「爆撃された産院と小児病院を背景にあんな写真を撮るなんて、この役を演じるのにいったいいくらもらったんだ」「金がらみか」「ブロガーならなぜ、もっと早く現地の情報を伝えなかった?」「激しい攻撃を受けた後で、あんなに大きなお腹の妊婦が歩けるわけがない。突然妊婦になって、どんな気分だい?」「こんな偽の情報を流してロシアをはめようとしているなんて、犯罪だ。あんたを好きな人なんていないだろうね」「恥を知れ」といったロシア語のリツイートが多数あがった。


しかしこの攻撃により、6歳の女児を含む3人が死亡し、少なくとも17人が負傷したことが確認されており、在英ロシア大使館の投稿はコミュニティ・ガイドラインに違反するとして削除され、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はロシア軍が産院や小児病院を攻撃したことに対し「残虐、戦争犯罪」と痛烈に批判した。


なおマリアナさんのInstagramの最後の投稿は日本時間3月1日で、2枚の子供服を手にし、大きなお腹を出して「赤ちゃんは男の子かしら? それとも女の子かしら…?」と綴り、幸せいっぱいの笑みを浮かべていた。またバレンタインデーにはユーリさんと見つめ合う写真を投稿し「私たちは恋をし続けるの…。そして幸せを運ぶ赤ちゃんがもうすぐ産まれ、家族の新しい生活が始まるのよ…」と言葉を添えていた。


幸せの絶頂にいたはずのマリアナさんにとって、激戦地での出産、そして子育てはつらく命がけであることは想像に難くない。ただベロニカちゃんは希望である。家族全員、どうか生き抜いて欲しいと願わずにはいられない。

画像は『New York Post 2022年3月11日付「Pregnant Ukrainian blogger seen fleeing maternity hospital blast has given birth」(Evgeniy Maloletka)(UKRAINE MILITARY)』『Metro 2022年3月11日付「Pregnant blogger injured when Russia bombed maternity ward gives birth」』『БЬЮТИ БЛОГ | PRO ВOЛOCЫ 2022年3月1日付Instagram「ДЕВОЧКА ИЛИ МАЛЬЧИК」、2022年2月15日付Instagram「Просто лишний повод сказать, что я」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)